ちゃんと踏みしめて
俺は阪田さんに連れられ部室へと歩みを進めたが、部室の前で足が止まる。
部室の扉の前で立ち往生する俺を阪田さんは見兼ねて、俺の横から扉に手をかけると勢い良く開けた。
「えっ、ちょっ」
俺は情けない声を阪田さんに聞こえる程の勢力で出してしまう。
それを見た阪田さんはニヤリと俺に笑いかけると、「おぉ〜、お疲れさん」と阪田さんは俺の横を通り、部室へと軽い足取りで入る。
部室にはもう千葉さんがいた様で、千葉さんは阪田さんと少し話をすると、こちらへと視線を移し「あら、鈴木くんそんな所にいて、部室へ入らないの?」千葉さんの単純な言葉に俺は観念し、ゆっくりと部室へ入り、鞄を床に置き椅子に腰をかけた。
まだ部室へと来ていない、折原を待つ部室の雰囲気はさながら体育会系の様で、昨日の野球の試合で盛り上がっている。
そんな中でも俺はクイズの問題を考えようと必死で、口数少なく、黙りこくっていた。
「鈴木くんはどう思うかしら?」
千葉さんから突如振られた話題に俺は、「はぇ?」という他なかった。
「あら? 聞いてなかったの? 昨日のオリオンズの試合であの場面の継投策はどうだったと思うかしら?」
「あ、あ〜、まぁあの場面じゃ仕方がなかったんじゃ無いですかね?」
俺の浮ついた返答にも千葉さんは真面目な顔をして昨日の試合の采配について考え込み始めた。
その俺の焦った返答を聞き、同じ机を囲む阪田さんは必死に笑いを堪えている。
俺の事情を知った上で千葉さんの相手を阪田さんか担えたにも関わらず、それをしなかったとは本当に阪田さんは意地悪な人だ。と思いつつも俺は問題を考える事ができないでいた。
ガラララ
俺たち3人のいるこの部室の扉が開き、野球部最後の部員折原が少しだるそうな話口調で部室へと入ってくる。
「遅かったわね?」
「あぁ、ごめんごめん先生に頼み事されちゃって、遅れた」
千葉さんの問いを折原は軽く足らい、折原は椅子へと腰を落とした。
こういう時、人間は可能性が0.01%でも良いからと話すぎで本題を忘れてくれと願うも、大抵こういう時はいつにも増して上手く行かない物である。
「さぁ、みんな揃った事だし考えてきた試験に出すクイズを発表しましょうか?」
俺の期待は虚しくも儚く打ち砕かれようとするのだった。




