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13.俺はどうやら妹に食事の世話されるらしい。

13話です。火曜日は忙しいので遅れます。

 朝はとんでもない目に合ったが、今日も俺の引き篭もりの一日は始まる。


 人生にはゲームの様に”セーブ”&”ロード”など無いのだ。

 「有るよ!」と言う人は、特殊能力持ちか幻覚見ちゃってる人だろう。

 それで……なんでこんな事を俺が言い出したかと言うと……。


 俺は隣を見た。


「ん?兄さん、どうしましたか?次は何が食べたいですか?」


 妹は俺の視線に反応して、ぱぁっと笑顔になり俺の方に顔を向けた。

 ローテーブルの前で座布団の上に座っている俺の隣で同じ様に座っている妹が、今日はいつにも増して俺に接近しているからだ……。


 今日は若干冷えるので妹は今日は胸元が見えない上着を着ているが、胸のあたりがきつきつで……服を押し上げる大きく育った胸の形が強調されている

 さらにブラジャーなどは、今日もやはりしていないらしく……余計に形が浮かび上がるので、隣に居る俺は目のやりばに困る事間違いは無い……。


 どうやら、今朝の出来事が薄っすらと妹に伝わっているようで……妹が今日は休日だと言う事もあり。

 朝から俺と一緒に過ごすつもりのようだ。

 妹本人からは、未だにはっきりと”今朝他の女と一緒に居ましたよね?”とは言われてないが……言わないだけで、態度には現れている。


「やっぱり俺は、自分で食べたいんだけど……」


 俺の目の前には、ローテーブルの上に温かい朝食が並べられている。

 だが、その朝食を俺は自分自身で頂いていない……。

 俺は今、妹に朝食を食べさせて貰っている。


 現在俺は、利き腕の右腕を封じられている。


 どのようにかと言うと……恋人同士がやる腕組みってあるでしょ?あれの座ってるバージョンと言えば良いのかな?さらに妹はそれだと、完全に封じてないと思ったらしく……。

 自分のミニスカートから伸びた剥き出しのフトモモで、俺の右手を挟んで俺の右腕を完全に身動きが出来ないようにしたらしい。


 良い過ぎかも知れないが……まるでつきたてのお餅に両側に挟まれたような感触が、俺の右手に感じられた。

 そう感じられるほど妹の内モモはモチモチとした肌の感触なのだ。

 ピクっと少し指を動かすだけで、スベスベの触り心地の良さを感じる。


 右手に感じる妹の内モモの感触に俺は、身体中の血液の流れがドクンドクンと速くなるのが分かった。


 相手は実の妹とだけど……女性慣れしてない俺には、この状況はとても平常心で居られる状況じゃない……。

 右手の感触に意識が集中し過ぎて、妹が食べさせてくれる朝食の味なんてもう分からない……。


「自分で食べては、駄目ですよ兄さん?そろそろ、私も本気で兄さんの面倒をみようと考えました。なので、まず始めに兄さんの食事のお手伝いをさせて頂こうかと思います。本気ですよ私は?」


 妹は笑顔から真面目な顔に変えて、俺にそう言った。

 どうやら妹は、引き篭もりの俺の面倒を一生見るつもりらしい……。


 さらに妹は俺に反論も言わせないと言うように……腕の拘束も強くなり、内モモで挟んでいる右手の圧力もぎゅうぎゅうっと強くなる。

 緊張状態の俺はさらに緊張して、手の平をぶわっと吹き出した手汗で濡らしてしまう……。


 そんな俺の緊張状態も知らずに妹は、右手に持ったお箸でおかずを掴んで。


「はい、兄さん。あーんしてください♪」


 俺の口の前に、妹はお箸に挟んだおかずを持ってきた。

 このままでは、ずっと妹に食事の世話になってしまう……それは嫌だと俺は口を結んで、食べるのを拒否する。


 引き篭もりだからって、食事ぐらいは自分でしたいのだ……!

 だから強引にでも右腕の拘束を抜けるために、立ち上がろうとしたのだが。


 ぎゅうぅうううっと腕を拘束する力が強く……俺は上手く立ち上がれない。


 実感する事が少ないため、時々忘れる事があるけど……この世界の女性って俺の居た世界の男位力が強いんだよね。

 まあ、この世界の男じゃない俺なら……体勢が悪くなければ、なんとか妹の拘束を抜けられるかもしれないけど。

 体勢が悪い状態で、体重を掛けて引っ張る妹に対抗するのは、かなりきつい……。


 拮抗状態……妹との力比べはどうやら互角か……このままだとどちらかが、体力が尽きるまで続くかな?


