第四幕 引き摺りゆくも人生か…
新学期の朝、オレは寝呆け眼の赤髪の幼なじみを引き摺りながら今では慣れた高校ロードを登校する訳で…へっ!? オレですか? どうも、武蔵ムサシです。
空は蒼く澄み渡り、風は春の淡い香を運んでくる。そしてオレは幼なじみを引き摺る。
「ん〜、むにゃむにゃ……そんなに食べられな……zzz」
この幼なじみは腕を引っ張られながら引き摺られても熟睡できるスキルがあるらしい。しかも夢は食べ物関連か、ベタな夢を見れる蘭がやや、羨ましい。悩みなんて無いんだろうなぁ…コイツは。
「んっふっふっ!何から食べてあげようかし……zzz」
学校まではあと数百メーター。周りには初々しい新入生達が不穏な表情でこちらを見ている。まるで、主人の歩くスピードに着いていけない子犬を見るような、そう、哀れみの交じった物珍しそうな眼で。
新入生諸君よ、コイツも立派な先輩だぞ……一応。
「か、勘弁してください! ごめんなさいッ! 」
ん、何だ?急に謝り出したぞ。先程の階段で鈍い音を響かせながら引き摺って来たのがまずかったか。
「おでんだけは!頼みますからおでんだけは! あっ! 熱ッ! 熱いッ! 」
もがき苦しんでるとこ悪いんだけどあんまり足をバタバタさせるとパンツが見えるんですけど…中学から上がったばっかりの男子新入生にはちと刺激が強すぎるかと。蘭も黙ってりゃ美人だし、スタイルもいいのに…もったいないったらありゃしない。ん、スリーサイズ?そういう事は本人に直接聞いてくれ給え。
ようやく校門か近づいてきた。さすがに引き摺りながらの登校は疲れる。さて、今日も有意義のある学校生活を送らなくては。
……次は学校編だな、こりゃ