52.信越線(1)
「土曜日に横川まで行ってきた。」
「あ、予定どおり行ってきたんだ。」
「横川駅で線路の先が行きどまりになってるの見たら、この先長野から更に新潟まで続いてたなんて信じられなかった。」
「綺麗に途切れてるもんね。」
「あと、駅の裏に鉄道文化むらの方へ行く線路が伸びてるのは面白かった。」
「ちょっと路面電車?って感じだよね。」
「うん。それからアプト式のギザギザなレール。」
「ラックレールね。」
「そうそれ。ラックレールを使った駅前の排水溝のふたも見た。案内板もあったけど聞いてなかったら気付かなかったかも。」
「それで、『碓氷峠鉄道文化むら』はどうだった?」
「面白かった。写真でしか見たことない車両とか、実物はちょっと印象が違うなってのもあった。」
「へえ。そうだったんだ。」
「特に『操重車』が迫力だった。」
「ナオさんナオさん、ゲテモノ路線に突入してない?」
「そんなことはないと思う。」
「最近すっかり見なくなっちゃった機関車も沢山そろってたでしょ。」
「うん。EF63の運転体験なんかもやってはみたいけど、あそこまで通うのも大変だし、お金がすごくかかるからなぁ。」
「僕はいいや。不器用さには自信がありますから、大事な機関車を壊さないように手はだしません。」
「本音は?」
「ちょっとくらいはやってみたい。」
「高崎で見えた上信電鉄も乗ってみたいなって思った。」
「あそこはいろんな電車があって面白いよね。」
「それにしても横川は遠いね。」
「結局往復とも湘南新宿ライン使ったの?」
「そう。」
「高崎まで新幹線使ってもそれなりにかかるもんね。」
「だけど帰りはアドバイスどおりグリーン車使っちゃって正解だった。贅沢かとも思ったけど楽だった。」
「グリーン車、癖になりそう?」
「うん。行きも使ってれば良かったかもって思っちゃった。」
「これ頼まれてたお土産。」
「ありがとう~♪」
「こんなんで良かったの?」
「こんなのが良いの。焼きまんじゅうは至福の味だよ。」




