第十八幕 渚ちゃんの秘密能力…いや、コメディだし…
前回は真面目な感じなオレでしたが…えっ、そうでもなかった!?
些かショックな武蔵ムサシがお送りいたします…
と、いうことであっという間に放課後になりました。教室で友達と喋っている者、部活に勤しむ者と、放課後の使い方は色々ありまして…
「ムサシ、一緒に帰る? 」
ちょうど、オレが帰り支度をしている時、渚ちゃんと一緒にいた蘭がオレの肩を叩いた。
「ん…、一緒に帰るか」
別に断る理由もなく、放課後の予定もないオレは、ぼろぼろになった通学カバンをひょい、と片手に携えると、最近、習慣になりかけている、
「…あすかはいないな? 」
と、いつもの台詞を吐きながら、辺りを見回しながら蘭たちに尋ねた。蘭はうん、と頷く。
「気配ゼロ。珍しいわね、ムサシの近くにいないなんてさ」
「確かに、いつもなら、そろそろ飛び付いてきてもいい頃合いだよな」
うんうん、と二人で頷き合っていると、渚ちゃんは何かを思い出したかのようにポン、と手を叩いた。
「そういえば、私…あすかちゃんが急いで帰るところ見た…ような気がする」
「あすかが急いで帰るねぇ…さっぱり理由がわからない。蘭、何かを心当たりは…」
「知らないわよ。けど、確かにそういわれると今日は落ち着き無くそわそわしてたわね」
そうだったか?と、今日、一日を振り返ってみたが、確かに、いつもと比べればあすかは元気というか、覇気がなかったように思える。この際、思っておこう。
「けどよ…あの人工太陽みたいに明るいあすかが元気無くなることってなんだ?さっぱりわからん」
「私よ。とりあえず学校からでようよ。帰り道、襲ってくるかもしれないから」
「そりゃそーだ」
とりあえず、帰る事にしたオレと蘭と渚ちゃんは、ちらり、ちらりと向けられる一人身の男子どもの視線を感じながら、昇降口へとむかった。
いやな視線だな。お目当ては蘭と渚ちゃんだろうに。なかなか美人で有名らしいからな、この二人は。
そんな二人と帰れるオレに向けられるのは、
『妬み』
『恨み』
『羨み』
くらいなもんで、目で犯されぬならぬ、殺されそうになる。いつかメデューサーの子孫に石にされるのではないかと、不安に思ってるのはここだけの話だ。
「あっ、見てムサシ! あれ、あすかじゃない? 」
オレ達はあすかを捜索しながら…少なくとも、オレは会いたくはなかったが、ぶらーり、ゆらーり、と駅辺りを彷徨っていると、蘭がいきなり耳元で叫んできた。
「ん…おっ、確かにあすかだな」
「駅でうろついてるだけか…私たちの取り越し苦労だったのかもね」
「けど、フツー、一人でうろつくか?一応、アイツはアイドルだぞ?」
「大丈夫よ、こんな田舎の駅にナンパするほど度胸の座ってる奴はいないわ」
確かに。田舎にナンパ野郎なぞほとんどいない。いたら、いたで珍しがられるだけだ。
「ちょっと…蘭。さっきから私の『運命の五本糸』(ザ・ファイブストリングス)にここら辺じゃ感じない物体を感じるんだけど…」
説明しよう。この渚ちゃんは小さな頃からこの『運命の五本糸』の能力、いわば超能力を持っているのだ!零ねーちゃんにいわせれば…
「それ、絶対『スタンド』よ! 」
との事らしい。
辺りの人を感じれるこの『スタンド』…便利なんだかイマイチなんだか。あっ、ついでに言っておくと、零ねーちゃんも自分で、スタンド持ってるわよって言ってたから何かしら持ってるらしい…恐ろしいねーちゃんだな、オイ。
「ここら辺じゃ感じない物体? 何それ? 」
「なんというか…雰囲気が違うっていうか、なんというか…言葉じゃ上手く言い表わせないんだけど」
「雰囲気が違うねぇ…どう思う、ムサシ?」
蘭がこちらを振り向く。俺にそんな事聞い ても解決策は浮かばんぞ。
うし、次へ続く!
へっ!?切れ目が適当だ?…作者に聞いてくれ!