「もう……兄さん、ちゃんと座ってくれないと私が上手く食べさせられないじゃないですか?えいっ!」


 互角だと思った引っ張り合いは、どうやら俺の勘違いだったらしい。

 妹はさらに力を込めて引っ張ったために、俺は座布団に戻された。


「……っ!」


 どうやら本気になった妹に、一瞬で力負けをしてしまった俺……この世界の男じゃない俺でも、この世界の妹の力には勝てないらしい。

 そりゃあ、引き篭もりで運動してない俺では……この世界の現役女子高生の妹には勝てないわ。

 この世界の妹に勝つ気なら、少しは室内トレーニングを毎日するべきだったかも……。


「………」


 俺は少し慢心していたのだ。

 例え別の世界に変わっても、女性に力負けはしないだろうと……あるとすれば互角くらいかなと。

 慢心した結果はこれだ。

 男としてのプライドが少し折れた……。


「どうしましたか兄さん……?もしかして、今のでどこか身体を痛めてしまいましたか?」


 俺が妹に力負けをしてシュンとしていると、眉を八の字にさせて心配そうに俺の顔を覗く妹の顔が視界に入った。

 男性より女性の方が力が強いのが当たり前のこの世界の妹には分からないのだろう、俺がなんで落ち込んでいるのかを……。


☆ 妹 ユキ


 今朝、私は朝食を兄さんに届けるために、兄さんの部屋に入ると……私以外の女の匂いがしたのです。

 この前は、気のせいだと思っていたのですが……今朝嗅いだ女の匂いと同じだったところを見ると、どうやら気のせいじゃなかったみたいですね……。


 知らない内に私の兄さんの部屋に、女が忍び込んでいたようです。

 これには私は、煮えくる返る思いでした……。

 だってそうでしょ?私の大切な兄さんに、私の断りも無く近づいたのだから……ああ、何で私は油断をしていたのでしょう。


 兄さんが大切、大切と口では言いながら……他の女を兄さんに近づかせてしまったのですから。

 きっと兄さんはその女に、怖い目に合わされた事でしょう……もしかしたら、妹の私に言えないような事をされたのでしょうか?


 ……ああ、きっとそうです!

 だから、この前も今朝も私にその女の事を言わなかったのには納得がいきます!

 兄さんは口にするのも憚られるような事をされたので、私に言いたいけど言えないのでしょう……。

 私の油断で兄さんに怖い思いをさせてしまったのは、申し訳が立たない気持ちです……。

 少しでも兄さんの心が癒されるように、私が兄さんのお世話を今まで以上にしてあげないといけませんね。


 だって兄さんは私に”俺の面倒を一生見てくれるか”と言ってくれたのですから……。


☆ 小守 コモル


「どこも悪くないよ……」

「本当の事を言ってください兄さん……。顔色が悪いのは私が強く引っ張ったせいで、どこかお身体を痛めてしまったせいじゃ……」

「本当にどこも悪くないよ。ただ……ただ妹に力負けしたのが悔しかっただけだよ」


 俺の言葉に、きょとんとした顔になる妹。

 やはり、この世界の妹には意味が分からないらしい。


「そんなの当然じゃないですか?男性の兄さんが……女性の私に力で勝つなんて、無理に決まってます。それに兄さんは、鍛えてないのですから私に勝つなんて無理ですよ?」


 妹はそれが世界の常識だと言った……だが、言った直後にどこか腑に落ちないのか考え込む。

 俺の右腕をぎゅっと抱き締めて、先ほどの光景を思い出してるのか妹の視線は宙を見ている。


「変なんです……兄さんはこんなに力が強い訳が無いのです。どうして女性の私が一瞬でも本気で……男性の兄さんに本気になってしまったのでしょう?」


 宙を見ていた妹の瞳が、突如俺の眼を見る。

 妹は疑問の答えを見つけるようにじっと俺の目を見つめ続けた。

 言っても良いのだろうか?俺は別の世界の兄さんだと……。


「実は俺はココと似た世界から……」

「実は兄さんは、私に隠れて身体を鍛えていたのですか!?どうりで……最近の兄さんは、とても力が強くなったなと思っていたのですよ。それでこっそり力勝負をしかけて……でも結果は妹の私に力負けしてしまって、悔しかったと……。くふふ、私の兄さんは実は負けず嫌いだったのですね♪今日もまた、兄さんの事が一つ理解してしまいました私♪」


 言葉を遮られてしまった……。

 なんかこの状況で、もう一度言うのは言い辛い。

 良く考えたら……この妹に「実は俺は本当の兄さんじゃないんだ」とか言って、じゃあ本当の兄さんはどこ?とか聞かれたら……俺はどうすれば良いのか?


 「別の世界に行ってしまった」と言ったら、この妹は「兄さんを返して」とか言うかも知れない……。

 その後の展開はデッドエンドしか見えない……。

 まあ、こんな荒唐無稽な話をこの世界の妹が信じればの話だが。

 普通なら「兄さん、ちょっとアニメの見過ぎですよ?」とか言われて終わるだろう。


 ぐー……と俺の腹が空気を読まずに鳴った。


「さて、兄さん。早く食べないから兄さんのお腹がご立腹ですよ?私に力勝負を挑むのは、兄さんなら歓迎しますけど……食事時は遠慮していただけませんか?ご飯が冷めてしまうのはもちろんなのですが……兄さんにはちゃんと食事して頂きたいのです。前みたいに……ちゃんと食べないで、倒れてしまわないようにお願いします……」


 妹は俺の事を本当に心配してるみたいだった。


 この世界の俺……食事拒否とか餓死したいのか?

 本当にこの世界の俺は、何考えてるのか分からないな……。

 そして未だに、この世界の妹も分からない。


「ですから兄さん?今度はちゃんとお口を開けてくださいね?はい、あーん……」


 何時の間にか俺の口の前に、箸につまんだおかずが用意されていた……。

 どうやら妹は、何としても俺に朝食を自らの手で食べさせたいらしい。

 このまま拒否しても、力勝負の第二ラウンドが始まるだけだと思うので……。

 ……ここは、素直に食べてあげた方が良いのかもしれない。


「もぐもぐ」

「美味しいですか兄さん?」

「うん」

「次はこの卵焼きをどうぞ兄さん」

「もぐもぐ、美味しい」

「くふふ、それは私が焼いた卵焼きなんですよ?母さんに教えて貰って焼いてみました♪兄さんに美味しいと言ってもらえて嬉しいです!」

「そうか」


 朝食はもちろん冷めてしまったが、美味しかった。

 

朝食回です。引き篭もりの主人公の力では、妹に今は勝てないみたいな感じです。

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