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第十三幕 不孝と不幸は何が違うんでしょう?

あ〜、聞こえるか? テスッ、テスッ…、え〜、神田家からの手紙を受け取った俺は、零が仕事から戻ってくるのを待っている訳で…ん、棒読み? 気にするな。今回もこの俺、ナオキがお送りするぞ。


「ただいまぁ〜零おねーさまのお帰りよ! 」

「ああ、お疲れ」

俺が一人、夕食の支度をしていると、乱暴に家のドアを開ける音と共に零が帰ってきた。頼むから礼儀としてドアは静かに閉めてほしい。ただでさえこの家は古いのだから。

「いや〜まったく疲れたわよ…ナオキ、ビール! 」

「帰ってきて早々アルコールを要求するとはいい度胸だな…」

「アルコールは水よ、水! んもぅ、いいわよ、自分で持ってくるから」

零は頬を膨らますと、スーツを脱ぎちらかしながら台所へと向ってきた。頼むから服を着ろ。

「ビール♪ ビール! ビ…な、無い…無いじゃないのビール! 」

「ん、ああ…別にその発泡酒でいいだろうよ」

「ダメよ!! ビールと発泡酒は姿形は似てても中身はまったくの別物よ! キャベツとレタスの違いくらいの差があるわ」

「お前にキャベツとレタスの違いを説明できるのか? 」

「……ともかく、買ってきて、今すぐ! よく冷えたエビスを! 」

ハイハイ…と俺は一度言い出したら止まらない困ったわがままッ子に返事を返しながら花柄エプロンを脱いだ。

「それじゃあ買ってきてやるよ。ついでに卵も買ってこないとな…あぁ、そうだ」

俺はポケットの中を探り、あの手紙を零に手渡した。きょとんとした表情を見せるな。お前にだって手紙が来たっておかしい所はまったくないぞ。

「…ついに私にも来たのね…あの有名な不幸のてが」

「違うからさっさと話を進めろ」

「神田家からのお手紙ねぇ…出来る事ならこのままゴミ箱に放り投げたい所だわ、まったく」

とは言いながらも零は封筒を器用に破り、中のレターを読み始めた。一体何が書いてあるのやら。

「ふんふん…ほぅほぅ…あ〜…えっ!……ナオキ、今晩の晩酌中止かも」

「ん、どういう事だ? 」

「神田家の当主が今夜、自分の家で宴会開くから来いだって…」

「宴会、なぁ…」

「行くしかないわね。ちょうどいいタイミングだわ。あの事も聞かなくちゃいけないし」

「あの事か? …それもそうだな。その神田家主催の宴会は何時からなんだ?」

「ん〜今から十分くらい前かなぁ…」

「ほぉ…」

「ふぅーん…」

「「確実に遅刻じゃないかぁ!!! 」」

俺と零は以心伝心、同じタイミング、同じ口調で叫ぶと、俺は鍋の火を止めに、零はまぁとりあえず服を着に、反対方向に走りだした。


〜十分後〜


「二十分の遅刻よ」

「神田家までは時速200キロで飛ばしまくれば一時間…ぎりぎりか」

「まぁ、遅れた時点でぎりぎりじゃないんだけど」

零は秘密のオシャレ七つ道具の入ったセカンドバックを引ったくるように持ってきながら玄関に早歩きで向かってきた。

「そういえば…ムサシ達はどうする?」

「あぁ、置き手紙書いといたわ。何かあったら携帯に連絡するでしょ」

そうだな、と俺と零は、零の真っ赤なスポーツカー…確かGT−Rだか何だか忘れたが、それに乗り込んだ。ちなみに運転は零だ。俺はバイクの方が好きだからな。

「とりあえず、出発するわよ」

零はキーを回し、愛車のエンジンを掛けた。…あっ、宴会だよな…零には飲酒を控えてもらわんと帰れないぞ、オイ…

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