鼓動連鎖【過ぎ去った君】
※これまでのあらすじ※
科学では説明できない力、妄想具現。その力を用いて社会の闇で暗躍する者達を成敗する正義の味方、音速心音ハートブレイカーは、最愛の少女であるヒナ・セフィラを殺した怨敵、リスケット・ブルーブラッドを殺す復讐の鬼と成り果てた。しかし似た能力という特性上、技量で劣るハートブレイカーは徐々にリスケットの攻撃を受け、ついに後一撃で殺される直前まで追い詰められる!
絶対のピンチを前にハートブレイカーは決意する。リスケットとの戦いによって気付いた、加速という概念の真の意味より導き出された、己に任された役割を果たす覚悟を!
戦いは遂にクライマックス! さらばハートブレイカー! その結末を見届けよ!
加速する心音が響き渡る。
勝負は一瞬を永遠に変えて、繰り返す一瞬を分割する鼓動のリズムも今は遠い。
「知ってるわ……私が辿り着くところは、ね」
「何?」
圧倒的優位に立ちながら、いつまでも臆病なお前にはこの鼓動の最新最速は分からないだろう。
リスケット・ブルーブラッド。私と同じ心音を持つ、始まりの妄想具現者。
誰よりも早く、速く、究極を得るために時を止めた世界の支配者よ。
でも違うのだ。
お前ではこの鼓動の意味が分からない。
「私は、音速に届いたわ。重なる心音、刷新され続ける最速の果て……絶対に、行きたくなかったのに、お前のせいで私は加速したのよ」
「そう、だからこそこの領域! 我らが到達した速度という世界の極地! 時間停止などという脆弱な停止ではない! 零秒という速度に到達した我らのみが認識できる、進みながら進まぬ矛盾時間! 七法『終末』のみに許されたゼロ地平と同じ世界! だからこそハートブレイカー! 速度で比肩した我らを分かつのは純粋なる技量! 積み重ねた年月ならば俺に一日の長があると知っただろう!」
「あぁ、確かにその通りよ。この零秒の中なら、お前は確かに私よりも強い……おそらく、七法も敵性存在も……世界法則だって今のお前には及ばないわ。唯一やれそうな天魔絶刀もここに無い以上お手上げね」
「ならば何故抗う!?」
「あら、抗われるのはお嫌いかしら?」
そう意地悪く返せば、リスケットは悔しそうに呻き、弱気な己を覆い隠すように殺気を漲らせた。
だがもうその殺気は私には届かない。
私は、私達は最速の果てに時間を分割し続け、結果として零秒という概念に追いついた。今、私達が立っているのは零秒という時間領域。時の停止ではない。零秒という時が刻まれた世界の最果て、だった場所。
「でも、ここは違うのよリスケット……お前は大きな勘違いをしている」
「何を、何を言ってるハートブレイカー!」
「……ここはゼロ地平ではない。あえて名を付けるならそうね――零秒域。物理的な加速の限界値、追い抜いた未来が永劫追いつくことのないだけの世界よ」
「だからこそここがゼロ地平なのだろうが! これ以上の未来は無い。つまり無と同義というこここそが――」
そう捲し立てるリスケットだが、その表情はホラー映画を見ている少年のように弱弱しい。張り付いた強気が剥がれ、内に眠っていた臆病で弱虫な本物のリスケットが現れている。
それはつまりお前も分かっているということでしょ?
