20.機関車(1)
「JR東日本の電気機関車って引退しちゃうの?」
「正確には新潟支社の電気機関車が旅客列車としての営業運転を終了って内容だったと思う。」
「微妙な言い回しだね。」
「うん。まだ『ぐんま車両センター』にも1両だけ残ってたはずだからね。まあ秒読みかな?だけど。」
「ふ~ん。ねえ、でもそれって新潟のも旅客列車以外なら走るかもってこと?」
「それはわからない。だけど否定もできない。」
「これってやっぱり『カシオペア』が引退しちゃったからなのかな?」
「というか、電気機関車を引退させようと準備をしてきて、その最後に残ったのが『カシオペア』だったんだと思う。」
「確かに電気機関車って、これまでもイベントなんかでわざわざ走らせてたって感じだよね。」
「牽くものがほとんど無くなって、お客さんを乗せる列車の牽引では既に出番無しに近い状態だったから。」
「他に残ってたのはSL列車の客車くらい?」
「それも少し前から『GV-E197系』での牽引が始まったでしょ。」
「そうだった。」
「お客さんの目にはふれにくいけど、重要な役割としてはレールとかバラストを積んだ貨車の牽引があった。」
「そうだ。大事な仕事だよね。」
「うん。だけど最近ディーゼルカータイプの新車が導入されて、これまで使ってた貨車は廃車になってる。」
「そうか、これも引退の準備だったんだ。」
「電車と電気機関車って免許自体は同じらしいんだけど、運転の仕方が違うから機関車の場合その分の養成が必要なんだって。」
「そういえば、電車の運転席は何かコンピューターのコンソールっぽい感じだけど、電気機関車はメカメカしてて難しそうな印象がある。」
「それに経験も重要らしい。必要とされる機会が極端に減ったのに習得には時間がかかるから、電気機関車の出番が無くなれば運転できる人の後継者を育成しなくて良いってことなんだろうね。」
「ねえ、これってディーゼル機関車も似たような感じなの。」
「そう。さっきの新しい車両は、機関車の技術が無くてもディーゼルカーを運転できる運転士さんなら乗務できるようになるみたい。」
「JR東日本の電気機関車が終焉を迎えるんだ。」
「寂しいことだけどね。」
「伯父さんの同期に電気機関車が好きすぎて自宅の屋根にパンタグラフを載せた人が居るとか居ないとか。」
「何それ。」
「毎朝ディスコン棒でパンタグラフを上げると、コンプレッサーが回り始めて一日が始まるらしいよ。」
「ちょっと何言ってるのかわからない。」
「大丈夫。僕もよくわかってない。」




