1.どうやら引き篭もりで良いらしい
はじめまして、あべこべ世界を書きたいと思って書きました。
「兄さん、引き篭もりを止めて……良い加減学校に行ってください」
妹は俺の部屋の外で、引き篭もりを止めろと毎日言ってくる。
毎日飽きずに俺に、脱引き籠りをしろと言ってくるもんだ。
俺が引き篭もりを始めたのは、なんとなく学校に行きたくなかっただけだ……。
一日休み二日休み……とずっと休み続けたら、そのまま引き篭もりの道に行ってしまった。
特に学校に行く理由はないけど、行かない理由もない。
だから……まあ、妹の言うとおりに一日だけ。
そう、明日一日だけ学校に行っても良いかな……。
俺はそう決心して、眠りについた。
………。
朝目覚めて、久しぶりに学校の制服に手を通した。
何時以来だか忘れてしまったが、制服を着るとなんだかワクワクする。
何時もはジャージだから、何だか新鮮な気分だ。
部屋に備えてある鏡で俺を見て見ると、ぼさぼさの髪を何とかしないとなと思う。
明日には引き篭もりに戻るわけだが、外出たついでに髪を切るかな……。
ふふっ、俺が学校に行くって言ったら……妹は驚いてくれるだろうか?
……それとも、何も反応しないとかだったりしたら哀しい。
とりあえず、部屋を出るためにドアノブを回して部屋の外に出る。
「あ、兄さん……おはようございます」
部屋を出ると妹に出会った。
まあ、部屋隣だし……高確率で会うよな、この時間帯なら。
「……おはよう」
妹の方をしっかりと見れない、コミュ症の俺。
他人だけでは無く、妹にもコミュ症を発揮している。
「兄さん……その、格好は……もしかして、学校に行くんですか?」
あれっ?
喜んでくれると思ったんだけど……妹の声がなんだかとても哀しそうな声?
あれだけ学校に行けと煽った張本人が、何故にそんなに悲しそうな顔で俺を見つめるのか……。
行き成り朝から出鼻を挫かれた気分だ……妹よ、兄さんはまた引き篭もりライフに戻りたくなったぞ。
「昨日学校に行けって、言ったじゃないか?」
「えっ、言いませんよ?」
「えっ?」
驚いて妹の顔を見て見たが、妹は驚いた顔をしていた。
まさか……昨日自分が言った事、忘れたとは言わないよな?
「言ったよな?」
もう一度確認してみる。
妹は顎に手を当てて、うーんっと悩んでいるが覚えてないみたいだ。
「えーっと……やっぱり、言ってませんよ?そもそも兄さんは、男なんですから学校にも行かなくて良いんです。家で一生引き篭もって、私にお世話されてれば良いと思いますよ?」
学校に行こうとした日に、まさかのずっと引き篭もりしてろって言われるとは……。
俺としては歓迎だけど、昨日まで学校行けと口酸っぱく言ってた本人がそれで良いのか?
「それにしても……久しぶりに兄さんの制服姿、とても良いです。何時ものジャージ姿も捨てがたいですが……制服姿もカッコ良い。あっ……そうだ、写真取らないといけません!保存、保存!」
昨日までの清楚で可憐な妹が、朝起きたら豹変してた件。
そんなラノベタイトルが頭に浮かんだ。
まあ、ラノベじゃなくて俺の現実なんだけどね。
妹は俺の制服姿を、パシャパシャとスマホで写真取っている。
普通に写真を取ってれば良いのだが……妹の場合は何故かはぁはぁと鼻息を荒くしているので、本当に俺の妹が心配になった。
「はぁ……はぁ……兄さんの制服姿、レアです。とてもレア!」
俺の視線は下に向いている、何故なら妹がローアングル撮影をしているからだ……。
妹がだらしない顔で、引き篭もりの兄の制服姿を嬉々として撮影する姿に俺はただ佇むしかなかった。
「ふぅ……満足です。くふふ♪」
スマホ画面を見て、なにやら満足顔の俺の妹。
さっきまでだらしない顔してた俺の妹だが……顔はアイドルのように可愛い顔をしていて、スタイルも良い。髪型は長い髪を後ろに二つに纏めて、ツインテールにしている。
そんな可愛い妹だが、彼氏が居るとは聞いた事は無い。
まあ、引き篭もりの兄が居るから家に呼べないしな。
妹の話はそこまでにして、そろそろ朝食だから久しぶりに朝飯食うかな……。
俺は妹の横を通り過ぎようとしたら、何故か妹に袖を捕まれて止められた。
「兄さん?私、言いましたよね学校行かなくて良いって。朝食なら私が、いつも通り持ってきますから兄さんは部屋で待っていてください。良いですね?」
さっきまで顔を赤くしてはぁはぁ言ってた妹が、何故か怖い顔で俺に部屋に戻れと言う。
まじで学校行くなと言うのか妹よ?
