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24.どうやら記憶が曖昧らしい。

お待たせしました、半年ぶりの投稿です。

「ふぁ~……ねむい」


 あまり眠った気がしない……疲れているのに夜遅くまで、銀髪の女の子に付き合ったせいだ。

 執事服なんて生まれて初めて着てみたけど、なんだか背筋がピンと伸びるね。

 この服着て猫背なんて、似合わないと思うからかな?

 俺はベッドから上半身を起す。


「あれっ? そう言えば……執事服を着てから……どうしたんだっけ?」


 銀髪の女の子の前で、執事服を着たのは覚えているけど……その後、何をしたのか記憶が曖昧だ。

 昨日はいろいろあり過ぎて、疲れが溜まっていたので途中で眠ったのかもしれない。 俺は自分の身につけている服を見た。


「ん~……パジャマだ。 何時着替えたんだろ……? 全然覚えていないんだけど?」


 額に手を当てて、記憶を探ったけど……着替えた記憶が無い。

 俺は眠気で頭が働かない中、昨夜の事を思い出そうとしていると……ベッドの中でモゾモゾしてる”何か”を感じた。


「むにゃむにゃ……レイヴン、もっと我を撫でるのだ……えへへ」

「………」


 俺は布団を少し持ち上げて、中を見ると……寝癖になっている銀髪の女の子の頭頂部が見えた。

 銀髪の女の子は、小さな身体を丸めて眠っているみたいだ……。

 どうやってパジャマに着替えてとか考える前に、銀髪の女の子が帰ったかどうか考えるべきだったか……。


「妹が、朝食を持って来てくれるまでには……まだ多少時間があるか」


 俺は、ほっと胸を撫で下ろす。

 昨日の疲れで、お昼近くまで眠っていたかもしれないからだ。

 もし……この状態を妹に見つかっていたら。


『ふふふ……邪なる気を発する者よ。 我のレイヴン前から、消えるがよいのだ』

『兄さんから離れなさい。 いえ、この世から消えてなくなりなさい。 兄さんには私以外の女は、いらないのですから……!』


 妹VS銀髪の女の子になっていた気がする……。

 想像するだけで、寒気がするな。


「んにゃ……? ふぁ~……レイヴン、おはようなのだ……」

「おはよう……ん?」


 服がシワになるのも気にせずに私服姿のまま眠っていた銀髪の女の子は目が覚めて、布団の中で俺を見上げる。 俺を見つめる大きな赤い瞳は、二つ。

 どうやら銀髪の女の子は、眼帯を外しているみたいだ。

 銀髪の女の子は寝起きのトロンとした目で、ぼーっと俺を眺めている。 寝起きの銀髪の女の子の顔は、いつも中二病を拗らせている時より幼く見える。


「レイヴンのお腹、暖かい……もう少し、眠るのだ」


 朝の挨拶を終えた後、何もせずに居たら……布団の中から俺の身体の上に登って来た銀髪の女の子が、腹の上で二度寝を始めてしまった。 柔らかい頬っぺたの感触が、お腹に感じる。

 俺は眼前の寝癖になっている銀髪を眺めて、二度寝に入っては困ると銀髪の女の子に手を伸ばすと……。


 ガチャ……ガチャ……と、唐突にドアノブが数度回る音がした。


『あれ……扉に、鍵が掛かっています?』


 ドアの先から、妹の声が聞こえる。

 その瞬間、俺は冷や汗が出た。

 恐れている事態が、起きそうだったからだ。

 それにしても昨日念のために、ドアに鍵を掛けといたのは正解だったみたい……。


「………!」


 俺は現在の時刻を勘違いをしたのかと、再度時計に目を向けるが……朝食の時間には、まだ早い。

 もしかしたら、この時計が壊れているのかと思いスマホの画面に映る時間を一瞥すると……時計と同じ時刻。 そうなると残るは、妹が朝食の時間を間違えた事になるけど……あの、妹が間違える筈がない。

 銀髪の女の子が俺の腹の上で二度寝しているにも関わらず、俺は妹の行動に頭を捻る。


『はぁ……少しの間、兄さんと一緒に添い寝しようとしたのに……鍵が掛かっているのなら、しょうがないです』


 妹は残念そうに言うと、部屋の前から遠ざかって行った。

 俺は少しの間、部屋のドアを見つめて問題ないか確認する。

 何故かって? どこかに行ったと思った妹が、実はドアの前に居るかもしれないと思ったからだ。

 これから銀髪の女の子を起すのに、ドアの前で聞き耳を立てられていたら困るから。


「行ったか……?」


 俺は耳を澄まして、ドアの前に誰も居ないか探るが……時計の音と銀髪の女の子が立てる音以外は、特に音はしなかった。 視線をドアから外して、俺は腹の上で僅かに身動ぎをする銀髪の女の子に視線を戻す。

