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六章 女性恐怖症の文官と、毒薬学博士な賢王子(6)

 記録保管庫でアーシュが倒れて、しばらくもしないうちに、担架を担いだ四人の若い白衣の男達がやってきた。


 腕に『救護』の腕章を付けた彼らは、記録保管庫にずかずかと入ってくると、そのうちの一人が雑にアーシュの胸倉をつかみ上げた。すぐに頬を叩き「起きろー」と言い始めたが、起こす気もないような棒読みだった。



 彼の頬を叩いていた男が、たった数秒もせず、あっさりと起こす事を断念し、仲間達に向かって一つ肯いた。

 


 細い眼鏡を掛けた青年が、緑とも紫ともつかない液状の薬が入った小瓶を取り出して、肯いた青年に手渡した。別のもう一人の男が、問答無用でアーシュの鼻を摘まんで、口を開けさせる。


 頬を叩いた男が、小瓶の口を問答無用で、アーシュの口へと一気に押し込んだ。


「――ぅっえ!? 激不味ぅぅうううううううう!」


 途端にアーシュが飛び起き、喉元を押さえて「不味い」「辛い」「ビリビリする」「臭い」と喚きながら床の上を転げ回った。味の感想は、まさに嫌な味と刺激を詰め込んで仕上げたような一品だった。


 王宮の気付け薬だけは飲まないようにしよう。


 その様子を唖然と見守っていたマリアは、そう心に決めながら、アーシュに向かって合掌した。


「おい、アーシュ。動けないようなら仕方ないから救護室に運んでやるが、気分はどうだ?」

「キッシュ! テメッ、クソッ、最悪だ! この前のより不味くなってんだけど!?」

「ラジェットの愛情たっぷりの特性気付け薬だ、気にするな」


 先ほど頬を叩いていた青年が、悪びれもなくそう切り捨てた。


 不味さのあまり若干目尻に涙を浮かべたアーシュが、ギッと視線を送った。それを受け止めた眼鏡の青年が、にこやかに手を振る。


「珍しく蕁麻疹も浅かったみたいだな。もう消えてる。んで、どうする、救護室に行くか? 吐き気、眩暈、筋肉の弛緩は?」


 キッシュと呼ばれた青年が、慣れた口調で淡々と問いかけた。


 アーシュは、ふと眉を寄せて、座りこんだまま自身の胸に手を当て、様子を確認し首を捻った。


「あれ? 大丈夫みてぇだな……」

「そっか。じゃあな」


 もう用はないと言わんばかりに男達が立ち上がり、さっと記録保管庫を出ていってしまった。


 護衛のために室内で待機していた二人の衛兵が、気まずそうに互いの顔を見合い、声量を落として囁き合った。


「……これも報告しないといけないのか?」

「……仕方ないだろ。事細かくって、総隊長様に直々に頼まれてるみたいだからなぁ」


 他人の不幸を楽しむ、ロイドらしい手回しだ。


 マリアは、心の中で再びアーシュに向かって再び合掌した。


                ◆


 アーシュが気付いたところで、ルクシアが、薬学研究棟に見せたいものがあると言った。

 

 外では誰が聞き耳を立てているのか分からないので、調査の件は、出来るだけ口にしないよう決めて、マリアとアーシュは彼について記録保管庫を出た。


 歩き出してすぐ、アーシュが手帳をルクシアに見せ、ここに記載されている中で注意すべき人物はいるかと確認した。第二王子ジークフリートの友人というだけあって、短い時間でルクシアにも慣れたようだ。


「――ヘルゼ博士とモーリス女医はグレーゾーンですね。恐らく、アイワード第四騎馬隊長は味方ではないと推測しています。特に警戒しておいた方がいいのは、今のところグレモリー伯爵です。私が調査を始めてから、まるで動向を窺っているように先々に現れて、鬱陶しいほどです」


 ルクシアはそう告げながら、興味深そうに手帳を読みこんでいた。しかし、少しすると何かに気付いたように顔を上げ、手帳をさりげなくアーシュへ返した。



「噂をすれば、ほら、彼がグレモリー伯爵ですよ」



 ルクシアが、二人に聞こえる程度の声量で言い、顎で差し示した。その方向には、中央棟の広間を横切ろうとした一人の男が、こちらに気付いたようにやって来る姿があった。


 グレモリー伯爵は五十代半ば頃で、身体は細長かった。貴族らしい上質な紳士の正装服に身を包んでおり、骨ばった顔に人の良さそうな笑みを浮かべていた。


 破顔すると皺が柔らかく伸びて、人懐っこいような印象を与えるが、腫れぼったい目には、舌舐めずりするようなギラついた欲深さが覗いていた。


「これはこれは、ルクシア殿――」

「グレモリー伯爵。失礼ながら、今の私はただの博士であり、所長です」

「ははは、これは失礼致しました。あなたが研究棟から出ているとは珍しいですな。最近も研究室にこもっていると、ミュラン公爵らも心配されておりましたよ」


 ところで、と続けたところで一度言葉を切り、グレモリー伯爵は、アーシュとマリアをチラリと見やった。


「そこにいるのは文官と、見習いの子供ですかな?」

「見ての通り、私は知識に貪欲な研究狂いです。先日とうとう本が崩れ落ちまして、都合のつく文官を一名、暇をしていたメイドを一名借りて、久方振りに部屋の整理をするつもりなのですよ」


