7.電車(2)
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「そもそも何で『電車』って言っちゃうんだろう。」
「それで通じるってのが一番じゃない?」
「『列車』とか『車両』とかなら車種関係なしに使えるけどね。」
「聞かないね。俺も話の流れでたまに使うくらいかな。」
「それに普通の人は電車だかディーゼルカーだか気にしないでしょ。」
「あーそうだね。走る音は違うんだけどね。」
「そういうのを気にするのが手遅れの証拠。」
「ぐぁっ!」
「普通は『この電車、音が大きいな~』ってぐらいじゃないの?」
「多分そうなんだろうね。」
「昔は『汽車』って言い方もしたそうだよ。」
「蒸気機関車が引っ張るやつ?」
「確かにそんなイメージあるけどね。」
「そうじゃないの?」
「国鉄のローカル列車なんかを汽車って呼んでたらしい。」
「蒸気機関車じゃなくても?」
「何が引っ張ってるかなんて車内に居たらあまり気にしないじゃない。」
「煙が入ってこない。」
「それはあるかも。まあでも、ディーゼル機関車とか電気機関車に変わっても、馴染んだ言い方は変わらなかったんじゃない?」
「そうなのかな。」
「そういえば、僕のお祖母ちゃんは近郊電車も汽車って呼んでたよ。」
「お祖母さんも鉄道ファンだったとか。」
「ううん、普通の人。旅行は好きだったらしいけどね。」
「普通に使う言い方だったんだ。」
「うん。こっちは伯父さん情報だけど、私鉄の電車とか路面電車が走ってた地域では、国鉄を汽車、私鉄を電車って呼び分けることが多かったみたい。」
「へえ。」
「国鉄が電化されても変わらなかったらしいけど、今どうなってるだろうなぁって。」
「気になるね。」
「マメ知識的な話では、宮城県の石巻駅は以前ふたつの駅舎があって、仙石線の方を電車駅、石巻線の方を汽車駅って呼んでたそうだよ。」
「う~ん。要は時代ごとに何かまとめた言い方があるってことなんだね。」
「あ、賢いね。」
「馬鹿にしてない?」
「そんなことはない。」




