47.左/右(1)
「小学校で人は右側通行って教わらなかった?」
「あー、そんなのあった。」
「駅の通路ってさ、大抵左側通行だよね。電車が左側通行だからとか?」
「直接の関係はなさそうだけど。少し調べてみようか。」
「そうだね。」
「道路交通法で人は右側通行ってなってる。」
「だけど歩道と車道の区別が無い道路しか決めてないんだね。」
「車が前から来るのと後ろから来るのを考えたら、前から来る側を歩いたほうが安心・安全って考え方なんだ。」
「でも歩道を歩く場合は左側通行が『マナー』なの?これは混乱するね。」
「駅での左側通行は…、電車の左側通行説も書いてある。」
「武士の刀説とか。うち農民だったろうから関係なさそうだけど。」
「もともと左側通行が自然なんだけど、車が増えて後から右側通行のルールができて、それでも駅は左側通行のまま残った。そんなまとめになるのかな?」
「普通、駅の通路を自動車は走らないもんね。」
「ネットでは見当たらなかったけど、駅の左側通行については伯父さんから聞いた説も有るんだ。」
「どんなの?」
「自動改札機ができる前の駅は、紙のきっぷに駅員さんがハサミを入れてたでしょ。」
「うん。」
「ちょっとこの紙切れをきっぷだと思って、僕はハサミを持ってる感じで…、駅員の僕に見せて通ってください。」
「はい。こうかな?」
「今、僕の右側を通ったよね。」
「うん。」
「左側通行になってるよね。」
「あ。」
「今やってもらったみたいに、お客さんが駅員さんから見て右側を通った方がきっぷの受け渡しをしやすいんだって。」
「ちょっと反対側を通ってみる。あ、右利きだとお互い反対側に手を伸ばさないといけないんだ。」
「駅員さんが一人で入口と出口の対応をするときに、お客さんには左側通行をしてもらった方がやりやすい、ってのが伯父さん説。」
「うん。それだと思う。」
「まあせいぜいが『諸説あり』のなかのひとつだろうけどね。」
「駅できっぷ切ってもらったことってある?」
「旅行先のローカル線であるよ。」
「俺はないかも。ってか最近は『ピッ』で通っちゃうから、紙のきっぷも先日の『都区内パス』が久しぶりだった。」
「あ、それ僕もだ。」