いや、分かっていなくちゃいけないはずだ。
だって、私とお前の間に存在する速度は、こうしている間にも徐々に離れているのだから。
胸の鼓動は繰り返す。
連鎖する鼓動は零秒において尚も加速を続けているから。
「全ての無い零? 違うわリスケット、まだこの零秒は……過去というマイナスよりも遅いんだから」
『過ぎ去っている』からこそ過去。つまり過去は未だ私達の先を行っている。
それは揺るぎない真実だ。過去こそが真の最速、未来というプラスを追い抜くために零秒に到達した私達だからこそ、後ろにあったものこそが先を行っているという事実に直面したのだ。
「あり得ぬ!」
リスケットの強い否定はあまりにも空虚だ。何よりも目を見開いて愕然としているその表情こそが真実だった。それでもリスケットは必至な形相で否定しようとしている。
「先に行った結果追い抜いたものが先を行くだと? そんな無茶苦茶が許されるものか! 矛盾どころの話ではない。常識が成立していない。そんな、そんなことがありえる……」
「あり得るからこその、妄想具現でしょ?」
他ならぬお前がそう言ったはずだ。
妄想具現は、自分だけの常識を新たに構築するのだと。
何も無いところから炎を生み出すことだって。
見た目からはありえない程の身体能力を発揮することだって。
あらゆる物理法則を無視して発現するからこそ、妄想の具現だとお前は言ったのだ。
「お前の限界はそこよリスケット……そしてお前の妄想具現と私の妄想具現が違うということがここでようやくはっきりした」
「やめろ」
「お前にとっては到達点でしかないこの零秒域は」
「やめろ」
「私にとって、只の通過点でしかなかったということよ……鈍間」
「やめろぉぉぉ! ハァァトブレイカァァァァァァァ!」
今にも泣き出しそうな表情で、リスケットが飛びかかって来た。
まるで怒りに震える幼子のような突撃を冷めた目で見るが、しかし恐慌した表情とは裏腹に、練り上げた技量を元にした踏み込みは私では対処できない程。零秒の今でこの表現はおかしいだろうが、数秒抵抗しただけで私はあえなくリスケットに殺されることだろう。
だがそれはこの世界での話。
もう何もかもが遅い。
だって、お前の鼓動はもう私の鼓動には――
「うぉぉぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁ!」
後一歩。
雄叫びをあげるリスケットが、絶殺の域に踏み込もうとした瞬間、その動きが停止した。
「……あぁ、やっと、届いたのね」
ついに私は零秒を超えた。
プラスを追い抜き、零秒を振り払い、今、この鼓動はマイナスの最果てへと加速を始める。
「ぁぁぁぁぁぁぁあぉぉぉぉぉぉぉう!」
直後、映像を巻き戻しするようにリスケットが下がっていった。それだけではなく、周囲の風の動きや雲の流れ、視覚では上手く判断できないが光の流れすらも槇戻っているのだろう。
私は叫びながら後ろに下がっていくリスケットを追うように前に踏み出した。
瞬間、体に纏わりついていた光が裂かれ、後ろの空間が光を失い漆黒に染まる。どういった原理かは分からないが、なんとなくだがこの状況を理解した。
つまり今私は先程まで私の過去だった時間に追いついているのだ。過去へ逆行している。体感でしか言えないが、そうとしか言えない。
果たしてリスケットには今の私はどう映っているのだろうか。零秒という世界で加速が止まったお前の目は、過去に干渉する私の動きによってどんな色に染まるのだろう。
「……このままでも、お前との決着はついたと言ってもいいのかもしれない」
最早、今の私に干渉出来る存在はいない。時間停止を超えた先にある過去逆行。唯一、あり得るとすれば時間概念の存在しない真の無。つまりゼロ地平だけだろうが。
そのことを考えるのは今ではなくてもいいだろう。私は血塗れの拳を強く握りこんで、胸の前で構えた。
「でも、ヒナを殺したお前を……殺さないと、気が済まないんだよ!」
ヒナ。
私の可愛い雛鳥にして、私の大切な親鳥。
そして、私の運命の人。
ヒナさえいれば他に何も要らなかった。ずっとあの病院で、貴女と二人でいつまでも永遠に過ごせれば、それでよかった。
それを壊したお前を許せるものか。
もう未来に戻ることが出来ないとしても。
この加速は真なる零に到達するまで終わらないと分かっていても。
「お前を殺すために、私はゼロ地平に至ることにしたんだ」
お前が完成させたのだ。
音速心音ハートブレイカーをお前が完結させたのだ。
あのいけすかない絵描き野郎が言った、最強と呼ばれる存在に私は至ることになったんだ!
「リスケット!」
叫んだところでお前に届かないことは知っている。既に未来に置き去りにされたお前と、過去という最速を得た私の世界は決定的に違えたのだから。
でも。
だけど!
