8.電車(3)
「ところで四国の徳島県は非電化率100%です。」
「じゃあ、電車は走ってないんだ。」
「うん。同じ四国の高知県もJRは全線が非電化なんだけど、高知で路面電車が走ってる。」
「な~るほど。」
「で、その徳島県内の駅で『電車が来ない』って言ってるのを僕も旅行番組で観たことがある。」
「ツッコミ入れた?」
「心の中で。少なくとも数十年単位で電車は来ないと思います、って。」
「底意地の悪さを感じます。」
「ま、それはそれとして、ここからが本題なんだけど、10年くらい前に徳島県内でハイブリッドな車が試験走行をしたんだって。」
「ハイブリッドって色んな仕組みがあるんじゃなかった?」
「そう。その時のものはバッテリーを電源にしてモーターで走るんだけど、ディーゼルエンジンでバッテリーの電力を補充する方式。」
「電車なの?ディーゼルカーなの?ってところがハイブリッドなんだね。」
「試作車を作ったメーカーは『電車』って言ってて、徳島県内を電車が走るってニュースにもなったらしい。」
「言ったもん勝ちな感じ?」
「いや、車両の確認をする国土交通省は『気動車』って見解を出したそうだよ。あ、気動車ってのはディーゼルカーなんかの総称だと思ってください。」
「その『なんか』の部分も気になるけど。」
「長くなるよ。」
「遠慮します。」
「話を戻すと、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを回す『電気式気動車』っていう仕組みは昔からあったんだ。」
「バッテリーをメインにしたのが新しいってことかな?」
「そう。使うのがバッテリーだけなら電車だけど、走りながらでも充電できるように発電用エンジンを積んだんで、ディーゼルカー側に分類されちゃったみたい。」
「それは残念だったろうね。」
「うん。それでね、JR四国では2027年度の導入に向けて、この方式での先行車両が登場予定なんだって。もちろん徳島県内でも走るだろうね。」
「ついに徳島でも『電車』が、って言いたいけど微妙なところなんだね。」
「実際には話が通じれば何て言っても問題ないんだけどね。」
「電車って言った時に『特急』と『新幹線』は含まない気がしない?」
「あ~、そうかも。普段乗らない特別なものは区別した呼び方を使うのかな?」
「それと『貨物』。」
「それは普段乗れないものだね。」




