27.どうやら妹は、恥ずかしいらしい? ※挿絵あり
27話投稿です。 今回は、挿絵があります。
「……今日は地震が多発しているのか。 あー……確かに今日は、何回も地震あったかもしれないな。 このニュースサイトには、もしかしたら何か天変地異あるかも知れないって書いてあるけど……って、あれっ……? なんだか、急に音が出なくなったぞ? 壊れたのかな?」
平日の今日も俺は、自分の部屋で引き篭もって居た。
俺は家族公認の引き篭もりだから、学校へ行かなくて良いんだけどね。
もし学校に行こうとするなら、妹に拘束されるのは間違いないと思う。
そんな訳で、俺は今日も暇つぶしをしている。
朝からネットで面白い動画などを見て回っていたけど、”歌った”カテゴリーの動画を聞きながらニュースサイトを見ていたら途中で音が出なくなってしまった。
パソコンが壊れている訳じゃなくて、イヤホンがどうやら壊れているらしい……。 この世界の小守コモルが使っていた物なので、寿命か故障かどっちかだ。
「窓の外は……もう、暗くなりそうだな」
椅子から立ち上がり、カーテンの隙間から窓の外を見ると……外はもう薄暗く、ニュースサイトを信じて天変地異が怖いとかでは無いが、今から家を抜け出してイヤホンを買いに行けるような時間じゃない。
俺はどうするかと考えていると……隣の部屋で、物音がした。
どうやら、妹が学校から帰ってきたらしい。
「そうだ、妹から借りれば良いんだ」
ノートパソコンにイヤホン繋げてる妹なら、使わなくなったイヤホンを持っているかもしれない。
この前一緒にMMORPGタルタルオンラインをしている時に、妹の柔らかそうな耳にカナル型イヤホンが差し込まれていたのを俺は思い出した。
俺は早速妹の部屋に、イヤホンを借りに向かう。
コンコンと俺は妹の部屋のドアを、軽く叩く。
「用があるんだけど、今入って良いかな?」
部屋に比べて廊下は、寒いので手先が冷える。
妹の部屋の中で、布の擦れ合う音がしているみたいだけど着替え中なのかな?
『んしょ……はい、良いですよ兄さん』
部屋の中から、妹の返事が聴こえたと思ったらドアが開いた。
ドアはゆっくりと開いて、その隙間から妹の部屋の空気が流れてくる。
香水か妹の体臭なのか分からない甘い匂いと、僅かに妹の汗の香りが俺の居る廊下に匂いが漂う。
俺はドアが開いたので、用件を言おうと口を開いたがそのまま……何も言え無くなった。
「何のご用でしょうか兄さん?」
「………!?」
「どうしましたか……兄さん? 口をパクパクさせて、何をそんなに驚いているのでしょう? 私……何か、変でしょうか?」
妹は俺の驚いた表情を見て、何か自分が変なのかと艶のあるツインテールを宙にゆらゆら揺らしながら……自身の半裸の身体を、きょろきょろと小さな頭を動かし確認している。
ドアを開いたその先に居た妹は、白のTシャツと……柄の無い白のショーツだけの格好だった。
手を伸ばせば触れられる距離にグラビアアイドルにも負けていない程の、魅力的なプロポーションの妹が無防備な姿で現れた。 白のTシャツを内側から押し上げる胸は、シャツ越しに見ただけで大きいと分かる。
くびれたウェストに、シミ一つ無い柔らかそうな大きなお尻。 露出した素肌は、若いせいでもあるけどまるで赤ちゃんのように手に吸いつきそうな瑞々しい美肌だ。
ゴクリと俺は、喉を鳴らす。
俺は思わず妹の、無防備な姿を上から下まで眺めてしまった。
視覚に映った妹の素肌が多く露出した姿は、俺の色欲を大きく刺激した。
普段から妹に服越しにおっぱいを押し付けられたり、銀髪の女の子に抱きつかれたりしていたが……それはある程度我慢できた。
だけど……この世界に来てから二次元美少女の色っぽい絵や、露出した肌の載った大人の本や雑誌ど今の所見かけていない。 そのせいか俺には、抱きつかれたりするよりも色っぽい格好の方が効く。
「うぅ……このままでは冷えるので、兄さんがこうなった原因は分かりませんが……とりあえず兄さんは、私の部屋の中に入ってください。 ご用件は、部屋の中で聞きますので……」
妹は、部屋の中から手を伸ばして俺の手首を掴む。
