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第三十幕 梅雨な日にはカードゲームを

遂に、遂に…第三十幕まで来ることができました!これも皆様の応援のおかげでございます!感謝感激雨、あられでございます! 連載は不定期になってしまうと思いますが、これからもよろしくお願いします。

え〜と…あすかが行方不明になったり、オレ達が黒服にーちゃんとバトルしたり、零ねーちゃんがセーラー服姿で機関銃乱射しまくったり非常識な日々から少し経ち、六月になりました。武蔵ムサシです。


「私ね、正直梅雨って嫌いなのよ」

外では梅雨らしく、しっとりした止まない雨が降り続き、せっかくの日曜日だっていうのに家族揃って家に引き籠もっていた時、唐突に零ねーちゃんが口を開いた。

「俺だって嫌いさ。洗濯物が乾かないからな」

なんだか小難しい洋書を読みふけていたナオキが、いつもより少し不機嫌そうに口を開いた。主夫の悩みだよね、ナオキ…。

「そういう事じゃないのよ、ナオキ!私が言っているのはこの空気よ、雰囲気よ!梅雨だからって家に引き籠もっちゃって…不健康極まりないわ!」

「半引き籠もりのお前が言ってもまったく説得力が無いぞ」

ドバッ!といきり立った零ねーちゃんに冷たい突っ込みを入れるナオキ。

「私は引き籠もりなんかじゃな〜い!!」

と、クール突っ込みに憤慨する零ねーちゃんにナオキの殺人突っ込みがねーちゃんに向けられる。

「じゃあ!なぜ!月の大半!家でのんびり過ごしてるんだよ!」

「そ、それは…会社に行くのが面倒臭いからよッ!!」

「それを世間では引き籠もりって言うんだよッ!!」

「はうぅ!痛いところを突いてくるわね、家政夫!」

「じゃあ逆に聞くが、お前はこの雨の中、外でピクニックでもしたい訳か?」

呆れているナオキに、我らの零ねーちゃんはなぜか悟ったような表情をみせる。

「雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。自由とはそういうものよ…」

「また誰も知らなそうなネタを…」

とりあえず…と零ねーちゃんは、がさごそと雑貨入れを漁ると、一組のトランプを持ち出してきた。なかなか年季と数々の名勝負を生み出したという有名…なハズのトランプなのだ!

「名セリフを言ってみたのものの…やっぱり梅雨といったらトランプよね」

「やはりインドアではないか…」

「それじゃあナオキ抜きでトランプしましょうか?」

「…わかったよ。今日はトランプで行こう」

と、ナオキは零からトランプを受け取ると、慣れた手つきでトランプを切ってゆく。

「で…何をやるんだ?ばばヌキか?」

「そうねぇ…オーソドックスでいいんじゃない?」

よし、とナオキはオレ達にトランプを配る。…とりあえずオレにはジョーカーは無い。

「さて…じゃあ時計回りね。蘭、引いていいわよ」

「いきますよ、おねー様!!」

と、今までいるかいないか分からなかった蘭は唯一の出番だと悟ったのか、気合十分で零ねーちゃんからトランプを引いた。

「…次はムサシが私のを引いてごらんなさい!」

「なんでそんなに偉そうなんだよ」

「だって私から引かないとゲームが進まないじゃない」

「それはエゴじゃないかなぁ…」

といいながらカードを引くオレ。引いたのはクラブのジャック。

「一組出来たっと…ナオキいいよ」

「ウム…」

オレのカードを凝視しているような…気がするナオキが一枚カードを引き、組みになったを捨てた。

「さて…零、引くがいいさ」

「…これね」

見極めたようにカードを引く零ねーちゃん。そして二枚のカードを捨てる。

「二順目ね、蘭引きなさい」

「ハイ、おねー様、引かせていただきます」

こんなのが三順、四順と続いて……

「ムサシ、引いてごらん」

「…零ねーちゃんの真似はやめぃ!」

と、オレは蘭の手元にある一枚残ったカードを引く。

「よしっ、上がり〜」

傍で喜ぶ蘭と対象に、オレは手元のカードと睨めっこする。手元にあるのは、ダイヤのエースと嫌味なジョーカー。

ナオキは既に上がっていて、優雅にコーヒーなんて飲んでいる。

という事は…残っているのは零ねーちゃんとオレの二人。

「…零ねーちゃん、どうぞ」

「行くわよ、愛するブラザー」

オレは零ねーちゃんの前に手札を差し出すと、零ねーちゃんは迷わず一枚のカードを引く。

…途端、零ねーちゃんの表情がピクッ、と反応する。

「…生きるか死ぬか、ニ捨一択よ。マイ・ブラザー」

「どちらにしようかな…」

とオレは左のカードに手を伸ばす…と、


ズギュウゥゥン!


…ん?とオレは手を思わず引っ込める。

左のカードに嫌悪感を覚えたオレは致し方がなく、右のカードに手を伸ばす…が、


そこにシビれる!あこがれるゥ!


と変な耳鳴りが…

「…零ねーちゃん、何か変なプレッシャー掛けてない?」

「気のせいよ、気のせい…」

と何故か顔を背ける零ねーちゃん。

オレは気を取り直して、再び左のカードに手を伸ばし…


ズギュウゥゥン!


オレは再び右のカードに手を伸ばし…


そこにシビれる!あこがれるゥ!!!


とまた不可思議な耳鳴りが…

「ねぇ、零ねーちゃん…変な声が聞こえるんだけど」

「気のせいよ…確実の気のせいよ」

とオレと目線を合わせようとしない零ねーちゃん。

さて…どちらを引くべきか。変な効果音か、不可解な声か…

「…左!」

とオレは変な効果音に負けずに左のカードを引く!!


…手元にはにやにや、といやらしく笑うジョーカーがいた。

「…残念ね、ムサシ」

「まだだ!まだ終わらないよ!」

「フッフッフ…チェックメイトよ」

と零ねーちゃんは不敵な笑みを浮かべるジョーカーに手を伸ばし…


「…人類はどこで道を誤ったのかしら」

「別にお前の負けがそれを証明しているわけじゃないよな、零」

ブツブツと台所で食器と泡に囲まれながら零ねーちゃんはバツゲームの食器洗いを不満げにこなしている。

「しかし何故あそこまで追い詰めといて負けるかね」

ナオキは香りがいい紅茶を飲みながら零を眺める。

「おねー様は詰めが甘いんですよ」

「…いや〜なんだかつい弟が可愛くなっちゃってね」

「勝負事に愛は無し…でしょ?零ねーちゃん」

オレはハイハイ…とうなだれる零ねーちゃんに満面の笑みを向ける。

「あっ、雨止んだね」

そんな光景を楽しそうに眺めていた蘭は、雨雲から差し込んだ光がカーテンを照らすのに気付き、窓の外をみながら言う。

「あっ…ホントだ」

オレも蘭の元へと駆け寄り、外を眺める。差し込んだ光が雨雲とのコントラストを生み、一枚の絵画を思い浮かばせた。

「…また明日も雨かしら?」

零ねーちゃんも外の光景に、手を止め眺めながら口を開いた。

「…梅雨だからな」

ナオキがぼそり、呟く。

「明日こそ晴れるよ、明日こそ!」

オレは徐々に明るくなってきた空を眺めながら、力強く呟いた。


…この第三十幕は他の話とはやや、イメージを違くしてみました。何故かって?そりゃあ…梅雨の籠もっている1日のテンションにあわせた結果だったりします…。

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