9.沿線風景(1)
「人ってどうして電車に手を振っちゃうのかな。」
「ああ、そういうのってあるね。」
「今日見たのは保育士さんに連れられた園児たち。」
「子供って手を振ってくるよね。」
「でしょ。あれって何でなんだろう。」
「何でだろうね。でもって振り返したくなっちゃうけど恥ずかしくてためらう。」
「うん。何か年齢的なものとかあったりして。」
「確かに大人はあんまりしないね。」
「だけど大人でも手を振ることあるよね。」
「行楽地だったり、観光列車なんかだと振るね。」
「遊園地の乗り物とかアトラクションみたいな感覚になるのかな?」
「あと、イメージなんだけど、長閑な景色の中を走ってると農家の人が仕事の手を休めて振ってきたり。」
「電車の本数ってのもあるかな。」
「1日に数本しか来ないところだと振りたくなっちゃうみたいな?」
「だって数分おきに電車が来るようなとこじゃ無理でしょ。」
「開かずの踏切じゃないけど、手振りっぱなしになるね。」
「あ、農家の人のあれって、ひょっとしたら体操だったりして。」
「電車が来たら小休止して体動かしましょう、的な?」
「うん。農業な協同組合さんの主導とかで。」
「鉄道が生活のリズムを刻みます、みたいな感じだね。」




