第三幕 アウトローな零と家政夫なナオキ
何故、オレは朝から下着姿の見た目はねーちゃん、実は××才(実年齢は自主規制)の武蔵零を止めなければならないのだ。ん、俺か?……ナオキと呼んでくれ。
どうやらムサシ達は再び零の来襲が来る前にそそくさと学校へ行ったらしい。新学期早々遅刻しないといいのだが。それに比べこの女はムサシがいなくなったと分かると深々とため息を吐きながら
「ハァ…今日も仕留め損ねたわ。まったくいつまで経っても同じリアクションね、あの子は」
などと口走っていた。まったく、実の弟に対して仕留め損ねたはないだろ、仕留め損ねたは。
「ナオキ〜、私の朝食はー? 」
「あぁ、ちょっと待ってろ」
俺は軽くため息を吐きながら奥の厨房へと向かった。たまには自分で朝飯くらい作ればいいものを。そんなんじゃ一生掛かってもお嫁に行けないぞ、オイ。
「うるさいわね、私のこの美貌があれば引っ掛かる男なんて山のようにいるのよ! 山のように!」
いつからお前は読心術が出来るようになったんだ。こいつにそんな超人的な能力を持たせてはいけない。下手すれば世界を征服されるぞ。
「何、驚いた顔してんのよ、あなたとは長い付き合いでしょ。考えてる事くらいは大体分かるわ」
「それは、それは…下手な事は考えられんな」
「あら、あなたいつも下手な事考えてるの? 」
「お前の行動基準を考えてみろ。下手な事だって考えたくなる」
「アウトローが私の生き方よ」
お前が道を外れすぎて逆に真っすぐ、正当な道に向かってくれる可能性に賭けるぞ、俺は。
まぁ、とにかく、今はあのアウトローねーちゃんの機嫌を損ねないよう、朝飯を作ってしまおう……ん、メニューが気になる?しょうがない、細かくは教えられないが少しだけ教えてやろう。
大根。
朝から騒いだ罰だな。
では、俺は今から暴動を起こすだろう零を止めてくる。俺がまだ無事だった時、またお会いしよう。