53.信越線(2)
「トロッコ列車は乗れた?」
「うん。冬じまいの直前だったけど終点まで往復してきた。ずっと上り坂が続いてたけど、変電所を過ぎた辺りからもの凄い急坂になった。」
「廃止になった横川~軽井沢間、通称『横軽』の線路を走ってるんだけど、この区間の最急勾配は66.7‰だったからね。」
「確かにそんなアナウンスがあった、えっと、1000m進むと66.7m上るんだよね。」
「そう。以前走ってた特急『あさま』は11両編成の場合1両20mで全長220m。編成の前と後ろで、えっと約14.7mの差がある計算になるね。」
「5階建てくらいの高さじゃない!」
「ナオが乗った辺りはもう少しだけ緩やかだけど、確か65‰だったはず。」
「たいして変わらないよ。」
「トロッコ列車の車両は1両10mくらいだから、前の端と後ろの端で高さが65cmくらい違う。」
「30センチものさし2本とちょっとくらいだ。」
「よくポンと出るね。」
「ところで66.7とか何でそういう半端な数字なの?」
「鉄道では千分率で表すのが普通になったけど、勾配を分数で表す方法もあるんだよ。」
「分数にするには、1を割れば良いのかな?」
「千分率だから1000を割った方が良いよ。」
「14.9925、以下略。」
「ということで、答えは15分の1。」
「あ、これ分かりやすいね。15m進むと1m上がるってことだよね。イメージしやすい。」
「他にも33.3‰は30分の1、12.5‰なら80分の1。こういうのは分数で決めた勾配だろうね。」
「でも半端な数なら必ず分数がもとなわけでもないんでしょ。」
「もちろん。」
「時間があればとんぼ返りじゃなくて、お風呂入ったり、変電所を近くで見たりしたかったな。」
「反対方向には廃止になったトンネルを通って熊ノ平駅跡まで行く『アプトの道』ってのも整備されてるよ。」
「それってずっと坂道が続くんだよね。」
「そう。」
「あの区間で線路が水平になるようにして真横から写真を撮ると電柱が傾いて見えるんだよ。」
「へえ。撮っておけば良かった。」




