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6.どうやら私の異常は幸福の始まりみたい。

6話です。7話は明日か明後日かも。

この6話の話は、学校が休みの日の妹視点のお話です。

「おはようございます兄さん。朝ですよ?」


 私は学校が休みの日なので私服姿で何時ものように、兄の部屋に入ります。

 兄の部屋はカーテンが閉められていて、真っ暗でした。


 左側にあるライトのスイッチを押す。

 パアッと部屋が明るくなりました。


 私の声で起きたのか、兄さんは布団の中で身動ぎをしています。

 兄さんは眠る時は、頭から布団を被り眠る事が多いみたい。


「ほら、起きて兄さん。朝食を食べないと健康に悪いですよ?だから、起きてください兄さん」


 ほんのり暖かい布団を掴み、無理やり兄さんから布団を剥がす。


 ガバッ。


 布団に篭っていた匂いが、部屋に拡散される。

 当然近くに居た私が、その兄さんの香りを嗅いで仕舞うのはしょがないのです。

 女の私と違う、男の兄さんの匂いに……。


 くん……くん……どうして、兄さんの匂いはこんなにも嗅いでいたいと思うのでしょう?

 不思議です。


「………眠い」


 無理やり布団を剥がされた兄さんは、頭を私の方に向けて眠そうに呟きました。

 とても眠そうです……またステラとか言う女と、ゲームでもしていたのでしょうか?

 残念ながらパソコンのゲームを、私は詳しくないので物理的にしか邪魔できないのが悔しいです……。


「もう……起きてください兄さん。パジャマを洗いますから、兄さんは私が用意した服に着替えてください」


「うん、あと少ししたらね……」


 5分経ちました……。


 私は何時までも布団から動こうとしない兄さんの上半身を、無理やり起します。

 手の平に兄さんの体温を感じて、私は今兄さんに触れてるんだと嬉しくなりました。


 目を擦る兄さんは億劫そうに私に補助されながら、上半身を起す。


「着替えの服は、ここに置いときますね?」

「ふぁ~あ、分かった……よいしょっと」

「に、兄さん!?」


 兄さんはベッドから降りて立ち上がると、女の私が居るにも関わらずパジャマを脱ぎました……!

 露になる兄さんの下着姿に、顔が熱くなるのが自分でも分かります。

 前回上半身裸を見ているので、何とか取り乱さずに居られますが……。


「兄さんは……その……女に下着姿を見られて……恥ずかしくないのですか?私の想像だと男の人は、女に下着姿を見せたくないとか言いそうですけど……」


 そう言いながらも……私の目は、兄さんの下着姿に釘付けです。


「え……?恥ずかしくないけど……」

「そ、そうなんですか……」


 何か問題でも?と言いたそうな兄さん。

 妹の私の前なら問題はありませんが、最近の兄さんは常識が欠如してそうで少し不安です……。

 この前まで、兄さんは妹の私でも素肌を見られたくなかった様子だったのに……どうしてしまったのでしょう?


「顔が赤いけど……大丈夫か?」


 兄さんは心配そうな様子で、私の事を見ています。

 確かに顔は赤いですけど……それは兄さんのせいです!

 そんな無防備な下着姿、私じゃなかったら本当に襲っていますよ!


「早く服着てください兄さん……じゃないと、今にも鼻血が出そうです私」

「わ、わかったよ」


 兄さんは良く分かってなさそうだけど、とりあえず服を着てくれた。


「それでは私は母さんに、兄さんの朝食を頂いてきますね」


 兄さんの部屋を出て、扉に汗で濡れた背を預けます。

 少し休憩です……。

 最近の兄さんは刺激が強すぎて、興奮を落ち着かせないと私が持ちません……。

 もう、歩けないほど足がガクガクです。


「はぁ……はぁ……んっ、身体が熱いです」


 胸元を広げて、手でパタパタと風を送る。

 少し冷えた空気が、私の汗で蒸れた胸を冷やして気持ちが良い……。


「ふぅ……涼しいです」


 私は視線を下げて、広げた胸元を見る。


 最近まで、もう少しこの脂肪が減ってくれたら良いのにとずっと思っていましたが……でも最近の兄さんはこの脂肪の塊がお気に入りみたいです。

 何故なのでしょう?

 こんなのを付けているせいで運動も大変ですし、着れる服も制限されて買い物も楽しめません。


「私が胸元の開いた服とか着ていると、兄さんが確かにちらちらと胸を見ているのがわかるんですよね」


 兄さんの部屋で、マンガを借りて床に座って読んでいると……兄さんはパソコンをしながら横目で、私の胸を良く見ています。

 なんでそんな面倒な事をしているのでしょう?


「見たいのなら近くで見ても私はかまわないのですが……」


 ただ、兄さんはこんなのを見て嬉しいのですか?


 私は胸元に風を送るのを止めて、自分の大きな胸を手で持ってみました。

 手に柔らかいずっしりとした感触が伝わります。


「うーん、女の私では男の兄さんの考えが分からないです……」


 手を上下させてみても、ただプルンプルンと水風船のように弾むだけです。

 特に思う事はありません……。

 後で兄さんに直接聞いた方が早いかもしれないですね?