 ルクシアは特に表情も変えず、淡々とそう答えた。アーシュとマリアは、彼の後ろにそっと控えて様子を見守っていた。


 すると、グレモリー伯爵が、「おや」とわざとらく眉を上げた。


「調べ物は一段落されたのですかな?」

「一段落も何も、目と手の数が足りなくて困ります。来月の学会の論文も進めながらですので、読みこむまでに、どれぐらい膨大な時間がかかるか」

「ははは、相変わらずご多忙のようですな。無理はなさいませんよう」


 グレモリー伯爵は、一瞬探るような鋭い目をしたが、すぐに元の笑みに戻すと、礼をして去っていった。


 貴族の社交というのは、どうも苦手だ。

 マリアは改めてそう思いつつ、要注意人物として彼の顔を頭に叩き入れた。



「そう言えば、貴女がいくつなのか訊いていませんでしたね」

「え、それ今、重要ですか?」



 歩き出しながら唐突に話を振られて、マリアは、やや低い位置にあるルクシアの横顔を覗き込んだ。アーシュが、どこか気まずそうな顔をして「あの、ルクシア様」と控えめに口を挟む。


「相手は子供とはいえ、さすがに女性に年齢を尋ねるのは……」

「十六歳です」

「お前は普通に答えるなよッ。というか十六歳なのか!?」


 アーシュが目を瞠り、信じられないものを見るように勢い良くマリアを振り返った。


「その歳で目印みてぇな馬鹿デカいリボンとか、恥ずかしくねぇのッ?」


 ……直球で言われるとそうなのだが、少女っぽくて可愛くないか?


 慣れるまでは違和感もあったが、リリーナとお揃いなので気に入っている。並みのちょっと上ぐらいには可愛い顔であるので、リボンをする事で少女らしさを引き立てるのも、悪くないと最近は考えてもいた。 


 すると、ルクシアが特に興味もなさそうにこう続けた。


「そうですか。見た目が十四歳ぐらいですので、グレモリー伯爵は勝手に誤解してくれたようです。子供であれば警戒されません」


 なんだ、そういう事かと思いながら、マリアは自分の髪を一房つまんで見降ろしてしまった。やはり降ろしたままだから幼く見えるのだろうか、としばし考える。


 とはいえ、髪を結い上げるという面倒な作業は出来るだけやりたくないのだ。日々のケアだけでも大変だというのに、手早く出来るリボン・スタイルの他に、時間が掛かるらしい髪型をするつもりはない。



 むしろ、そうなった場合は問答無用で切り捨てる。未練は無い。



「あなたは女性ですので、髪を切るという物騒な事を考えてはいけませんからね?」

「あれ? 私、また口に出てました?」

「顔です。……なんとなくですが、貴女の思考パターンが掴めてきました」


 吐息混じりに告げたルクシアの隣で、アーシュが「信じられねぇ」と顔を引き攣らせていた。


                 ◆


 ルクシア個人にあてられた毒薬学の研究部屋は、薬学研究棟の一階部分に増設されていた。研究棟の裏側に部屋へと続く両開きの扉があり、そこが唯一の出入り口となっていた。


 しかし、一歩を踏み込んだ瞬間、マリアとアーシュは先へ進むのを躊躇した。


 広い室内には、膨大な数の蔵書と資料が山のようにが積み上げられていた。壁一面の書棚も専門書で埋まり、無造作に置かれた高さのない複数の棚には、様々な大きさの薬品瓶が所狭しと並んでいたが、その足元にも崩れた本の山があり、床の面積は広いが足の踏み場がほとんどない。


「致死薬に関しては別の部屋で厳重に管理していますから、問題ありませんよ」


 うん、そっちじゃないんだよな。


 二人が立ち止まった要因を、保管されている毒への危機感と受け取ったルクシアが、進んだ先から、入室を促すようにそう声を掛けてきた。


「私が毒を専門に扱っているので、皆同じ反応をします」


「専門家だからこそ安心じゃないですか。私が言いたい事はそうではなくてですね、部屋の汚――えっほん。散らかり具合の事です。整理整頓して、一度は徹底して掃除しないといけないレベルですよ。埃だってかなり積もってますし。ひとまず、そちらから片付けた方がいいんじゃないですか?」