試しに袖を捕まれたまま、足を進めてみると……今度は腕に抱き着くようにして、進行を妨害された。
おう……妹のおっぱいが、俺の腕に当たってる。
これはあの有名な女子がわざと胸を男子に当てるって言う、あててんのよって奴か?
だけど妹の顔を見ても相変わらず怖い顔だが、胸が俺の腕に当たってるのを気にしてないようだ。
「聞いてました兄さん?本当に学校行くなんて言わないですよね?そろそろ、冗談も大概にしないと私……何をするかわかりませんよ?」
美人とか美少女の怒った顔は迫力があると聞くが……妹の怒った顔はまじ怖かった。
俺は怒った妹に引きづられて、部屋に戻されてしまった。
「もし、窓から外に出ようとしたら……分かってますよね兄さん?」
いや、全然分からないが……とりあえず窓から外に出るとか、ここ2階だから俺の運動能力じゃ無理。
妹は可愛い顔を怒りに染めて、その大きな瞳で俺を見る。
「朝食……持ってきますから。ちゃんと大人しく部屋で待っていてくださいよ?信じてますからね兄さん」
部屋のドアが閉められて、俺は制服姿のまま取り残される。
何か変だ……妹が変とか、そんなんじゃないような気がする。
俺は長年使ってきたパソコンを起動して、いろいろ調べて見る事にした。
「何……だと!?これじゃ、役割が逆じゃないか……それに男が減少しているとか嘘だろ?」
パソコンで調べて見ると、おかしな結果になった。
どうやら俺が知る世界とは違うらしい……この世界は。
簡単に俺が今居る世界を言うと、貞操逆転した世界らしい……それも男性が少ない。
「男性が……痴女の被害にあう。男性を拉致して、強制的に子作りする被害が毎年増加……。」
ニュースサイトを見て見るとこの世界の男性が減少したせいか、毎年男性の女性による性被害が増加していると言う。なので男性はあまり外を出歩くな、もし外を出歩くなら必ず女性と一緒じゃないと駄目とか書いてあった。
だから……この世界の妹は学校に行くのを反対したのか。
「兄さん、朝食を持ってきましたよ?熱いうちにどうぞ」
妹が俺の部屋に入ると、朝食の良い匂いが部屋に充満する。
俺の机の上に、妹は朝食を置くとパソコンの画面を見た。
「最近多いらしいですよ……男性の性被害。友達のお兄さんも家族に付き添われて久しぶりに外に出たら、目を離した隙に襲われたみたいで……その後、大変だったらしいです。だから、私の大切な兄さんが……もし、誰かに襲われたりしたらと思うと……兄さんが行きたがっている学校に行かせて上げられないんです。ごめんなさい、心配症な妹で……」
椅子に座る俺の背に、妹のおっぱいが押し付けれる。
俺はどうやら妹に後ろから抱き締められているみたいだ……。
なんか良い匂いがする……たぶん、妹の香水の香りだと思うけど。
「そんなに心配なら……俺は妹の言う通り。家にずっと引き篭もっているよ。だから……そうだな、俺の面倒を一生見てくれるか……なんて、冗談だ」
まあ、世界が変わったからって一生引き篭もってるわけにも行かないし……。
妹の世話になるのも、なんだか悪い気がする。
自宅で出来る在宅勤務とかで、お金を稼ぐ方法とか調べてみるかな?
