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【ロンドン橋】

「今夜はもう遅いです。早く御眠りになって下さい。」長身で燕尾服を身にまとった男性が、

自分の半分ほどある大きさのぬいぐるみを抱えた小さなな少女を先導する。

寝室の扉を開けて自分は扉の側に立ち、どうぞ、とあげた片手を部屋の方へ向け、

少女を中に入れる。

既にベッドメイキングを済ませてあるベッドシーツは、カーテンの隙間から差し込む

月の光をを浴びて、その純白さがより一層際立っている。

少女は先にぬいぐるみを寝かせて、その後にそれにかぶさるようにしてベッドに入った。


しかし中々寝付く様子はない。それを見て男性は囁いた。

「明日の早朝からダニエル様がお見えになられますよ。愛しのボーイフレンドを寝ずに

待っているのですか?」少女はその言葉には反応を示さず、ぬいぐるみごと向きを変えた。

そして男性に向かって右手を差し出した。その手のひらが上を向いている。

男性は軽くうなずいて、その手に白いメモ用紙と硬い金属のペンを置く。

数秒後少女から返された用紙には、6歳とは思えない立派な文字でこう書かれていた。

「ロンドン橋がまた流される」見るといつの間にか外は大雨になっていた。

先ほどまで届いていた月光は雨雲に遮断され、防音設備が整っているこの屋敷にとっては

遠い音のように聞こえるが、雷鳴のような雨音がロンドンの街に鳴り響いている。

非常にもろいロンドン橋は、このような悪天候の際高確率で流されていく。

そのため橋付近に住む住人たちに非難警告を出すのは、大きな屋敷に住む英国貴族の役目である。



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