第二十七幕 セーラー服とアサルトライフル
え〜、今回、彪様に素敵なイラストを描いて頂きました。興味がお有りの方はぜひ御覧になってください。 小説家になろう〜秘密基地〜様のイラスト依頼の方に彪様のサイト「雨模様」があります。 …ナオキがかなりツボの作者でした。
え〜と…ぶっちゃけ、後先構わず突っ込みました、これでも武蔵家の当主の武蔵零よ。
「私の可愛い弟いじめるなんて言い度胸してるじゃないの!」
「れ、零ねーちゃん!?」
怖〜いお兄さんたちに囲まれて、絶体絶命の我が可愛い弟、ムサシを助けるために切り込み隊長の鉄も追い抜いて、敵陣に突っ込んじゃった訳で…
「どこからでもかかってきなさいよ、この『全国、ブラコンに命掛けてますの会』の名誉会長、ついでに武蔵家当主のこの私、武蔵零がまとめて相手してやるわよ!」
あぁ、言っちゃったわ。怖いお兄さんたちの視線が痛いのは乙女の秘密。
「しゃらくせぃ!たかが女一人増えただけだ!このまま勢いでやっちまえ〜!」
「キーー!」
リーダー格のグラサンに命令され、キーキー奇声を上げながら私の前や横や斜めを飛び回る下っぱ。
「ムサシ、あなた達はナオキの事を盾にでもして、あすかの事助けに行って来なさい。ここは私と鉄とついでに下っぱがいれば十分よ」
「誰が盾だッ!!」
…ツッコミだけはしてくるのね、あの男は。
「分かった。零ねーちゃん、気を付けてね」
「任せなさい。最強伝説、復活させてあげるんだから!」
走るムサシと蘭と…多分、渚っていう子を私は笑顔のまま見送ると、まだ、キーキーうるさい下っぱを見る。
「さて、セーラー服の出番ね…鉄ッ!例のアレ、投げちゃって!」
「おぅ!そりゃぃ!」
鉄は私に向かい、黒光りするものを投げつける。
「いくわよ〜!必殺!セーラー服と機関銃!!」
私はすかさず、鉄が投げつけたアサルトライフルを受け取ると安全装置を外し、トリガーを引いた。
「キ、キッ!キー!キー!(あ、アサルトライフルだって!?)」
アサルトライフルから弾が雨あられ如く銃口から吐き出される。
「アハハハッ!私にひれ伏しなさい〜!」
「キキキッ!キーー!(な、なんだ!?ぎゃーー!!)」
「キキキー!(た、大佐〜!)」
「オラオラオラッ!裁くのは私のアサルトライフルよ〜!」
「零ッ!格好良いぞ」
「姉さーん!頑張って〜」
「キー!キー!(やれやれ〜!)」
…何か今、声援に混ざってキーキー変な声が聞こえたけど無視よ、無視。
とりあえず、綺麗に片付いた所で、私はアサルトライフルを構え、かの有名なあの台詞を…
「か・い・か・ん…」
言えたわッ!遂に言えたわ!最近リメイクしたあのドラマの台詞をやっと言えたわ〜!
…犠牲は大きかったけど。
「下っぱ戦闘員の皆さん…あなた達の犠牲は無駄にしないわ」
「実弾じゃないけどな…」
「キー…(BB弾は痛いっすよ…)」
「いいのよ!私の夢にいちゃもん付けないでよ!」
私はアサルトライフル…のモデルガンを呆れ返っているリーダー格の奴に思いっきり投げ付けながら、私はギャラリーに叫ぶ。
…そして、ギャッ!というリーダー格の悲鳴。
「おぅ、零。一人で片付けやがって」
「別にいいじゃない。あの阿久津家の手下なんて大体想像つくわよ。当主があれだもの」
「ただ…古参の奴はかなりヤバいがな」
「…あのさっきから私達を見てる人でしょ?」
私と鉄…そして下っぱ達は斜め向こうに立つ一人の黒服を眺める。
「神田家に…武蔵家か。相手に不満はないな」
「阿久津家の御三人、阿久津…何だっけ?」
私は古参の黒服に薄ら笑いを浮かべる。今の当主は相当の馬鹿だけど、正直、古参の手下はかなりヤバい。過去に鬼の阿久津と呼ばれた一族の事ではあるわ。
「私は阿久津武光…阿久津家を支える者」
「阿久津…武光。いやはや…これはヤバいわよね」
「…本気でやらんとまずいな」
阿久津武光…簡単にいえば格闘よし、頭のキレ具合よし、ルックスは…ダンディズム。親父にしたい男だわ…
「若き武蔵家の当主よ、そして神田家の当主よ…二人まとめてここで片付ける」
「…あまり本気は嫌よ」
「俺達は本気じゃないとヤバいけどな」
私は鉄に笑いかけると、全身全霊…気合を入れた。