13.まくらぎ(2)
「『まくらぎ』のまくらって、寝るのに使うあれだよね。」
「そうだね。」
「上にレールを寝かせてるみたいだからなの?」
「そうかも。」
「これは英語との関係とかどうなのかな。」
「英語で枕は『pillow』だよ。」
「あっ。あ、エッチな言葉を連想しちゃった。」
「そういうこともあるよね。」
「あるよね。」
「気を取り直して、まくらぎは英語だと『sleeper』って言うそうだよ。」
「寝る人?」
「直訳するとそうだね。他に寝台車の意味もあるらしいから、区別するために『railway sleeper』とも言うそうだけどね。」
「ふうん。まくらぎ自身が寝てるのか、レールを寝させてるのか、もやっとするね。」
「確かにね。で、スリーパーはイギリス英語の場合で、アメリカ英語だと『crosstie』。」
「ぜんぜん違うね。」
「crossしてtieってことで、こっちの方が用途を良く表現してるかな。」
「直訳すると『交差繋ぐ』?」
「変だね。」
「変だね。えっと、クロスって十文字のクロスと同じ言葉なの?」
「うん。」
「じゃあ『十文字繋ぎ』とかにしたら格闘技の技みたいだね。」
「無いね。」
「無いね。」
「ちなみにtieの字を名詞として使うとネクタイの意味にもなるね。」
「結局のところ『枕』は日本的な解釈で使ったってことなのかな。」
「そうみたいだね。」
「トモはまくらぎを枕に寝てみたいって思ったことある?」
「え………、無いよ。」
「何?その長い間は。」




