25.道床(2)
「バラストって、クッションの役割があるんだよね。」
「そう。」
「あんなに固い石でクッションになるの?」
「1両で40トンとか50トンっていう車両を支えるわけだからね。」
「ちょっと想像つかない重さだけど、普通に思い浮かべるクッションじゃ、一発でぺっちゃんこなのはわかった。」
「バラストに使ってる石は、山で採った岩を砕いて使うことが多いから砕石って言い方もする。」
「そういえば角張ってるよね。丸いのって見ない。」
「あの形と大きさの石を使うことで、車両の重量や衝撃を分散してやわらげる働きをするらしい。」
「確かに丸いと滑っちゃって、支えるって用途には向かない感じがする。」
「バラストは上からの重量だけじゃなくて、左右方向の力にも対応してるよ。」
「左右の力ってどんなんだろう。電車の揺れ?」
「それもあるだろうし、例えば曲線区間では遠心力でカーブの外側にかかる力に対抗してる。」
「ひょっとして張り出しにも?」
「そう。抵抗力を高めるため、まくらぎの外側にバラストを高めに盛ることもある。」
「へえ。」
「あとは騒音を抑える効果もある。列車が鉄橋を渡るとき無道床だと物凄い音がするんだ。」
「あの橋全体から響く感じのするやつね。」
「そう。レールとまくらぎを鉄橋に直接接続するから、振動も直接伝わって大きい音になる。」
「鉄橋の下で聞いたことあるけど、ガンガン容赦なく叩いてる感じだよね。」
「スラブ軌道の場合もコンクリート板だから騒音を反射して結構うるさい。」
「あのゴーって感じの音かな。」
「そう、それ。最近は騒音対策でスラブの上にバラストを敷く例もあるよ。」
「スラブが反射板でバラストは吸音材みたいな感じ?」
「そんな感じ。その場合は車両を支えなくて良いから、通常のバラストより細かい石も使うみたいだね。」
「前にも似たようなこと聞いたけど、スラブのベッドの上に、まくらぎの枕とバラストの掛け布団を使って、レールを抱き枕にして寝てみたいなんて思わない?」
「何の拷問だよっ。」




