王子との対面
びっくりした、、私めちゃめちゃ可愛い。綺麗なブルーグレーの髪にブルーの瞳、身長は160センチぐらいだろうか、痩せすぎず、しなやかな体つきに小さな顔。意思の強そうな顔つきも凛としていて、これはアイドルに選ばれるのも納得だな、と自分でため息がでた。どうして神様はこんな完璧なスノウに転生させてくれたのかな、前世に病気で苦労した分幸せになりなさいって事なのかな。鏡を見て気付いたが今着ている服は完璧パジャマだ、パジャマというかネグリジェっていうのかな?少し恥ずかしいがかなり可愛い服だがこれは男性に会う服ではない、それは分かる。
「着替えはどこにあるのかな」とあたりを見回すとバルトがきっと侍女に用意させたのであろう服が壁にかけられていた、綺麗なブルーのワンピースだ。「さすが有能執事だけあるわね」早速着替えて、少し窓から外の様子を覗くとたくさんの兵士が列をなして立っていた。凄いやっぱり王太子ともなると違うのねと思いつつバルトに声をかけレオンを呼んでもらう。どうしよう、立って出迎えた方がいいのかな、椅子に座って待つ?いやベッドに腰掛けていようかな?と部屋でしどろもどろしていると部屋をノックする音がして、私の心臓は跳ね上がった。
「スノウ、私だ。入ってよいか」と低く響く心地の良い声が聞こえてきた。レオンは声までカッコいいのねと感動したが早く姿がみたいと高鳴る鼓動を抑え「はい」と返事をした。
そして扉を開け入ってきた人は、もうこの世の女性全ては彼のものといわんばかりの美しい男性だった。
180センチは超えているだろうスタイルに綺麗なプラチナブロンドの髪、少し切れ長の瞳が、着ている軍服にあわさって滅茶苦茶カッコいい。はあ画面越しでさえあんなにときめいていたんだから、そりゃ本物にはもっとときめくよ〜と、どうしたらいいか黙っている私を見つめ、レオンから話かけてくれた。
「加減はどうだ、昨日目が覚めたという伝えを聞いて本当に安心したよ。この度の事件は王国の警備隊にいた蛮族のスパイに我々が気づけなかったせいで起きてしまった。我々の管理体制の甘さでスノウを危険な目に合わせてしまい申し訳ない。国王陛下に代わり私が謝罪をもうしあげる」と深々と頭を下げられてしまった。
正直誘拐の時の記憶は全く覚えていないし、そんなに危険な目にあった自覚もないので、こんなイケメンが私に向かって真摯に謝罪している姿を見ているのは逆にこちらが申し訳なくなってくる。
「レオン殿下、お顔をあげてください。殿下が謝ることではないです、私にも、もっと自衛するだけの力があればこのような大ごとにはならなかったでしょうから」驚いた様子の殿下の顔が目に入る。
「記憶があいまいだという話は本当なのか?だから俺をレオン殿下などとまるで知らない他人かのように呼ぶのか」と悲しげに聞かれる。「ええ本当です。」実はゲームをプレイしたのでよ〜く知ってますなんて言えるわけもない。
「父と母から大体の話は聞いたのですが、細かい記憶はあいまいでよく思い出せないのです」
「そうか、私が君に婚約を申し込んでいた話は聞いたか?」え、ええええ婚約?!そんなこの世界の全令嬢があなたと婚約したいでしょうに!というかお父様はきっと話したくなくて黙っていたのね。
「それは今、初めて聞きました」ゲームの中でレオンとスノウが婚約していたという設定はなかったはず、この世界は全てがゲーム通りというわけではないのかしら。「君はアイドルの仕事に少しやりがいを感じ始めていた、だから私と婚約してしまえばアイドルの仕事が続けられなくなると断られたんだよ」