5.鉄道(4)
「鉄道をドイツ語で『アイゼンバーン』って言うのを思い出した。」
「アイゼンバーン?」
「そう。アイゼンが鉄、バーンは道の意味だよ。」
「何かドイツっぽい、硬そうなイメージの言葉だね。」
「そうだね。あとフランス語でも『鉄』って意味の言葉を使ってるって聞いた気がする。」
「ふ~ん。それだけ使われてるんなら鉄の字でもアリなのかな。」
「そうだと思うよ。」
「まあそれでも『鉄』は不憫だと思う。」
「今度はどんな?」
「さっきの『乗り鉄』とか『撮り鉄』とか、既に鉄とは全然関係ない意味まで持たされちゃってるじゃない。」
「あー、それね。鉄の塊に乗っかったり、写真を撮ったりなんて、そんな誤解はしないもんね。」
「結局『鉄道』って言葉は何なんだろう。」
「あのさ、つまらないオチになっちゃうんだけど、鉄道って言葉には狭義と広義があるってことでしょ。狭義の鉄道はレールや線路のことで、広義の鉄道は『鉄道輸送システム』っていう鉄道を使った交通システムの全般を表す。そんな感じでどうでしょうか。」
「え?なんだか本当につまらなかった。」
「おい、人に頭使わせておいて何を言う。」
「次は面白くなるように、もっと工夫すること。」
「理不尽だ。実に理不尽だ。」
「やっぱり『鉄』の字に全てが凝縮されている感じなのかな。」
「『鉄』万能説?」
「哲学ならぬ鉄学。」
「それ、使い古されたネタな気がする。」