 未だに幸せそうに、頬を緩くさせて二度寝を続けている。


「すぅ……んっ……ふふふ、我の力を前に……屈するが良いのだ……」


 何の夢を見ているのだろうと思ったが、そろそろ俺の上からどかさないといろいろ限界だ……。 銀髪の女の子の胸が俺の腰の上に乗っているので、このままでは朝から変な気分になりそう。

 俺の上に乗ったまま身動ぎなんてされると、銀髪の女の子の弾力のある二つの柔らかい感触が布越しに伝わってくるので本当にやばい……。


「んんっ……誰なのだ……我の眠りを妨げる者は……すぅ……」

「なかなか、起きないな」


 腹の上の銀髪の女の子の華奢な肩を、揺すったけど全然起きない。

 むしろ……さっきより、身体を密着させてきたような気がする。

 ……実は寝てるようで、起きているんじゃないのか?


「すぅ……すぅ……もう、お主とは離れたくないのだ……はぁ……はぁ」


 銀髪の女の子は熱い吐息を漏らしながら、俺のパジャマを掴んで僅かに身体を前後に揺らす。 密着状態でそんな事をされると、いろんな所が擦れて互いの刺激に敏感な部分が反応してしまう。

 寝息以外の声を漏らしている銀髪の女の子の前髪の隙間から覗く、白い頬は赤く染まり……若干興奮状態なのが、分かった。

 うなじに薄っすらと、汗がかいているのが未成熟ながらも大人の色香を漂わせている。


「………実は、起きてるでしょ?」


 不自然すぎる身体の動きに、俺はそう問いかけずにいられなかった。


「むにゃむにゃ……もう、食べられないのだ」


 俺が起きているのかと言う問い掛けに……銀髪の女の子は目蓋をピクピクさせて問いには答えず、寝言っぽい事を言って誤魔化しているみたいだ。


 ………。


 俺は寝たふりをして何かをしていた銀髪の女の子を、無理やり引き剥がして部屋を出た。

 あのままだと、刺激が強すぎて思春期の俺には耐えられそうにないのと……お手洗いに行きたかったからだ。


「あ……兄さん、おはようございます」


 妹は俺に、笑顔を浮かべた。 アイドルのような可愛い顔の妹の笑顔は、寝ぼけた俺の意識をはっきりさせるほど強力だ。


「お、おはよう」と肩をビクンと震わせながら、俺は挨拶を返す。


 部屋を出た直後に隣の部屋から、相変わらず俺のパジャマの上着を寝巻きにしている妹が出てきた。

 偶然かは知らないが、出てくるタイミングが良すぎる……まるで、隣の部屋で俺が出てくるのを待っていたようなタイミングだ。 俺はとりあえず部屋の扉の前で、妹が一階に降りるか部屋に戻るかどうか様子を見る事にする。

 俺がこのままお手洗いに行った後に、妹が俺の部屋に入らないか一応心配だからだ。 銀髪の女の子は未だに俺のベッドに居るので、妹に部屋に入られたら困る。


「いつもより、早起きですね兄さん?」


 妹はそう言うと腰まで長い黒髪を、ゆらゆら左右に揺らしながら俺の前に来た。

 艶のあるさらさらの黒髪は、銀髪の女の子とは違い寝癖一つ無い。

 銀髪の女の子とは違う、妹の男を誘う甘い体臭が俺の鼻孔をくすぐる。


「たまたま目が覚めて、今からお手洗いに行くところ」

「そ、そうですか……」


 俺がお手洗いに行くと言うと、妹は気まずそうに目を伏せる。

 なんでそんな顔をするのかと、俺は思ったけど……元の世界の常識で考えると、声を掛けたら女性に「今からお手洗いに行くの」と言われて気まずくなるのと一緒の状況かなと考えた。


 ………それから自分の部屋の前で、動かない事数分。

 正直お手洗いに行きたいが……そうは行かない状況になった。

 現在俺の部屋の前で、俺と妹は対峙している。


「………」

「………」

「ねぇ……兄さん、お手洗いに行かないんですか?」

「もう少ししたら、行くよ」

「そうですか……でも、我慢は身体に良くないと思いますよ?」

「いや、無理に我慢してる訳じゃないから大丈夫だよ」

「でもでも……」

「いやいや……」


 俺の前に来た妹は、俺では無く……背後の俺の部屋に用があるのが視線から分かる。

 女の勘なのか……それとも俺の部屋を監視していたのか知らないが、部屋の中に居る銀髪の女の子が目的のようだ。 俺がこのままお手洗いに行ったら、どうなるか火を見るより明らかなので……妹が諦めるか朝食の準備でここを去るまで、俺はここを防衛する事になった。

ある日突然、次の話が思い浮かばなくなり。 続きを待っていてくださっていた方々には、だいぶ待たせてしまい。 すみませんでした。

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