妹の手は暖かく、触れている肌がじんわりと温まる。
手首を掴まれた俺は妹に引き寄せられて、そのまま妹の部屋に入った。
「ふぅ……部屋の中は、暖房が聞いているので温かいです。 そう言えば……兄さんが私の部屋に入るのは、あの時以来ですね?」
「そ、そうだな……」
あの時か……確か妹の具合が悪くなって、俺がベッドまで運んで世話をした時の事を言っているみたいだ。 汗で濡れた服を脱がしたり、パジャマに着替えさせたりと思春期の男の俺には大変だったのを覚えている。
熱っぽい表情の妹にじろじろと見られながら汗で濡れた服を脱がすのは、心臓が破裂しそうなほどドキドキしていたので忘れられる筈がない。
……それにしても、近いな。
何がと聞かれたら、妹と俺との距離だ。
寒いからと部屋に入ったのに未だに、俺の手首を離さない妹は……直ぐ目の前。
俺の方が身長が高いので、視線を下げればTシャツの隙間から妹の胸元が見えてしまう。
「ん……? 兄さんは、どうして私から顔をそらしているのですか? やっぱり……どこか私、変なのでしょうか……」
妹の方を向いて無いので、表情は分からないが……声からして、俺の行動が分からなくて困惑してるようだ。
この世界の常識を持つ妹には、男でそれも家族の俺に極端に言えばショーツを脱がなければ問題ないのだろう。
元の世界での男性の常識をこの世界の女性に当てはめれば、おっぱいを見られても平気なのはなんとなく分かる。 まあ、中には男性におっぱいを見られるのを嫌がる人はいそうだが……妹は見られても、平気な方なのだろう。
☆ ユキ
私にご用件があった筈の兄さんは、部屋の中に入ると私から顔を背けてしまいました。
兄さんは赤い顔で、私の方を見ないようにしています。
どこか私の身体に、兄さんが必死に顔を背けるような変なところがあったのでしょうか……?
「ん……? 兄さんは、どうして私から顔をそらしているのですか? やっぱり……どこか私、変なのでしょうか……」
兄さんにそう私が問いかけると……私が手首を掴んでいない方の手で兄さんは、赤い頬を掻いて口を開きました。
「別に変じゃない……」
「なら……こちらに、顔を向けてください兄さん。 変じゃないのにそんな事をされると……兄さんに悪気が無くとも、私は……不安になってしまいます」
「そ、そうだな」
そう言うと兄さんは、背けていた顔をゆっくりとこちらに戻しました。
兄さんは赤い顔で、私をじっと見ます。
―――ゾクリ。
私は兄さんに見られた瞬間……何故か分かりませんが、背筋がゾクゾクしました。
兄さんの瞳は……まるで、獲物を狙う野獣のようで……女の私が、男の兄さんに思わず身の危険を一瞬感じてしまうほどにギラギラとした瞳をしています。
特に私の大きすぎる胸や、下半身に兄さんの熱い視線を感じるような気がしてなりません……。
―――もしかして……私は今、兄さんに欲情されているのでしょうか?
『「……っ!?」』
そう私が感じた瞬間、一瞬意識がどこかに飛んだと思っていたら……身体の奥から熱い何かがドクドクと溢れてくるのを感じました。
これまで兄さんの妹として生きてきて、今まで私から兄さんに欲情する事があっても……兄さんの方から、強く欲情される事はありません。
初めて強く欲情した目で見られた私は、女の子孫を残す本能が今すぐ襲えてと訴えるなか……自分でも理由も分からずに、兄さんの手首から手を離して……視線を感じる胸と脚の合間をまるで大衆に裸を曝した男のように手で隠してしまいます。
『兄妹だからって、こんな姿兄さんに見せるなんて恥ずかしいです!』と、頭の中でもう一人の自分がそう私に言っているのが聴こえましたが……もう一人の自分なんて、マンガではありえても、現実ではありえないとその声を幻聴と思うようにします。
「………」
「………」
兄さんはこちらを向いた後、黙って私をじーっと見つめています。
私の部屋で兄さんと私は、黙ったまま時間が経過しました。
―――幻聴を聴いたせいか分かりませんが、兄さんに熱くなっているココを見られるのが恥ずかしい……と思えてきてしまった私は、どうしてしまったのでしょう?