 辺りを見回しながら、マリアが呆れたように告げると、ルクシアが驚いたように振り返った。


「俺も同意見ですよ、ルクシア様。これじゃあ、誰も遊びに来られないじゃないですか」

 

 渋々足を進めながら、アーシュもマリアの意見に賛同してそう言いきった。


 二人はルクシアの後に続くように、室内を慎重に進んだ。足元の本の山を崩さないように歩くマリアの後ろで、アーシュが「うわッ、紙を踏んじまった!」と悲鳴を上げ、仕事で関わる事の多いそれを慌てて拾い上げて、近くの戸棚の上に避難させた。


 マリアは、スカートの裾が本の山に触れるたび、舞い上がる埃に気付いて顔を顰めた。ルクシアの台詞から、毒を恐れて使用人も踏み入らなかったのだろうとは予想されるが、これはひどいと思う。


 恐らく彼自身が、居座る環境にも無関心なのだろう。


 でなければ、室内が本で埋まってしまう事などなかったはずだ。想定外に持ちこまれた本が行き場をなくし、床の敷地面積の大半を占領してしまっている事が、全ての原因と推測された。


「というか、座る場所ってあるんですか?」

「目の錯覚か……本で机が埋まっているように見える……うぅっ、埃臭くてくしゃみが出そうだ」

「王族として扱わなくても結構だとは言いましたが、あなた達は一気に失礼になりましたね。座る必要が出た時は、本の上に腰を下ろせばいいではないですか」

「ルクシア様、俺にはそんな事できません。本は紙で出来ているんですよ」


 アーシュが凛々しい顔で、凡人であるマリアには理解しがたい理屈を説いた。



 ルクシアが中央にある作業台を指したので、マリアとアーシュは、引き続き足元に注意して移動した。その長テーブルの周りも本で埋もれており、椅子はどこを見渡しても見あたらなかった。



「普段は私一人しかいませんから、椅子は、向こうの書斎の物の他にはないのです。そもそも、基本的にこのテーブルは作業台ですので、椅子を運んできて座るという事もありませんが」


 そう淡々と説明しながら、ルクシアはテーブルの上の本を大雑把に端に寄せた。足元から畳まれた紙を引っ張り出すと、そこで大きく広げる。


 焼けて黄ばんだ紙の上には、大陸の地図が描かれていた。三人で長テーブルを囲い立ってそれを覗き込んだ時、見慣れた国旗や領旗がみあたらず草花の挿絵だけがされているのを見て、マリアは「ん?」と首を捻った。


「これ、なんです?」

「大陸の地図です」

「いえ、そうでなく、この花とか草とか」

「代表的な毒花です」


 毒用の地図があるとは、聞いた事がない。

 マリアは顔面筋を総動員し、顔が引き攣らないよう務めた。


 恐らく、ルクシアが特注で作らせたか、もしくは軍がよく使用する地形図と同じように、専門博士達にも、分野ごとに使われている地図などがあるのかもしれない。そう無理やり自分を納得させる事にした。


「育つ環境の違いがあるように、地域によって採取出来る毒の成分にも、それぞれ特徴があるのです」

 

 マリアの沈黙を受けてすぐ、ルクシアは早速そう切り出した。 


「国内で血液を破壊する毒については、唯一ガレア山脈区のドゥギナがありますが、こちらは体温を向上させるような特徴は持っていません」


 そう言いながら、ルクシアは近隣国の一つを指示した。


「近隣国でいうと、体温の上昇の特徴を持っているのは、ラジア帝国のアルジニンの毒根等の数種になります。ただし、アルジニンは血液の破壊を促すドゥギナの猛毒と相性が悪く、これらを調合したとしても、全く別の症状を引き起こす毒となります」

 

 ルクシアは当初、そのように産地ごとの特徴の中で、近い性質を持った毒を絞り込んで調べていたのだと語った。


 調合のパターンは幅が広いため、謎の毒と同じ効能を生み出すような確率を計算し、現在は、最大の特徴である流血タイプで絞り込んで調査しているという。ルクシアは、体内に証拠を残さないという未知の毒の特徴を改めて語った。



 血流を活発化させ体温を向上させる。時間差で一気に内臓組織を破壊し、至る所から流血がある。血液の凝固を異常に遅らせる。外見の特徴としては、唇が真っ赤に染まる。



「死亡したメイドを含めて、直前に怪しい者に会ったという記録は残されていません。毒の効果が出るまでには、最低でも半日以上の時間差があると考えていいと思います。そのような調合毒も、原種毒も聞いた事がないので、時間差の特徴での絞り込みは不可能です」


 ルクシアは、淡々と語った。


「もう一度言いますが、これはあくまで『憶測』や『推測』でしかありません。毒は調合によって多種に渡りますので、本音を言えば、他にもヒントがあればいいとは思っていますよ。私の知識を結集しても、時間差で体中から血を失わせる毒を作る事は出来ませんから」


