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第七幕 えっ、今回も進展無いの!?

さて、オレは人生最大の恐怖を迎える、いや、できるだけ避けたいけど…そのために通学路を歩いている訳で…どうも、ビクビクしてます、武蔵ムサシです。


駅までは学校の近く(とはいってもキロ単位の距離はあるけど)の商店街から数百メーター。今日も賑やかな商店街の中をオレは一人、物陰に隠れながら歩いている訳で。

「ど、どこなんだぁ〜!? 人生最大の恐怖は…」

この年で人生最大の恐怖なんぞを体験したくないオレは、どうにか安全に帰路に着きたいと思い、辺りを見回してみたが…

特に変わった事もなく、夕焼けを浴びながら買い物を楽しむ主婦たちを眺めるオレは一体何なのだろうか? 傍から見れば物陰に隠れ、熟女達を凝視する怪しい変質者にしか見えない。

い、いや、人生最大の恐怖に見舞われるくらいならこの際、変質者でも怪しい人物にでもなろう。今回はそれだけの価値がありそうな気がする。

「あら、ムサシ! こんな所でなに熟女の奥さん方眺めてるのよ。あなた熟女好みだったっけ? 」

こ、この聞き慣れた凛とした透き通った声質は…とオレは恐る恐る振り返る。

「こ〜んな美しいおねー様がいるっていうのに! あなたも物好きよねぇ…」

美しい新雪のような肌、銀雪のような美しい長髪を持つ実姉、零ねーちゃんが何か面白いモノを見つけたような堕天使の笑顔を浮かべるていた。こ、これなのか!? 人生最大の恐怖とは!

「れ、零ねーちゃんどしたの、こんな所で? 今日仕事だっけ? 」

「いや〜ナオキに買い出し頼まれちゃって…今日はムサシの大好きなコロッケよ」

これが人生最大の恐怖とは思えない。朝はああだったが、いつもは弟思いのよい姉だと正直思うし。

「あら、なんだか元気ないわね。そうだ、イイコトしてあげ…じゃなくて教えてあげる!さっきあそこの角であの子にあったのよ!ほら、名前何だったかなぁ…よく昔、ムサシと蘭と三人で遊んでた女の子!」

そういいながら零ねーちゃんは駅とは反対側の方の角を指差した。オレと昔遊んでた女の子?

ん、今なんか嫌な思い出が脳裏を掠めたぞ…

「もしかしたら帰り道あたり逢うかもしれないわよ。帰りの途中でしょ? 一緒に帰りましょう」

「う、うん…そだね」

先行く零ねーちゃんの後を追いながらオレはその女の子に逢うことを心の隅っこで拒否していたのかも知れない。そしてその気持ちは実物に逢ってから謙虚に表れてくる訳で…

次週に続く!?

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