普段の私なら男の兄さんに、欲情されたと思ったら……その瞬間に、兄さんが嫌がっていてもを押し倒してしまう筈です。
「そ、そう言えば兄さん? 何かご用件だったんじゃありませんか?」
「あ……ああ、そうだった」
兄さんのそのギラついた目で、Tシャツとショーツを見られるのが耐えられなかった私は……兄さんの気を逸らすが如く、そう口にしていました。 身体の奥の疼きがじんじん強く疼いて、女の本能のままに行動しない私に抗議しているかのようです。
私の言葉に兄さんは、当初の目的を思い出したのか……あのギラギラした瞳を止めて、何時もの兄さんの目に戻りました。 ふっと私の恥ずかしいと言う気持ちが、軽くなった気がします。
「実は俺のイヤホンが壊れたから、もし良かったら……使わなくなったイヤホンを、俺に貸してくれない?」
「兄さんの使っているあのイヤホン、私が電気店で購入してから結構経ちますからね。 後日新しいのを私が購入しておくので、今日はこれを使ってください♪」
私は兄さんから自分の身体を隠すように身体を縮こませて、机に置いてあるノートパソコンにさしてあった私のイヤホンを抜いて兄さんに渡しました。
眠る前にイヤホンを軽く手入れをしているので、そのまま兄さんに渡しても大丈夫な筈です。
「それは今使っているイヤホンじゃ……?」
「良いんです兄さん。 今日は、パソコンで動画などを見る気分じゃないないので大丈夫ですから。 遠慮無く、それを使って良いですよ?」
「ありがとう、壊さないように大事に使うよ」
「あっ……」
「ん? どうかした?」
「い、いいえ、何でもありません……!?」
「そう……?」
兄さんに渡す際、軽く兄さんの手に触れて……胸がドクンっと跳ねるのが分かりました。
顔が熱くなり、性欲からくる想いとは違う……心がジンっと熱くなる想いが溢れてくるようです。
「じゃあ……着替え中に来て、ごめん」
「き、気にしないでください兄さん……! 女の私のこんな姿を兄さんに見られても、何ともありませんから!」
遠慮せず、じっくり見ても良いんですよ兄さん♪と続く筈が、その言葉が私の言葉から出ませんでした。
今日の……いや、兄さんのあのギラついた目を見てからの私はおかしい……。
自分じゃない自分が私の中に居て、私の心と身体に影響を与えているみたいな感じがします……。 あの声はまさか幻聴じゃなかったのでしょうか……? いやいや、まさかそんな……。
「夕飯、楽しみに待ってるから」
頭の中で、自分の事で混乱していると……何時間にか、私に背を向けてドアノブに手を掛けていました。
私は慌てて、兄さんに返事をします。
「はい、腕によりをかけて作りますので、楽しみに待っていてくださいね兄さん♪」
………。
隣の部屋から、ドアが閉まる音が聴こえました。
私はほっと、息を漏らしてベッドの上にうつ伏せに倒れこみます。
「どうしてしまったのでしょう……私。 あんな目で見られたら、お腹の奥が痛いほどきゅんっとなって卒業なんて待てずに私は兄さんと”初めて”を向かえていた筈なのに……」
ベッドの上でそんな事をいろいろと思っていたら、その内私の中のから”私”が風船の空気が抜けるように外に抜けていくような気がしました。
そうしたら……さっきまで身体を見られて羞恥心でいっぱいで、あんな格好のまま兄さんの前に出た自分を自分で説教したい気分だった筈なのに……すっと羞恥心が消えていき、自分で自分を説教したい気分なんて無くなります。
それから数分が経って、完全に”私”が抜け切ると……。
「あぁ~~~、なんであの時……私は……!」
隣の兄さんの部屋に、届かないように気をつけながら声を出します。
さらにベッドを握った手で、ガシガシと殴り。
私の目からは、悔し涙が溢れてきました。
そして”私”が消えて、残ったのが”後悔”でした。
兄さんにあんなギラついた目で見られたのなんて、今までなかったのに……!
なんで私は兄さんに胸や下半身を見られて、あんなに恥ずかしかったのでしょう?
あの時の兄さんなら、合意の元で私が兄さんの初めてを頂ける筈でした……最近、私に隠れてこそこそと兄さんに会いに来ている女達の先を越せるチャンスが合ったのに私自ら不意にしてしまい。
後悔と自分で自分が許せない思いで、頭がいっぱいになりました。
一時的に、主人公の元の世界の妹がこの世界の妹に影響を与えました。