 そこで、ルクシアが思案するような沈黙を置いた。アーシュも、難しい顔で考え込んでいた。


 マリアは、赤い唇、と聞いて記憶に引っ掛かるような違和感を感じていたのだが、それが何であったのか思い出せず、何気なく地図上へと視線を落とした。



 ふと、そこに見知った形の花がある事に気付いて、マリアは目を止めた。



 古い大事な記憶の一つを辿ったが、どうしても花の名称まで出て来なくて、思わずルクシアの白衣の袖を引っ張って尋ねた。


「ルクシア様、この花って『ふわりふわりと女が誘うような』っていうフレーズで有名なやつですよね。名前が思い出せなくて困っています、教えて下さい」

「会って初日のメイドに、慣れ慣れしく袖を掴まれたのは初めてですよ……」


 ルクシアが、緊張感が抜けそうだというような半眼を向けた。すると、アーシュが、悩ましげな皺を眉間に半分残したまま、若干引き気味の顔で「おい」と先にマリアへ声を掛けた。


「ガキがなんてフレーズを知ってんだ。大人の店で出てくるような『うたい文句』の一つだろ」

「あ~……えぇと、その、昔知り合いに聞かされた話しと言うか?」


 マリアが誤魔化すように笑うと、ルクシアが、仕方ないと告げるような息を吐いた。


「近隣国の中で、もっとも毒花に見えない『純心花』と揶揄される、タンジー大国の代表的な毒花『スミラギ』です。白い花弁に包まれた丸い花で、雌しべには、牛を数秒で殺すほどの猛毒があります」


 タンジー大国は、ここから少し離れた位置に存在する、この大陸では珍しい黒髪黒目の人種が住まう国だ。


 その国では、白い花は『スミラギ』しか存在していないため、毒の花でありながら「身の丈に合わないほどに美しい女性」と例えられ、夜の町を歩く男たちへの皮肉の一つとして語られた。



【美しさに誘われるがままに手を伸ばし、うっかり触れて味わってしまえば、一夜の夢で全てを失う】



 オブライトであった頃に、マリアは、その国からやってきた彼女――テレーサにその話しを聞かされた。


 タンジー大国は中立国ではあるが、こちらとはほとんど国交がない。


 テレーサは、自国についてほとんど語らなかったが、共に酒を飲んだ帰り道、彼女の部屋まで送り届けるべく一緒に歩いている時に、ふと教えられたのだ。



 ――美しい女には毒があるの。毒を持った花は死なないのに、寄ってくる者だけが枯れてしまうなんて、哀しいと思わない?



 そうだった。そんな名前だったなと、マリアは想いを抑え込むように、心の中でそう呟いた。


 しかし、そこでもまた、小骨が喉に引っ掛かるような違和感が起こった。ルクシアから毒の話を聞かされてから、自分が何か忘れているような気がしてならない。


 あまり物を考えないで走り抜けた人生観が、うっかり忘れるという結果を生み出しているのだろうか。それとも――



 それは、思い出したくないほどに辛い何かだったのか。



「タンジー大国、ですか」


 ルクシアの呟きに、マリアの意識は現実へと引き戻された。声につられて目を向けると、幼い顔に難しい表情を浮かべて、地図をじっと見降ろすルクシアの姿があった。


「以前、毒の研究で留学したいと相談した際、厄介な相手なので出来るだけ関わらない方がいい、と聞かされた事があります」

「中立国ってだけで、驚異だとは聞いた事がありませんが。害も利益も起こさない国でしょう」


 アーシュがそう口を挟んだが、ルクシアは真面目な顔のまま、首を小さく左右に振った。


「今回調べている毒については、タンジー大国で思い当たるものはありませんが、その国に深く関わっているとされる人物には心当たりがあります。グレモリー伯爵の背後にいる男でもありますが」


 そこで、ルクシアは地図を睨みつけた。



「ガーウィン卿です」



 マリアは、オブライト時代にも聞いた事がなかった名前を、行く先々で聞くという妙な縁に眉を顰めた。記憶が正しければ、ガーウィン卿というのは、ロイドが潰したがっている人物の名である。


 思わず横目を向けると、ルクシアに悟られまいと不貞腐れた表情を作るアーシュと目が合った。彼は僅かに首を振るような素振りをすると、へたに関わるなと忠告されている、と視線で伝えて来た。


「とすると、父上達が動いている件と同じ可能性が高い、か……しかし、私がそこまで気を回すのは不効率。となると、私は、私で出来る事をするべきか…………」


 こちらも見ずに口の中で呟いて、ルクシアが一つ頷いた。



「盲点でした、タンジー大国の毒に絞り込んで調べてみましょう。何か出て来るかもしれません」



 彼は冷静な口調で、そう結論を下した。

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