「それにしても……まだ、身体の熱が冷めないです。早く兄さんに朝食を届けないといけないのに」


 身体の疼きがまだ続いている。

 胸から手を離して、自分の身体を両腕で抱きしめます。


 日に日に、身体の熱が冷めるまでの時間が長引いてる気がします。

 最近の兄さんは、良く私に無防備な一面を良く見せてくれるから……私もそのたびに胸をドキドキさせて、益々兄さんの事が好きになっいくからです。


 ガタガタ……。


 背を預けていた、扉がガタガタ揺れています。


「あ、すみません兄さん。もう少ししたら、朝食お持ちしますから……」

「体調悪いのか?」


 扉の隙間から強引に部屋の外に出た兄さんが、私の事を心配そうに見ています。


「いえ、朝忙しかったので少し休んでいただけです……ご心配をお掛けしました」


 身体が疼くから、休んでいたなんて男の兄さんには言えません……。

 兄さんは私の言葉を完全には信じてない様子で、どこか悪い所ないのか私の全身を眺めているようです。


「そんなに、心配をしなくても大丈夫ですよ兄さん?身体はどこも悪くありませんから」

「無理してる奴は、何時もそう言うんだ」

「に、兄さん……っ!」


 思わず身体がビクンと跳ねてしまった……。

 兄さんが、私の肩を突然掴んだからだ。

 さらに悪い事に、そのせいで治まり掛けてた私の疼きが再燃する。


「今日は日曜日だから、部屋で休んでいた方が良い」

「だ、大丈夫ですよ……んっ……本当にお気遣いなく……」


 男なのに兄さんの力は強かった……そんな事、ありえない事です。

 女は力が強く、男は力が弱いとこの世界では決まっていると学校で習いました。

 それなのに……私を気遣い私の部屋の方に押し出すその力は、男とは思えません……。


「ほら、身体がこんなにも震えてるじゃないか……体調悪い筈だ」

「だ、だから……にいひゃん!」

「……もう、喋るな。舌噛むよ」


 兄さんがとても素敵な感じになっていますが、今はそれを喜んでいる状態ではありません!


 駄目です!呂律が回らなくなってきました……。

 兄さんが触れたところから、疼きが強くなって私から力を奪っているみたいです。

 もう、脚に力が……。


「よいしょっと……ごめん、勝手に持ち上げた。部屋のベッドに運ぶけど……良いよね?」


 私は頭がぼうっとして、ただ兄さんの言葉にこくんと上下に頷く事しか出来なかった。


 ドクンドクンドクン。


 もう私の心臓はずっと爆音を響かせています。

 本来は私が兄さんの背と膝裏に手を通して胸の位置まで持ち上げて、物語のように王子様抱っこする筈なのに……なんで逆なのですか!?


「恥ずかしかった……?ごめん……倒れそうなほどフラフラしてたから」


 兄さんは私の事を見下ろして、申し分けなさそうにしている。

 違うんです兄さん!恥ずかしいとかそう言うレベルじゃないんです!

 予想外の事が起こり続けて、いろいろ頭がパンクしそうで混乱してるんです!


 兄さんは私の部屋の扉を開けて、そっと私をベッドの上に仰向けで寝かしてくれた。

 もう私の身体は、緊張と興奮と疼きで汗まみれになっているけど……兄さんはなんとも思っていないのですか?汗臭い女子は、男は嫌いと雑誌で書いてありましたが……。


「着替えどうしよう……独りで出来る?」


 確かに汗でびっしょりの服と下着を取り替えたいと少し思っていますが、もう身体が言う事を聞きません……。時折ビクンと痙攣するだけの身体になりました。

 私の身体ってこんなにも敏感でしたっけ?

 こんな事、雑誌には書いてありませんでしたよ……。


「すみません……兄さん。無理そうです……私を着替えさせるのお願いできますか?」

「っ!いや……それは……無理と言うか、やったらアウトな気が……」


 やっぱり……汗臭い妹には触れられないですよね……。

 この身体の状態も分からないですけど……動けるようになったら自分でなんとかします。


「そうですよね……。汗で濡れてますから、後は動けるようになってから自分で着替え……」

「この世界なら大丈夫。セーフな筈だ。俺が着替えさせるから、大丈夫だ。それに今すぐ着替えないと風を引いてしまうと思う」


 覚悟を決めた顔になった兄さん。

 とても自信のある素晴らしい表情です!

 スマホのカメラで兄さんのその素晴らしい状態を保存したい!


 動かない身体が……憎いです!


 さっきから私はたぶん、この世界の女として素敵な時間を過ごしていたような気がするのです。

 その時間をスマホのカメラを使って記録に残せなかったのが悔やみます……。


「やっぱり顔色が悪い……早く着替えさせて。その後、氷枕と薬かな……あと母さんに一応相談しとくか」


 私のおでこに兄さんの手の平が乗って、気持ち良いです……。

 もう、なんか意識が朦朧として……。


 今日は、一日兄さんに看病された幸せな一日でした。

あべこべ世界の方じゃない小守コモル君だから、力あるよね。

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