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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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星に跳ぶ

作者: 遠響
掲載日:2026/07/07

四月、新生活の季節。僕は学校を卒業し、社会人になったばかりだった。


もはや、自分のために何かを研究し、学ぶ学生ではない。自分のしたいことを、したいように、自由に行動することも許されない。換言すれば、僕は不自由になったのだ。


僕の人生の軌跡は、あらかじめレールが敷かれていたかのようだった。


思いがけず合格したまずまずの大学、就職に有利な学科、そして学校推薦で入社した大手企業。これはおそらく、世の中の九割の人が成し遂げられない「円満な人生」というやつなのだろう。


しかし、これは僕がやりたかった仕事ではない。


僕は音楽家になりたかった。いちから音楽を学び、自分のために奏で、自分のために歌いたかった。


着慣れないスーツに身を包み、来る日も来る日も会社へと向かう。

僕は正装が大嫌いだった。せめてもの最後の抵抗として、オフィスカジュアルなセットアップを選んで着ていた。

五月、働き始めて最初の月。僕は案の定、心を病んでしまった。精神科を受診して服薬を始めたものの、それでもなお、幻覚が見え始めた。


「君は、誰?」


「彼女」は何の答えも返さず、ただ僕が退勤する時間になると、客待ちのタクシーの運転手のように、遠くの道路から僕をじっと見つめていた。


ある日、ついに僕は彼女の方へと歩き出した。

彼女は振り返り、僕を連れて電車に飛び乗った。

そうして最終的に、彼女が僕を導いたのが——「戸部(とべ)駅」だった。


電車を降り、ホームに立ち、線路を見つめる。

この駅には、停車する列車がそれほど多くない。ただ、目にも留まらぬ速さで、何本もの通過列車が次から次へと通り過ぎていくだけだ。


「とべ。」


そんな声が聞こえた気がした。


跳ぶべきか。跳ばざるべきか。


すべての意識を失った後、僕はまたあの幻覚の――「彼女」を見た。


彼女はとても華奢で、その目鼻立ちは一輪の花によって遮られていた。それなのに、彼女は息をのむほど美しかった。

彼女はホームの向かい側に立ち、僕に気づいているようでいて、同時に無視しているかのように、ただそこ佇んで行き交う電車を見つめていた。


突然、あたりが静寂に包まれた。そして、彼女は跳んだ。


彼女の顔に咲くあの花が、さらに鮮やかに咲き誇った。その瞬間、僕は理解した。彼女はきっと、幸せなのだと。


だから僕も、一瞬の恐怖のあと、少しだけ考えてから跳んだ。


そこにあったのは、終わりなき星々の海だった。

僕はきらめく繁星の中へと跳び込んだのだ。

そこでようやく、僕は彼女の姿をはっきりと捉えることができた。

彼女は本当に美しかった。紫色の星々がうごめく群青の中で、彼女は手を差し伸べ、僕を遊泳へと誘った。


僕たちはあらゆる物理法則を無視して、ただ互いの手を強く握りしめ、どこまでも、どこまでも歩き続けていった。

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