第7話
大和の額には汗が。そしてその汗が頬を伝い顎へいき、地面へと落ちる。大和はエレナに能力の扱い方、その能力のオンとオフのやり方など教えてもらった。
「オンとオフって…睨むだけでなるんだね…結構楽かも…」
「だろ?だから簡単に戦闘モードになれる。」
エレナが剣を抜く。そして剣を持ち構えた。エレナの剣が太陽の光に反射して光る。
「構え方はこうだ……まぁ、戦闘の時はこうじゃなくなっちゃうがな。そこまで気にしなくていい。」
これって訓練なのか、そう大和は思っている。エレナもそう思っていた。
「とりあえず、今から必殺技的なやつを教えるからな。いいな」エレナがそう言う。
「必殺技!?早く教えて!」と大和は小さな子供のようにはしゃいでいる。大和目はキラキラとしていてその目をしながらエレナに近づいていく。
「まぁまぁ、落ち着け。とりあえず見ててくれ。」とエレナは言い、置いてあった木の丸太を地面に数本立たせる。そしてエレナは丸太を立たせると最初に置いた丸太の近くに行く。
大和は緊張してしまい、唾をゴクリ、と飲み込む。エレナは目をつむり集中している。そして目を開け、それと同時に剣を抜く。そして丸太の間を走り抜けていく。
丸太の間を駆け抜け、そして最後の丸太を通り抜けエレナの足は止まる。そして剣をしまった。しまうと同時に立っていた丸太が真っ二つになり地面へと落ちる。
「は……はは……」大和は驚きのあまり言葉が出ない。エレナが大和の方向へ歩いてくる。
「練習すれば、ヤマトにもできるようになるだろう。コツは意識を最大限集中させてそこから一気に目を開ける。それと同時に剣を抜いて走れば多分なる。」
「多分って…まぁ練習してみるよ。ありがとうエレナ」と大和はエレナにお礼をした。
その後、大和はエレナの言われた通りの事を練習する。しかしなかなかエレナが見せてくれたようにはいかない。エレナに教わりながら、大和は同じ事を繰り返す。
気がついたら夕方になっていた。大和はまだ成功できていない。
「ヤマト!そろそろ日が暮れる。これで最後にしよう!」とエレナが言う。
大和は頷き、最初の丸太の近くに立つ。そして目をつむり、口から息を吐きながら意識を最大限、集中させる。しかしこれまでと違い、どんどんと周りの音が聴こえなくなっていく。そして大和の耳には無音の状態になる。
そして、大和は目一杯目を開け、剣を抜き丸太の間を走り抜けていく。最後の丸太を通り過ぎ、大和は走るのをやめ、剣をしまう。
その時、大和の後ろから激しい音がした。大和は後ろを向くと丸太が真っ二つになり地面に落ちている。それを見て大和はだんだんと笑顔になっていく。ようやく、出来た。
「出来た……出来た…!エレナ!出来たよ!」とエレナに向かって走っていく。
「やったな!ヤマト!」エレナもそれを祝い、2人は抱き合い2周ほど回った。
「やっと出来たの…諦めなくてよかったよ…ありがとう、エレナ」と大和は微笑みながらエレナを見る。大和は泣きそうになっていた。
「男が泣くな!我慢しろ!」そう言うエレナも泣きそうになっている。
「お互い様だな」と大和は言い、2人は同時に笑い出す。
「よし!今日はここまでだ。戻って夕ご飯食べよう」
「腹減ったー…早く食べたいなー!」
2人は並んで宿舎へと向かって歩いている。
それはまるで、カップルのようだった。