そんな事を思っていると、背中に感じるおっぱいの感触が強くなった。
ちなみにこの世界の女性の胸は元の世界の男の胸と同じで、あまり価値が無いらしい。
この世界の女性達は、大きな胸は邪魔だとかネットに書いてあった。
「はい、私が兄さんの面倒を一生見ます。だから兄さんも、私以外の女は見ないでください……」
冗談が……冗談で済まない結果に……。
重い……この世界の妹は重い女だった。
耳元に感じる妹の息が掛かり、ぞくぞくと背筋に電気が走る。
「約束ですよ兄さん?」
いや、俺達兄妹だし……子孫残さないといけないから、無理だって!
俺は結婚は……この世界なら出来るかな?妹のお前だって、性格も容姿も良いんだから結婚も出来ると思う。だから……まだ、こんな若い内に一生兄の面倒見ると決心するのは早いのでは?
「やっぱり俺達兄妹だし……いつか、結婚して子供を作らないといけないと思う……っ!」
「あむっ!」
何故か耳を噛まれた。
甘噛みなので、痛くはないが……妹の柔らかい唇の感触が耳に感じてドキドキする。
さらに妹の唾液に濡れた舌が、耳をちゅぱちゅぱ舐める。
……あれから、数分妹の耳攻めは続いた。
今は、満足したのか息をはぁはぁっと荒くして俺の耳から唇を離している。
今の行為は何だったんだろう?
「今のは……」
「兄さん!結婚なんてそんな事は、気にしなくても良いの。母さんも兄さんと私が結婚しなくても、気にしないって言ってくれました。本人の気持ちが大事だと、母さんはいつも言っています。だから、兄さんと私の気持ちが一緒なら大丈夫なんです」
耳の事を聞こうとしたら、妹の声で遮られてしまった……。
なんとなく、誤魔化されたような気がする。
母さんは俺達の結婚については気にしないらしいけど、なら子供は作らなくても良いのだろうか?
「子供は……その……私達は兄妹ですけど?お、お互いの理解があれば、兄妹でも子供を作っても良いらしいですよ!」
うーん、兄妹でも子作りしても良いのかこの世界は……こう言う時はパソコンで調べるのが一番だ。
……確かに兄妹での子作りは、この世界では認められているみたい。
元の世界では兄妹同士駄目とか聞いた事あるけど、この世界ではそこの所は医療関係が進んでるみたいでなんとかなるようだ。
「兄さんの子供は私が産みますから、心配しないでください。でも……私は今は学生なので、その……兄さんの子供をお腹に宿すのは、卒業後でお願いしますね?」
なんだか、妹の頭の中では既に俺との子供を作る計画が進んでるようだ……。
とりあえず、朝食冷めてしまうしから食べてから考えよう……。
現実逃避だ。
「それで……私が働いて、兄さんが子供を育てるんです。この場合は兄さんは主夫になるんです。でも、兄さんは主夫ですけど……外に出ちゃ駄目ですよ?家事とかは家で出来ますけど、食材の補充とかは母さんや私に頼むとかしてください」
うん、やっぱりあつあつのご飯には納豆が合うね。
世界が変わっても、納豆の美味しさは変わらないのは良かった。
「……私の話を聞いてますか兄さん?」
「ああ、聞いてる」
「そう……ですか?それでですね……」
俺は妹の体温を背に感じながら、妹の将来設計をBGMに朝食を食べた。
本日も俺は引き篭もり続行中。
主人公 小守 コモル
妹 小守 ユキ
話の中に名前が出ないので、ここに書いときます。