56.夜行(1)
「夜行の高速バスってたくさん走ってるんだね。」
「どこか行くの?」
「名古屋とか大阪とか。妄想旅行だけどね。」
「ああ、最近始めたやつ。」
「新幹線なら早いんだけどお金かかるし、移動で半日近くつぶれちゃうんだよね。」
「安くて、宿代が浮いて、時間も有効に使えて、ってのが夜行バスのメリットだから。」
「それでネットで調べてみたら、たくさんあったからびっくりしちゃった。」
「時刻表に出てるのだけじゃないからね。」
「これだけ需要があるみたいなのに夜行列車って復活しないのかな。」
「結構難しいと思うよ。一度やめちゃうと、何もないところから始めるのと変わらないことも多いから。」
「そうなのかなぁ。」
「まず、車両は何使う?ターゲット層をどうするかとも絡むけど、団体用の座席車でも良い?寝台車はもう無いよね、って具合。」
「それを用意するだけの手間と費用に見合わないってこと?」
「ナオが期待してるのって、以前走ってた『ムーンライトながら』みたいなのでしょ。」
「うん。そう。」
「でもさ、確か東京から大阪の高速バスって安い時は2,000円くらいまで下がったはずだよ。」
「うん。そんくらいの日があった。」
「その値段だとJRの運賃じゃ100キロちょいしか乗れないんじゃないかな。」
「えっと、一番安いのを2,000円として…。」
「JRだと学割使って2割引だから、逆算すると2,500円分まで乗れるよ。」
「値段が近いところで2,640円だと141から160キロ。東京からだと…、由比まで?静岡へも行けない!」
「バス安いんだよ。」
「ちょっと太刀打ちできないね。」
「高速バスを使うときはリスクも考えとかないとだよ。」
「渋滞とか事故ですごく遅れる可能性もあるんでしょ。」
「それもだけどイビキが凄い人と乗り合わせると最悪らしい。」
「耳栓必須?」
「そういえば碓氷峠のトロッコ、今年は12月以降も運行するらしいよ。」
「あ、そうなの?でも、窓無いから寒そう。」
「積雪時は運休するって。」




