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11.中二病の女の子?俺の上で何かしているよ?

11話です。朝の出来事。

 ここ最近、人生は何があるか分からないと言う事を現在進行形で実感していた筈だが……。


 本当に毎日、何があるか分からない。

 目の前のだらしない顔しているコレ(・・)も、俺は予想してなかった。

 だからなのか……俺は、それを現実と思っていなかったのだ……。


「ふにゃ……我は幸せ……むにゃむにゃ……えへへ♪」


 幸せそうにしているコレは俺の胸に顔を埋めて、胸の感触を確かめるように顔を左右に動かす。

 俺の胸の中でモゾモゾとコレが動くので、少しくすぐった……。

 さらにパジャマの隙間から侵入した汗ばんだ小さな手が、俺のお腹をぷにぷに揉んで来るので余計にくすぐったい。


「………」


 朝起きたら目の前に、仰向けに寝ていた俺に覆い被さるように抱き付いている銀髪の女の子が居た。

 さらに意味が分からない事に、俺の胸に顔を埋めたり……俺のお腹を触ったりしている。


「我の頬に感じるレイヴンの胸の感触、なんて……硬くて男らしい……ふにゃ」


 俺の胸に銀髪の女の子の、ほんのり暖かい柔らかい頬っぺたの感触が布越しに伝わる。

 密着しているので、女の子の匂いなのか……甘酸っぱい匂いを感じた。

 そして俺は、ぼんやりとした思考でこれは夢なのか?と考える。


「すり……すり……えへへ、レイヴン♪」


 なんでこれは夢?と思ってしまったのか……それはリアルにしては、ちょっとありえないシチュエーションだからだ……。

 考えても見てくれ、朝起きたら美少女に抱きつかれているこの状況を……リアルに思えないだろ?


 実は俺は起きてない説。

 現在夢を見ているのが、正しい状況だと思われる。

 何故か夢の中なのに眠気を感じるのか?とか思ったが、眠気を感じる思考が考えるのを邪魔をする。


「すぅ……はぁ……まだ、レイヴンはぐっすり寝ているようだな……?なら……もう少し、過激な事をしてもレイヴンにバレはしないか?」


 俺の胸の上でもぞもぞと動き、銀髪の女の子の顔が俺の顔の方に向けられるのを感じた。

 こちらを向いたせいか、女の子の吐息が僅かに俺の顔に当たるのを感じる。


「うーむ……レイヴンの眼は、薄っすら開いている気がするが……起きた様子も無い。これはまだ寝ていると我が判断しても良いのだろうか?とりあえず……我が伴侶の寝顔をツンツンして、確かめて見ようではないか。ほれ、ツンツン」


 細く白い指が、俺の頬をツンツンと突いている……ちゃんと爪を手入れしているみたいで、頬を突かれてもあまり痛みは感じない。

 寧ろ……少し痛気持ち良いと感じる。

 銀髪の女の子は、リズミカルに俺の頬を一通りツンツンして満足したのか……ツンツンするのを止めた。


「うむ、よーく寝ているのだ。これなら我がナニをしても、気がつかない筈……」


 俺の身体に密着している銀髪の女の子の身体から、先ほどよりドクンドクンと強い胸の鼓動を感じた。

 銀髪の女の子は何か緊張しているのだろうか?僅かに身体の震えや息の荒さを俺は感じるような気がする。


「よいしょ……よいしょ……んっ……ふぅ」


 よいしょよいしょと呟きながら、身体の上を登ってくる銀髪の女の子。

 その際に、俺の身体と銀髪の女の子の身体が擦れて……妹とマオさんと比べると小さい胸の感触が俺の上半身に伝わってくる。

 銀髪の女の子の胸は妹の水風船みたいな柔らかい胸とは違い、ぷりぷりとしたゴム鞠のような弾力があった。


「それにしても、寝巻きの上から触れた感じ……レイヴンは男なのに、ぶ、ブラジャーをしないのだな?男の乳は敏感だと聞く、だから寝る時もブラジャーを着用している筈なのだが……レイヴンは平気なのだろうか?」


 俺の身体をよじ登ってくる銀髪の女の子は、不思議そうに呟いた。

 男が……ブラジャー?何を訳の分からない事を……それにしても、夢の中で起きて少し時間が経ったから……なんだか意識がはっきりしてきたけど。

 もしかして……これ、夢じゃなくて現実か?


 そんな事を俺が思っていると、何時の間にか銀髪の女の子の可愛い顔が……俺の首元の肌に直ぐ触れられる位置に来ていた。

 女の子の熱い吐息が、首元に当たってくすぐったい。

 何をする気だ?


賢者達の書(ネット掲示板)によると、男の首元に口付けをする事により……我の所有物の証だと、他の人間の雌に知らしめる事が出来るとか。我の伴侶たるレイヴンは、ずいぶんと人間の雌達に好かれている。ここは一度、ちゃんとレイヴンは我だけの伴侶だと……人間の雌達に、教えてあげないとな……ククク♪」


 口付けだと……!?

