31.非鉄(1)
出演のおふたりは、明石朋明君と吉田有輝君です。
これをふまえてお読みください。
なお「非鉄」は鉄道ネタじゃない日常風景などの時のタイトルです。
それと30話まで書けたのを機に、エピソードタイトルに通番を振りました。
目次の1~30話に「(改)」マークが付きますが、本文は変えてませんのでご承知ください。
「また学生課の窓口で『よしだゆうきさん』って呼ばれちゃったよ。」
「あー読めないよね。僕も最初間違えちゃってごめんね。」
「いや読めないのが普通だし慣れてるから。でも学生証と申請書にはちゃんとふりがな振ってあるんだよ。見てないって証拠だよね。」
「そもそも『有る』の字で『なお』って読むのはどんないわれがあるんだろう。」
「俺も気になってネットで調べたことがあるけど、良くわからなくてやめちゃった。」
「人名漢字にはなってるんでしょ?」
「そうらしいよ。どうしても『なおき』って名前にしたかったけど、普通の字だと画数が悪くて、やっと見つけたんだって。」
「そこまでこだわりの名前だったんだ。」
「うん。母さんがつけてくれたんだけどね。」
「え?地雷埋まってそう。」
「大丈夫。昔好きだったアイドルの名前らしいから。」
「それもどうなの?」
「トモも読み間違えられるでしょ?姓の方。」
「うん。たいてい『あかし』って呼ばれるね。」
「特に鉄道同好会では駅名で馴染みのある字だからね。」
「一度覚えてもらっても『あけし』とか微妙に間違えられる。」
「お気の毒さま。」
「恐れ入ります。」
「で、ついでと言っては何ですけれど、前から気になってたことを聞きたいです。」
「何でしょうか。」
「トモのフルネームを漢字で書いたときに、何だか似たような文字が並ぶのは意図があったのでしょうか。」
「ついに、聞かれてしまったか。」
「ということは…。」
「『とも』っていう言葉は最初から使いたかったらしいんだけどね、漢字の字面が面白いから選んだらしい。」
「なんと不憫なことよ。その名前に決めたのは誰?ノリで決めちゃうのは例の伯父さん?」
「いや、父さん。でもそれを聞いた時はやっぱり伯父さんの弟なんだなぁって再認識したよ。」
「俺たち難読コンビだね。」
「いつの間に結成?」