「お前だけは、許せるものか!」
リスケットのことだけを言ってはいられない。
私もまた、両目一杯に涙を湛えながら、獣のような絶叫をあげて握った拳をその胸に叩き込んだ。
そして、過去に加速し始めた世界で放たれた拳は、未来にではなく過去に衝撃を浸透させていく。本来なら未来に流れるはずの全てを矛盾させた一撃は、泣きそうな表情をしたリスケットの体を、過去に向けて破壊するのであった。
その一撃を境に、未来と過去の矛盾は歪を産み、誰も気づくことなく世界は終わりへ加速する。
でももうその後なんてどうでもよかった。
もう私は過去に加速するしかない。二度と、私が過ごしてきた思い出と並ぶことはないのだから。
そうだ。二度と、ヒナとの未来を共に過ごすことは出来ない。
もう、貴女と会えなくなるのがこんなにも悲しくて。
「でも、出来るなら……」
それでもまた、貴女ともう一度出会いたい。
眠るように綴じた眼に描かれる彼女の笑顔に笑いかけて、私は過去の終着へと加――
『 』
―
不意に、心臓が高鳴った。
「ん?」
この年にして心臓病かと疑うが、別に喉が詰まったり苦しくなるといったことはない。
だが違和感を覚える程、俺の心臓が高鳴ったのは気のせいではない。でも、自分でもびっくりするくらい高鳴ったのはどうしてだろうか。
今度、病院でも行くべきかな。
そんなことを思っていると、俺の足元にころころと蜜柑が転がってきた。
誰か落としたのかな? 別に無視することもないし、俺は反射的に屈んで蜜柑を取ろうとして――
「すみませーん!」
その声を聴いた瞬間、再度俺の鼓動は高鳴った。
跳ねるように顔を上げれば、視線の先には息を弾ませながら無数の果物が入った袋を胸に抱えた少女がこちらに向かってきていた。
その姿を見て、また鼓動が高鳴った。
困惑と驚愕。人生で初めて経験する衝撃に言葉すらも忘れ、半ば睨むように視線は少女に釘付けとなった。
「ハァ、ハァ……すみません、ありがとうございます」
「あ、あぁ……」
肩で息をしながら日焼けをしらない純白の掌を少女は俺に差し出してくる。
おそらく蜜柑を渡してもらおうとしただけだろう。だが俺は無意識にその掌を己の掌で握っていた。
「え?」
「あ……」
な、何をやってんだ俺は!?
「ご、ごめ……」
「よいしょっと!」
慌てて手を放そうとするよりも早く、少女は細い腕に力を込めて、俺の手を引っ張った。
別にそこまで力が強かったわけではない。むしろ小学生すら立ち上がらせることが出来ないんじゃないかといったくらいの力しかそこには込められていない。
だけど引き寄せられるように俺は立ち上がった。いや、られるではない。
惹かれたのだ、俺は、きっと。
「あ、ありがとう……」
「いえいえ! その代わりと言っては変ですが、蜜柑、渡していただけます?」
「あ、あぁ! ごめん! これ、君のか!」
どもりながら差し出した蜜柑を、少女は笑顔で受け取った。
その笑顔に、また俺の鼓動は高鳴る。
ドクドクと全身に血を流しながら、際限もなく速くなっていくような鼓動。夏の蝉ですらここまでうるさくないくらいに忙しない音が喧しいというのに、それ以上に少女の笑顔は俺を魅了した。
「あの、俺! 俺! 枢木! 枢木トオル! それで、えっと! 君、の……君、の名前……!」
あぁ畜生。
いつもなら油が乗ったようによく回る舌が今は十年放置した自転車みたいに回らない。そのもどかしさと、少女に情けない姿を見せている羞恥から、俺の舌はさらに錆びついていくが、ありがたいことに少女はそんな俺の言葉を上手く噛み砕いてくれたようで。
「えっと、だから、俺は、君の……」
「ヒナよ」
「君、の……ヒナ?」
「えぇ、ヒナ・セフィラ。私の、名前だよ。枢木トオル君」
ヒナ。
あぁ、ヒナ。
「そっか……ヒナ、ヒナ、か」
洗礼を受ける信者の如く、俺は少女、ヒナの名前を体中に浸透させた。
加速する心臓にその名前を乗せる。
この奇跡に感謝した。
ヒナという運命に出会えた奇跡に涙した。
だって、そうさ。
これが俺の始まり。
枢木トオルが加速した、始まりの瞬間なのだから。
RESTART……
【HEART BREAKER】
あとがき
まえがきのあらすじはただのノリですのことよ。
音速心音ハートブレイカーのエピローグにしてプロローグでした。意味分からないようにしたのは仕様。てかまぁぶっちゃけると私もこいつの能力上手く説明できないので許してちょうだい!