 や、やめさせないと。

 俺は上半身に力を入れて、ベッドから起き上がろうとするが……。

 時既に遅く。


「ちゅっ」

「!」

 

 俺の首元に、銀髪の女の子の瑞々しく柔らかい唇の感触がした。

 軽い感触だが、俺には十分過ぎるほど……衝撃的だった。

 今まで生きてきて、女の子……それも二次元から飛び出てきたような、銀色の髪の美少女にキスをされたのだ。

 ふっと俺の身体から力が抜ける……頭が混乱して、今起き上がるのを拒否したのだ。


「んっ……うーむ……我の口付けが悪いのか……それとも、そもそもやり方が違うのか。我が見たところによると、全然我の所有物の証がレイヴンの首元に浮かび上がってこないのだ……一回だけじゃ駄目なのか?」


 俺の首元から唇を離した銀髪の女の子は、頬を紅潮させながら思っていたのとは違う結果に眉を八の字にさせて戸惑っているようだ。


「それにしても……口付けとは、こんなにも気持ち良いのか?レイヴンの首元に口付けをした瞬間、我の頭の中がふわふわと浮いたように幸せな気持ちになったのだ……」


 銀髪の女の子は潤んだ赤い隻眼で俺を見つめて、白魚のような指で今俺の首元に口付けをした自分の唇を撫でている。

一通り唇を撫でた銀髪の女の子は、自分の撫でた指で……俺の唇を撫でた。


「!」


 柔らかい指の腹が、俺の少し乾いた唇の上を撫でる。

 暖かい女の子の指の感触が、俺の唇に感じた。


 これは……間接キスじゃないのか?!

 唇を触った指で、俺の唇を触ると言う事はそういう事だろう……。


「今、今世の意識の無いレイヴンの唇を奪うのは簡単だが……我は、意識のあるレイヴンの唇を奪いたい。だから……今は、我の証をレイヴンに刻む事だけで我慢をしよう……今はこれで我慢するのだ……んっ」


 俺の唇に触れた指で、今度はまた自分の唇をそっと撫でる。

 銀髪の女の子のトロンとした目で俺を見つめながらのその行為は、猛衝動を押さえ込むかのように自らを慰めている行為のようだ。


「んっ……ふぅ……」


 吐息が女の子の桃色の唇の隙間から漏れる。

 薄っすらと目を開けてその行為を見ていた俺は、自分の猛衝動を抑えるのに必死になっていた。


 相手は中学生とはいえ、立派な美少女……もうすでに、表情には大人のような艶やかさをかねそなえている。

 女性経験の無い、引き篭もりの俺には十分過ぎるほどの刺激なのだ。

 さらに俺の胸に銀髪の女の子の胸が重なり、その女性の柔らかい部分を主張してくる。


 妹もそうだったが……この世界の女性はブラジャーをしないのか?

 頻繁に俺に大きな胸を押し付けてくる妹も、服の上から触れた感じブラジャーをしている様子がないのだ。

 だから妹も銀髪の女の子も厚着をしていないので、胸の感触の情報がほとんど俺に伝わってしまう。


 そう……ほとんどの情報が密着している俺に伝っている……。

 興奮して鋭敏な感覚になっている部分の事も。


「くっ……んっ……はぁっ……服が擦れる」


 銀髪の女の子は、俺の上半身の上で身動ぎをしている。

 お互い密着していて、さらに呼吸をしているのだ……肺が膨らみ僅かだが上半身が動く。

 その僅かな上半身の動きが、服越しに上半身の密着している感度が高い部分を刺激して苦しいようだ。

 刺激にじっとしていられず、逃れようと動き……また刺激されてしまう。


 俺の上で身悶えている銀髪の女の子の様子に、俺はじっと耐える事しか出来ない。

 銀髪の女の子は俺が熟睡していると思っているようだし……俺は俺で、起きるタイミングを逃してしまっている。

 俺は嵐が過ぎるのを待つように、ギュッとベッドのシーツを握り閉めて銀髪の女の子の行為が終わるのをじっと待つ。


「はぁ……はぁ……んっ、ふぅ。我慢するのだ我……!もう既に漆黒の闇は、聖なる光に取り払われのも時間の問題なのだぞ。それに永久の闇で英気を養っているレイヴンが、何時現世に帰ってくるか分からない。一刻も早く、我の証をレイヴンに刻み込まなければ……!」


