12.まくらぎ(1)
「枕木ってさ『木』の字を使うのに、最近見るのはコンクリートばかりだよね。」
「『枕コンクリート』ってのは言いにくいからね。」
「たしかに。」
「鉄製のものなんかもあるんだよ。」
「『枕鉄』は痛そうだね。」
「鉄じゃなかったとしても人間向きじゃないと思う。」
「別の言い方にしようなんて動きはないの?」
「多分ない。言葉としては今までどおり『まくらぎ』を使ってる。」
「そうなんだ。」
「だけど『枕木』じゃなくて、『まくらぎ』とか『マクラギ』を使うようになってるそうだよ。」
「ひらがなとカタカナだと、どっちを使うのが良いの?」
「基準があるのかは知らないけど普通はひらがなかな。カタカナを使う場合は文字にして書いたとき読みやすいって理由もありそう。」
・ ここにまくらぎがあります
・ ここにマクラギがあります
「ほんとだ。確かに書いてみると違うね。」
「あと、材質を明確にするために『鉄まくらぎ』とか『PCまくらぎ』とかいう言い方もある。」
「その、良く耳にはするんだけどさ、『PC』ってどういう意味?」
「prestressed concreteの略。」
「プレスト?レスト?早口言葉みたい。」
「区切る場所が違うよ。pre=事前に、stressed=圧力をかけるの過去形、ってことで、コンクリートが崩れにくいように、事前に引っ張り力を与えておいた鋼材を埋めてから固めるって手法のこと。」
「????」
「詳しくはネットでねっ。」
「丸投げした。」
「で、それは置いといて、さっきの言い方で木製の場合は『木まくらぎ』なんだ。」
「へえ。『アラカワ・リバー』みたいな?」
「うん。なんか本末転倒っぽいよね。」
「『鉄まくらぎ、PCまくらぎ、木まくらぎ』ってこれも早口言葉になりそう。」
「余談だけど、伯父さんによると確か、古い法律は当然『枕木』なんだけど、比較的新しい法律では『まくら木』で、JIS規格なんかだと『まくらぎ』を使ってるんだって。」
「へえ。統一されてないんだね。」
「要は文書内で文言が統一されてれば良いんだよね。」
(耳が痛い…)