というわけにもいかないのでちょっとだけ解説。ハートブレイカーの能力は、言ってしまえばタイムマシンのようなものですが、実態は少々異なります。大抵のSFに出てくるタイムマシンは過去や未来に向かっている間、周囲には干渉出来ないってのが多いと思いますが、ハートブレイカーの場合、過去に遡っている状態で他の物質に干渉することが出来ます。ここからがややこしい話なのですが、ハートブレイカーが遡っている間に干渉(この場合、リスケットにかましたパンチ)した場合、与えたダメージも過去に向かって流れていきます。普通の時間の流れならば、時間が経過、つまり未来になれば怪我とかは治りますが、ハートブレイカーが与えたダメージは与えた瞬間より過去になるとダメージが回復します。ですが普通の人間は未来に時間が流れますし、幾ら零秒という世界に突入したリスケットでも、過去というマイナスに加速したハートブレイカーからすれば零秒という未来に生きているため例外ではありません。
するとどうなるかというと、リスケットは過去に戻らなければ回復しないダメージからどんどん未来に遠ざかるという矛盾によってダメージは回復せず、しかしハートブレイカーによって過去に強制的に戻っていき、その間にもぶん殴った衝撃は過去に流れていき、ダメージは永遠に蓄積されるという具合です。
何言ってるのかわかんないと思いますし私も何言ってるのかよくわかっていませんが、ようは一度でも干渉しちまえば、過去逆行を始めたハートブレイカーの一撃は、同じ逆行の時間軸に入った存在か、時間の概念がない存在以外では、あらゆる魔法や道具や力やらで防ごうとしても(防ぐことは時間の流れが異なるため不可能だが)当たった瞬間消滅確定というわけです。そこだけ押さえておけばオッケー。
とまぁ私自身理解していない意味不明な能力であるため、長らくこの音速心音ハートブレイカーっていう存在には触れないようにしていましたが、いずれ触れなきゃいけない部分のため、こうしてどうにか公開出来る部分だけ、先述したとおり、この物語のエピローグにしてプロローグ部分を執筆したというわけです。
さてさて。
今回幾つか触れましたが、ハートブレイカーの他に二名程新しい登場人物が出ました。ですがリスケットのほうはともかく、ヒナに関してはここでも語れませんのでご容赦ください。いずれは、おそらくヤンキーが完結したころ(オイ)には説明できる下地が出来ていると思いますので!
