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第一幕 『発情期』はお好き?

心地よい春風を肌で感じる今日この頃、今日から新学期だと言うのに家では我が貞操を守るため朝からドタバタコメディが始まる訳で……どうも、武蔵たけくらムサシです。


全国の姉がいる諸君には分かると思うが、姉ほど強く、頭の上がらない人物はこの世にいないんではないかとオレは本気で思っている。もし、家に両親がいなく、家政夫一人と幼なじみの居候一人と弟であるオレと姉……誰が一番の権力を持つと思う?

確実にオレではないとして…

家政夫…まさか。

居候の幼なじみ…確実に乗っ取られましたな、その家は。

やはり選択権として残るのは姉しかなく、現にオレは今日から新学期、高校二年の記念すべき初日なのに姉に追い掛けられている訳で…

「むぅさぁしぃ〜! 今日という今日は逃がさないわよ〜! 」

「零ねーちゃん、頼むから落ち着いて! 」

何故にオレは下着姿の姉に朝っぱらから追い掛け回されなければいけないのだろう。別に悪いことをした憶えはない。

ねーちゃんの私有物はいじってないし、ねーちゃんの好きなポテチだって勝手に食べてないし…となるとやはり『アレ』しかなかろう。

要するに『発情期』みたいなものだろうか。ショタコンで弟LOVEの零ねーちゃんは一、二ヵ月に一回くらい『発情』するんだ。最近、彼氏もいないし、欲求不満なのかなぁ…なぞと考えながら、オレは犬走りの脇を走る長い廊下を走りながらどうにかアレの対策を考える。こんなところで我が貞操を奪われてたまるか。

「んもぅ、じれったいなぁ…しょうがない!タケクラ流…三式、疾風ッ! 」

「なっ!? ねーちゃん、ちょ、ちょい待っ、ぐはッ!!」

瞬脚といって一定の距離を瞬時に移動できる飛び蹴りを背中に受けながらオレは心から思う。いくらじれったくなったからって何故にウチの武術まで駆使してオレを捕まえようとするんだこの姉は…。

「さ〜あ捕まえたわよブラザぁ〜! 」

「ね、ねーちゃん、や、止めて! 朝からオレの貞操を奪おうとするのは止め…」

「問答無用〜!いただきま〜す! 」

「何、朝から実の弟召し上がろうとしてんだ、零」

あら、とオレのシャツに手を掛けていた零ねーちゃんは背後の聞き慣れた声色に恐る恐る振り返る。そこに立っていたのは決して鬼なんかじゃなく、殺気漂ったウチの家政夫。

「まったく、弟にまで手だすとはな。お前は盛りのついた猫か」

「あら、私のは盛りのついた猫なんかとは比べものにならな……」

仰向けになっているオレの体に馬乗りになっている零ねーちゃんは残念そうにオレが降りた。ナオキと言う名の家政夫はウチの実質ナンバーワンを恐れさせるほどの権力を持っていたんだ。まぁ、権力って言っても…

「ナオキ〜!謝るからまたこの前のように私の朝ご飯だけ作らないとか止めてよね! 」

「大根でもかじってなさい!! 」

大根は少しひどいような気もするなぁ…確かこの前はもやしだったから少しは格上げされたのかな?

「ムサシも早く顔洗って朝飯食べてしまえよ。新学期から遅刻する訳には行かないだろ? 蘭はもう食べてるぞ」

「あっ、うん。分かった」

そうだった。今日から新学期ではないか。姉の暴走さえなければ平和なホームドラマが送れたものを……

オレはまだ、家政夫ナオキに懇願する零ねーちゃんを置いていきながら朝飯の待つ居間に向かった。

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