4.鉄道(3)
「こうやって考えると『鉄』の字が不憫だなって思えてきた。」
「鉄の字が?」
「あのさ、レールって日本語での言い方は無いの?」
「あるよ。『軌条』っていうんだけど、でも普段使う言葉じゃあないね。」
「あ、それって『第三軌条』の軌条?」
「そう。」
「確かにそれくらいしか聞かないね。それに『軌条道』って言いにくい。」
「うん。そうだね。」
「だから代わりに『鉄』の字を使ってるんじゃない?」
「どうだろう。」
「何か他にもっと良さげな言葉は無かったのかな。」
「似たような言葉だと『軌道』ってのもあるけど。」
「それって路面電車のことじゃないの?」
「軌道は本来『線路』と似た意味なんだ。路面電車なんかをさしていうのは『軌道法』って法律に基づいてるからだね。」
「路面電車をさすってことは、軌道は鉄道の一部ってことになるのかな?」
「えっとね、法律上だと『鉄道事業法に基づく鉄道事業』と『軌道法に基づく軌道事業』とは別物なんだよ。」
「え?じゃあ、これまで『鉄道』の話をしてたけど、路面電車は対象外ってことなの?」
「普段は分けて考えないで良いと思ってるよ。」
「それで良いの?」
「厳密に区別したら凄い面倒なんだよ。モノレールなんかや地下鉄にも『軌道事業』のものがあるから。詳しく説明してあげようか。」
「全力で遠慮します。」
「じゃあ、残念だけどまたの機会にってことで。」
「なるべく遠い未来でありますように。」




