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29.どうやら深夜のテレビ番組を見るらしい。※挿絵あり

29話です。 挿絵ありあります。

 俺は深夜ふと目が覚めたので、リモコンを手に持ちテレビの電源を入れた。

 ピッと音がなり、テレビの電源が入る。


「まぶし……」


 暗い部屋に慣れた目は、明るいテレビの映像に若干眩しさを覚える。


 前々から気にはなっていたけど、この世界のアニメ以外の深夜番組ってどんな事を放送しているのかな?

 元の世界の深夜番組もあまり見た事の無い俺だけど、この世界の深夜番組には興味があった。


『それで……』


 テレビのスピーカーから、女性の綺麗な声が聴こえてくる。

 番組内では元の世界の男達なら誰もが振り返りそうな女性達が、机を囲んでなにやら話をしていた。

 女性達の中で、一人の女性が話して他の女性はそれをじっと聞いているみたい。


『昨日……彼の事を何回も……させたんだ』

『その話……もっと詳しく話して』

『でも、テレビの前だしー』

『大丈夫、深夜放送だからこの番組』

『そう? じゃあ、私がね……』


 テレビに映っている20代くらいの綺麗なお姉さんが、彼氏との体験を赤裸々に語っていた……。

 彼のを何回も何しただの……綺麗なお姉さんが、頬を赤らめ自慢げに話をしている。 その話を聞いている女の人達も、頬を赤らめて……唇を触ったり、脚をもじもじさせたり、個人差はあるけど少しばかり興奮しているようだ。


「いたっ……夢じゃないのか」


 俺はテレビに映っている綺麗な女性達の下ネタに、実は俺は夢を見ているじゃないか?と疑って……思わず自分の頬を抓ってしまっていた。

 抓った俺の頬はじんじんと痛みを訴えて、これは現実だと教えてくれている。

 頬を摩りながら俺はテレビに再度目を向けると未だにテレビに映る女性達は、下ネタの話題で盛り上がっていた。


「あんなに綺麗なお姉さん達が、下ネタで盛り上がるのか……これが、異世界ギャップと言うのかな?」


 男が少ない世の中だから、男との夜の体験談など視聴率を稼ぐにはもってこいなのだろうか?

 その後も綺麗なお姉さん達の話を思春期の俺は、興味本位でぼーっと聴いていたら……。


 ゴソゴソと、俺の布団の中から何かが……いや、たぶんあの子なのだろう。

 窓の鍵は掛けていなかったから、恐らく俺が寝ている間に来ていたらしい。

 銀髪の女の子はほぼ毎日ように、夜中にやってくるのでいろいろと慣れてしまった……。


挿絵(By みてみん)


「んにゅ~……何やら雌達の喚く声が、聴こえるのだ。 ふぁ~……」


 布団の中から頭を出した銀髪の女の子は、寝ぼけ眼で俺を見た。

 テレビの灯りに反射した銀髪の女の子の目が、薄く赤く輝いている。

 あくびをするために唇を大きく開いているので、銀髪の女の子のピンク色の唾液で濡れた舌が見えた。


「んん~……? レイヴンよ……まだ世界は、漆黒の闇に覆われている。 我らが目を覚ますには、ちと早過ぎると思うぞ……?」


 銀髪の女の子はベッドの近くに置いてある夜でも薄っすら時刻の分かる夜光タイプの時計を一瞥して、今の時刻が深夜だと分かると、眠いのか起きるにはまだ早いと俺に億劫そうに言って……寒いのか銀髪の女の子は布団の中でモゾモゾと身体を動かし、俺の方に身体を寄せて来る。


 そんな銀髪の女の子を眺めて俺は……なんだか”猫”みたいだなって、思った。

 元の世界では”猫”は飼っていなかったけど、そんな風に感じた。


「我は眠いのだ……もう少し、我と一緒に闇に埋もれていようぞ……?」


 俺のお腹に小さな手を乗せて、さわさわと優しく撫でながら銀髪の女の子は一緒に寝ようと誘う。

 とろんとした眼で俺の顔を覗きこむ銀髪の女の子は、幼いながらも色っぽく感じた。

 妹とは違う女の子の甘い香りが漂う。


 俺は目が覚めてしまい直ぐには寝れそうにないので、銀髪の女の子の誘いをどうしようかと考えながら……なんとなく、眠そうにしている銀髪の女の子の頭の上に手をぽんっと乗せた。


