14.同好会(1)
「今日もトモと俺の2人だけだね。」
「僕ら以外はみんな幽霊部員だよね。って幽霊会員か。」
「部員って言った方が納まりが良い気がする。この部屋だって『部室』だし。」
「そうだね。この部室があるってだけでもありがたい。」
「そもそも一口に『鉄道ファン』っていっても活動内容はみんなバラバラだもんね。」
「写真、模型、きっぷ、車両、旅行、グッズ、挙げたらきりがないな。」
「写真撮る人だって、風景写真風の人もいれば、車両をドーンって写す人もいるでしょ。」
「風景も都会か田舎か、被写体の好みも人それぞれだね。」
「極端に言っちゃえば全員が別の趣味活動をしてる。」
「全部ひとくくりに同じ同好会に居るのが間違ってるんでね?ってぐらいだよね。」
「だから顔を合わせても話題が無いかもってのもわかるけど。」
「ちょっと淋しいね。」
「せっかく同じサークルに所属してるんだもんね。」
「伯父さんの頃は集まった方が情報交換とかできたし、何だかんだで一緒に居ればいろんな話をしてたって言ってたよ。」
「今は雑談から情報収集までスマホがあれば全部できちゃうからね。」
「鉄道同好会もグループチャットの方は結構盛り上がってるんだけどね。」
「時間見つけて部室まで来るのが面倒だとか?」
「そう考えるといつも僕たちがここで話をし続けてるのって不思議な気がする。」
「多分トモの懐が広いからだよ。」
「照れるね。」
「他の会員だけじゃなくて、顧問の先生も寄り付かないね。」
「え?顧問の先生なんて居たの?」