それよりも場面変換する間のことについて語りましょう。過去に加速したハートブレイカーが到達したところ、作中でも語っていましたが、ゼロ地平に彼女は加速の果てに到達することが確定しています。そしてそこに至ったことにより、まぁ色々あって現在の無限地平の世界が産まれるという形なのですが、口惜しや、ここら辺語ると、もう本編で書けってレベルなので中略します。
つまり、ハートブレイカーが世界の起点であり、世界の終焉のトリガーであることをこのお話では伝えたかっただけです。ちなみにトリガーを引くのはリスケット。
そしてゼロ地平に到達した彼女が何かすることによって、新たなハートブレイカーが生まれるわけです。それによりヒナもまた生まれるのですが、リスケットもある理由によって復活します。
つまりいずれまたどこかでハートブレイカーとリスケットは激突し、世界がリセットされるのが確定しています。もうこれに関してはどうしようもない。永遠に続く未来の積み重ねと過去へのリセット、これが無限地平という世界における最大の絡繰であると言っても過言ではありません。
ですが、前回は女だったハートブレイカーが今回は男であるように、物語を動かすハートブレイカーとリスケットとヒナという役割は同じでも、取り巻く全てが同じであるということは限りません。繰り返す過去と未来への加速の果てに、到達する最後の解答とは……ってのがこのハートブレイカーという物語であります。
いずれはちゃんとした形で公開出来ればいいんですけどね。今暫くはこのお話に並行して執筆しているハートブレイカーの日常編におつきあいしていただければと思います。
ちなみにヤンキー世界ではハートブレイカーの物語は完結しています。まぁそのせいでレコード・ゼロが絶望していたりするのですが……これ以上はヤンキーのお話にも関わるのでこの辺で。
では、また次の日常平和録をお楽しみに。
例のアレ
枢木カナタ
詳細・おっぱいのついたイケメン。その正体は敵性存在第一位『音速心音』ハートブレイカー。心臓の鼓動を加速した後、その鼓動の速さに耐えられる程度に肉体の能力を向上させる妄想具現、音速心音を持つ。これは、加速した鼓動に肉体が耐えられる程向上する特性上、能力の限界が存在しない。つまり際限なくその速度は加速していくため、素の能力は低くとも、能力が一度発動して時間が経過すれば、例え敵性存在であってもその身体能力のみで圧倒出来るようになる。
このハートブレイカーはその能力にて、後述するヒナ・セフィラと共に過ごすため、速度の限界とされる零秒の一歩手前まで加速しており、敵性存在はおろか七法であっても打倒できる程までに成長している。
だが後述するリスケット・ブルーブラッドの手によってヒナが殺害され、復讐鬼と化しリスケットと死闘を繰り広げる。その結果、零秒域と作中でも呼んだ、零秒という時が流れる世界に到達。しかし純粋な技量の差でリスケットに追い詰められてしまう。
だが、彼女はそこからさらに一歩突き抜け、過去に加速するという荒業にてあらゆる世界で唯一過去に向かって時間が動く存在に登りつめる。
その結果、世界が崩壊することになるが、その理由についてはここでは解説しない。
『音速血流』リスケット・ブルーブラッド
詳細・『例外個体』と呼ばれるランクでは測定できなくなった存在の一人。地球出身の存在でしか発症出来ない妄想具現という病気の最初の発症者。つまり全ての妄想具現の原点である。その能力はハートブレイカーと酷似しており、血流の流れを際限なく加速させ、己の身体能力も向上するというもの。
理由は説明しないが、ハートブレイカーとヒナ・セフィラを殺すことを彼女達が存在するより前から望んでおり、そのためだけに力を蓄えてきた。
そしてあらゆる世界を巡ってハートブレイカーとヒナを探し求めた結果ついに発見、何の前触れもなくヒナに強襲をかけて殺した後、復讐の鬼となったハートブレイカーと決戦。そして互いに零秒という世界に到達しながらも、過去へと加速したハートブレイカーによって一撃を受け、本人が自覚することもなく死亡。その余波に飲まれる形で世界も悲鳴をあげ、加速し続ける世界と共にゼロ地平へと飲まれていった。
ヒナ・セフィラ
詳細・ハートブレイカーが恋焦がれる麗しき少女。何故ハートブレイカーは彼女に惹かれるのかについてはここでは解説出来ないが、それこそが彼女の役割であるということだけは記しておく。
明るく素直で元気な少女。リスケットが訪れる前は、ハートブレイカーに様々な事件を解決してくれるようにお願いしていた。住居は山奥に放置された廃病院の一室。病弱というわけではないが、彼女は殆どその病室で生活している。
枢木トオル
詳細・敵性存在第十八位『音速心音』ハートブレイカー。ヒナに出会った時、妄想具現『音速心音』に目覚める。その力を用いてこの出会いの後、様々な事件に関わることになるのだが、彼自身も正義の味方になりたいという強い憧れがあったため、ヒナにお願いされるでもなく自ら進んで事件に首を突っ込んでいく。