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次の日目が覚めた私を待っていたのは、スノウの両親だという2人の突撃と、号泣する父と父をなだめる母からの質問攻めだった。「スノウが無事でっほっっ本当に良かったぁあぁあぁ」とかれこれ10分近く抱きしめられたままだ、そんな様子の父を見て母も「あなたいい加減になさい!スノウは先日まで魔法によって囚われていたのですよ、無理をさせてどうするのですか!」母に叱咤されようやく離してくれた。「すっすまない、スノウ。そうだ、執事のバルトに聞いた話によると少し記憶が混濁しているのか?私のことは、おっ覚えているよね?」と少し不安そうな顔で聞かれると心が苦しいが正直全く思い出せない。でもこの2人に凄く愛されていたんだという事はきっと確かだろうなと、この短い時間で強く感じた。「お父様がお父様だということは確かに分かるわ。けれどまだ記憶が朦朧としていて全ての記憶があいまいでよく思い出せないの。ごめんなさい、」そう告げた瞬間「スノウは謝らなくていいんだよ!私のことが分かるのならそれだけでいいんだ!」とまた強く抱きしめられる。前世ではずっと寝たきりだったから親に抱きしめてもらったことは一度もなくて、看護師さんに介助のため抱き起こされる事はあってもこんな風に人と触れ合ったことはなかったな〜とふと思う。「人に抱きしめてもらうのってこんなに心地いいんだ..」と小声で呟く。
そんな私の独り言には気づかずお父様は矢継ぎ早に話しかけてくる「だから私は反対したんだ、私の可愛いスノウを大衆の面前に晒す様な職業は!」母が反論する「国王様直々のご命令なのだから仕方のない事ではないですか、今更言っても遅いですよ」「しかし今回の様な事件が起こってしまったのは王国の警備の甘さにも原因がある、私はその点を国王に断固抗議するつもりだよ」「あなたったら、、しかしスノウが危険にさらされて怒りを感じているのは私も同じです。穏便に済ませてくださいね。」父の腕の中で黙って聞いていたら、私は国王様直々の命令を受けて何かの仕事をしている最中に昨日の執事、さっきバルトって言ってたよね、が教えてれたあの誘拐事件に巻き込まれたみたいね。
「お父様お母様、すみません、わたし記憶がまだおぼろげでよく思い出せないのですが、私はどのような仕事を国王陛下に命じられていたのですか?」私の言葉を聞き父が話だしてくれた「そうか、その事も覚えていないのか。スノウはこの国の”アイドル”なんだ」今ア、ア、アイドルって言った!?「あのバカアルフレッドっんんっもといこの国の国王はね仕事はできるやつなんだが時々突拍子もない事を言うやつでね、ある日いきなり『この国を代表し国民に対して勇気や希望を与えるような存在が私以外にも必要だ!』とかいい出して、この国の年頃の令嬢を集めてオーディションをおこないアイドルグループを結成したんだよ」落ち込んだ様子の父に代わり母が話だす「そしてあなたにもオーディションの招待状が届いてね、あなたはあまり乗り気ではなかったけれど国王直筆のものを無下にもできないからって私が参加させたら、、選ばれてしまったのよ。」「私は私の可愛いスノウがそんなこの国を代表するような存在にならずとも私の手の中で幸せに笑っていてくれる事を望んでいたのに」と怒り出した様にまた父が話出す。
「これも全部国王と、あの憎らしいレオン王太子殿下がお前を強く推したせいだ!」ずっと黙って聞いていて、ふとこの設定に聞き覚えがある事に気付いた。レオン、、アルフレッド国王陛下、執事のバルトに、国王直々のアイドルグループ結成、、これってもしかして!私が前世でよくプレイしていた異世界恋愛ゲーム『シークレットアイドル』の世界じゃん!?病院のベッドの上でよくプレイしていつか私もこんな風に誰かと恋愛したり、アイドルとして活動して誰かに勇気を与えられるような存在になりたいって思ってたけど、もしかして神様がその願いを叶えてくれちゃった感じですかーーー?!