「ふみゃ……♪」


 手に触れている銀髪は、とても柔らかく触り心地が良い。

 さわさわと小さな頭を撫でると、銀髪の女の子は気持ちが良さそうに目を細める。

 このまま撫で続ければ、目を閉じて眠ってしまいそうだ……。


「や、やめるのだ……このままでは……我一人が闇に落ちて……しまう……すぅ、すぅ」


 俺と一緒に眠りに落ちたいのか、少しばかり抵抗をしていた銀髪の女の子だが……頭を撫でられる気持ちよさに抗えないみたいで、直ぐに抵抗むなしく眠りに落ちてしまった。

 銀髪の女の子が眠ったので、俺は未だに下ネタトークを続けているお姉さん達の話に耳を傾ける。


『ところで男性のおっぱいって、私達のおっぱいと違って硬いって聞いた事はあるわ。 本当なの?』

『うん、女性の私達と違って……すっごく硬くて、逞しかった』


 テレビに映る綺麗なお姉さんの一人は何かを思い出しているのか、恍惚とした表情で両腕を宙に突き出して両手をわきわきと動かしている。 その話を聞いている男性経験の無いお姉さん達は、羨ましそうにその様子を眺めている。


 あんなに綺麗なのに、男性経験の無いのか……男性が少ないのが原因かも知れないけど、男女の出会いも少ないのが原因なんじゃないのか?

 この世界の男性達は、俺と同じく家に引き篭もってそうだし……出会いを求める女の人達は、大変そうだなと俺は人事のようにテレビを眺める。


『良いなぁ……私も気軽におっぱいを触らせてくれる彼氏が居たなら、好きなだけ触りたい……!」

『はぁ……そんな都合の良い男性なんて、見つかるわけないわよ? ただでさえ男性が少ないんだから……そんなエッチに寛容な人、二次元だけの存在じゃないかしら?』

『一応……恋人になったからって、気軽におっぱいを触らせてくれるわけじゃないからね? 事前にいろいろと根回して、彼が上機嫌の時にたまたま触らせて貰えただけだから。 それ以外で、触ったりしたら……例え恋人でもセクハラで逮捕なんだからね?』


 男性経験の無い綺麗なお姉さん達は、男性の胸に瞳をきらきらさせて思いを馳せている。 俺はそんなお姉さん達の話を聞いて、男の平らな胸にそこまで興奮できるのかと不思議に思った。

 これも世界も常識も違うから、そう思ってしまうのだろう。


「むにゃむにゃ……このおっぱいは我のなんだぞぉ……誰にも渡さないからな……」


 お姉さん達の声が聞こえたのか……銀髪の女の子は、寝言を言っている。

 先ほどまでお腹を撫でていた小さな手は、何時の間にか俺の胸の上に来ていてた。

 少し眉を寄せて、何か怒っている顔をしている銀髪の女の子。


「うぬぬ……出てきたな、この禍々しい瞳を持つ者よ。 レイヴンは……我の伴侶なんだぞぉ……だから……そ、それ以上……わ、我らに……近寄るでない……。 我の警告を無視するのであれば……我とレイヴンの力で……あれ、どこにいったのだレイヴン……すぴー」


 今度は険しいと言うか、何か追い込まれてる感じな表情に変わり……布団がゴソゴソと銀髪の女の子の脚が寝ているにも関わらず、何かから逃げようと忙しく動いている。

 銀髪の女の子は、身体を震わせてそうとう強烈な悪夢を見ているみたいだ。

 俺はその苦しそうな表情が可哀想になり、頭を撫でる手を再開させる。


「ん、んんっ……ここに居たのか、レイヴン……今こそ我らの力を……あの者をこの世界から滅するために……? あれっ、ここは? 先程までのは……我の夢だったのだ……?」


 どうやら頭を撫でた事で、夢から目が覚めてしまった銀髪の女の子。

 目が覚めた直後は焦った様子だったが、ここが現実だと理解すると落ち着いてきたようだ。

 だけど……何かまだ不安なのか、銀髪の女の子は今まで以上に身体を寄せてきて……そして俺の肩を枕にするように、小さな頭を乗せきた。


「れ、レイヴン……今度こそ我と一緒に、闇に埋もれようぞ? 今度もまた、あの禍々しい者が我の精神世界に現れるかもしれん……だから、今度こそは我と一緒に力を合わせてあの者を、我らの世界から消し去ってしまおうではないか?」


 俺の顔を覗きこむように見る銀髪の女の子は、まだ少し先ほどの夢の影響を受けているのか身体を震わせて何かに怯えている。 赤い瞳をうるうると潤ませて、俺の眼をじっと見つめながら願うように銀髪の女の子は言った。


 ―――つまり……一緒に寝ようと、言いたいのか。


 俺は銀髪の女の子の言葉に、頷くとリモコンでテレビの電源をオフにした。


「おやすみ」

「うむ……では、行こう。 あの禍々しい瞳を持つ者が待つ……あの世界へ」

深夜、食器洗っていた時にあべこべ世界の深夜番組はどんなだろうと思いついた事を書いてみました。

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