 そういえば、昨日の朝……銀髪の女の子は、魔道書(マンガ)を書いていて忙しいとか監視者(担当編集者)との用事が無い限りは学校に登校していると言っていた。

 だから、昨日も朝早くに自分の家に素直に帰ってくれたのだ。

 けれど、今日は休日の筈だから……銀髪の女の子は、朝から用事があるのかもしれない。


「もう一度、行くぞ……!んっ……ちゅっ」


 俺の首元に再び銀髪の女の子の、しっとりと濡れた唇の感触がする。

 唇はさっきよりも、潤んでいるみたいだ。

 女の子の唇は、未だに離れず俺の首元に密着している。

 唇の隙間から口内の熱い空気漏れて、俺の首元の肌をチリチリと熱した。


 その刺激に声が出そうになるが……俺はギュッと唇を噛んで耐える。


「んんっ……ちゅるる……!」


 銀髪の女の子は、さっきは軽く触れただけだが……今は肌に痛いほど吸い付いている。

 俺の首元の肌は強く吸われて、ピリピリとした痛みを感じさせている。

 確かにこれなら、俺の首元に赤い痕を腫れが引くまで残す事は可能だろう……。

 俺の普段着なら首元は隠されてないので、注意して俺の事を見れば痕が残っているのがバレる……。


 ……はっ!ば、バレる……だと!?

 や、ヤバイ!これはヤバイ事になった……妹に確実にこの事が、バレる。

 妹にバレたら、蚊に刺されてとか言えば良いのか?

 いや、いや、この世界の妹が俺の首元の痕を見て……蚊に刺されたとか信じてくれなさそうだ……。


 俺がこの後の事で、背筋がヒヤリとさせていると……。


「んっ……ぷはぁ……うむ、思った通りに我の証がしっかりとレイヴンの首元に刻み付けられているのだ」


 俺の首元の状態に満足したのか、銀髪の女の子は唇を離して首元から離れた。

 その時に銀髪の女の子の唇と俺の首元に、透明な橋が出来る。


 どうやら女の子の言う”証”がしっかりと俺の首元に刻まれてしまったようだ……。

 このチクチクとした痛んだ場所が、その証拠みたい。


『ピピピ……♪』


 控えめな電子音が、鳴る。


 銀髪の女の子は上半身を起き上がらせて、ちょうど俺の腹の上に跨るように座ると……自分の服の中から携帯を取り出して、落ち着いた様子で音を止めた。

 布団が持ち上がったせいで、布団の中で溜まっていた頭がクラっとするような女の子の甘い匂いがむわっと部屋に広がる……。


 それにしても……女の子の小ぶりのお尻に座られている俺のお腹が熱い……俺自身も、興奮で身体が熱くなっているのだけど。

 お腹と接触している銀髪の女の子のお尻が、すごく熱を持っているのだ。


 良く見るとスカートから伸びる、色白のフトモモには玉のような汗が浮かび上がっている。

 銀髪の女の子が、激しい運動した様子が無かったが何故にそんなにも汗を掻いていたのだろう……。

 

「ちょうど時間切れのようなのだレイヴン……今日は我は監視者と魔道書に関する事で、密談の予定が入っている。目が覚めたレイヴンに目覚めの挨拶をして上げられないのは、とても残念だが……我はまた、お主の元に帰ってくるので大人しく待っているのだぞ?」


 そう言ってから銀髪の女の子は俺の上から退いて、身なりを整える。

 俺はこれで解放される事に安堵して、力を抜いた……だが。

 急に俺の耳元に接近して……耳に口付けをした。


「ちゅっ……ふふ、それでは闇の時間にまた会おうレイヴン」

「!」


 油断をしていた所に、銀髪の女の子の耳への口付けだ。

 思わず驚いて、背筋をビクンと仰け反らせてしまった……。


 そうして銀髪の女の子は、窓を開けてそこから外に出て行った。

 俺は再び、緊張を解いてベッドに体重を預ける。

 その後……俺は頭まで布団を被り、朝食を持って来てくれた妹と会話する。


「兄さん、まだ眠っているんですか?朝食が冷めてしまいますよ?」

「昨日は、少し眠るのが遅かったからもう少し……」

「確かに、昨日は夜遅かったですから……分かりました。一先(ひとま)ず朝食は、下げて起きます。私は今日は学校が休みなので兄さんが起きてきましたら、私が温めなおしますね?」

「面倒を掛けて、ごめん」

「いえ、兄さんの事なら全然大丈夫ですよ。では、失礼します兄さん」


 妹が部屋を出るためにドアノブを掴んで捻った音がしたと思ったら……。


「そうそう……兄さん、ちょっとこの部屋の匂いが気になるので……寒いでしょうが、この後空気の入れ替えをしましょう。夕方には空気の入れ替えが終わっていると思うので、夕方には窓を閉めますね」

「あ、ああ……」


 心臓が高鳴った。

 妹には気がつかれて無い筈だ……。

 布団を少し下げて、妹の背中を見る。

 背中だけでは、妹の表情は確認出来ない……。


「……閉めるだけじゃなくて、鍵もちゃんと掛けますからね兄さん。猫さんが遊びに来れないように」


 そう言って、そのまま妹は部屋を出て行った。


 部屋からを妹が出て行った後、俺はこれからどうしようと悩みながらも睡魔に勝てず眠りなおした。

前日、銀髪の女の子と一緒に寝てるから次の日の朝も当然いるよね。

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