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転校生(七)

(時雨の視点)


小鳥さんとの夕食から戻ったのは、夜十時を過ぎていた。兄さんの分も詰めてくれるようにお願いしたので、彼女は問題なく私を家まで送り届けてくれた。


兄さんに何が起こったのか、よくわからない。きっと一日中折本さんと一緒で、私たちと合流するにはとても疲れていたんだろう。


家は今、ほとんど完全な暗闇の中、ようやく静寂を見いだしていた。父はまた飲んだ後に気を失ったようだ。


だから、軋む古い床板の上を、私は自分の部屋ではなく、兄さんの部屋へと向かった。


早く寝に帰ったのなら、彼のことを考えると、今ごろは夜型人間のように学校のノートを確認しているはずだ。いつもそうしているように。


「兄さん、入るよ…」


優しい声でそう言い、引き戸を開ける。予想していなかったのは、そこにあった光景だった。


明かりは消えており、ごくかすかに、窓から差し込む光で部屋は照らされていた。


今日は勉強していない。


大学に行く気はなくても、就職のために準備はしたいと、いつも頑なに言っている。私を守ろうとするより、もう少し自分自身のことを考えてほしいのに。


暗闇の中をゆっくり進む。兄さんは普段散らかさないから、何かにぶつかる心配はない。


むむ。洗面台の水の流れる音が聞こえる。


水を出しっぱなしにするなんて、そんな不注意な兄さんじゃないのに。はあ…どれくらい流れ続けてるんだろう。


水をこんなに無駄にしたんだから、お風呂に入れないようにしてやる。


食べ物の包みを机に置き、浴室の方へ歩き始める。このまま朝まで続いたら、水資源に対する罪になるぞ。


「…っ!」


叫び声を抑えた。なぜなら、突然、ほとんどつまずきそうになったからだ。かろうじて洗面台につかまった。頭をこれにぶつけていたら、かなり重症になっていたかもしれない。


私の足の間に、私を転ばせそうになった何か大きいものがある。視線を下ろすと、そこにいたのは…兄さんだった。


彼は胎児のような姿勢で、膝を胸に押し付けていた。


一瞬、呼吸の仕方さえ忘れた。


なぜ兄さんはここに? なぜ制服のまま? なぜ薬ケースが開いているの?


薬を飲んだの? 全部? もしかして…過剰摂取で…自殺…?


そうした考えが私の頭を駆け巡り、静寂を破っていると、聞こえた。


「しぐれ…し…ぐれ…」私の名前を聞いた。


話していたのは兄さんだった。そして私が何か言うより前に、どんな暗い考えも消え去った。だから、喉にできたしこりもほどけた。


きっと小さな精神病の発作があったんだ。心の力は強くて、兄さんでさえ平穏な日々ばかりではいられない。


時々起こることだ。そして、暗い記憶に屈するよりも、十分に自分を抑えなければならなかったと、私は確信している。


苦痛の叫び。鉄の臭い。そして横暴…それらは二人が共有する痛みだ、兄さん。


私は膝をつき、彼の呼吸に耳を澄ます。今は穏やかに見える。私の名前を呟いたという事実は、彼が私のことを考えているに違いない。


あなたが背負う罪悪感、苦しみの感情、そしてすべての悪いもの、あなたのすべての苦みを、私も分かち合いたい。


私の目は彼と一緒に泣くことができない。なぜだか腕がそれを許さないので、彼を抱きしめることもできない。冷たい床に膝をつきながら…私はただ自分に呟くことしかできなかった。


「ここにいるよ、兄さん…一人にはさせないから」そう言い終えると、私は兄の手を取ろうとした。


伝えたいことがたくさんある。私の愛情を伝えたい。私が泣くのを見てほしい。笑って。時には、苦しんで。でも、私はそれらの感情をすべて表現することができない。


そして兄さんは、自分自身が背負う罪悪感の向こう側を見ることができない。彼の心は、癒やすことができなかった傷でいっぱいだ。


二人とも、とても傷ついた人間なんだ。


永遠に彼の避難場所になれないとわかっていても。彼がもっと自分の感情にオープンになってほしい。


ただ…それを言うのに、私が一番ふさわしい人間じゃないのかもしれないけど…

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