プレイボール
野球用語解説を後書きに書いています
やはり、風紀委員のメンバーは錚々たる面々であり、可愛そうに思ったのか、それとも舐められたのか野球部のエースや四番は居なかったのが救いだったが、それでめ俺たちには十分脅威であり、勝てるのかも五分五分くらいだった。
だけれど、そんな風紀委員に俺たちが勝ることもあるそれはベンチの雰囲気だ。
初回の攻撃、「折原さんちょっといいかしら?」
「何か用?」
「初回の一番の攻撃だけど、難しく考えずに好きなバッティングをしたら良いわよ?」
折原は、はぁっ、とため息を一つ付き「分かってるわよ」と返事をして打席へと向かった。
「好きにバッティングをしたらいい」と受けた助言通り、折原は好きな球を打とうと食らいついて言った。
2-2と並行カウントになった後、真ん中高めのストレートの釣り玉を打ちに行き、結果は内野へのポップフライだったが、「しゃあない、しゃあない」と阪田さんがすかさずフォローを入れて、空気感を保ち、その後は特に何も無く、一回の裏にまわる。
俺たちは、それぞれグラウンドに散り、守備へ入った。
投手の折原も、また格別で、最速110キロのフォーシームと緩いチェンジアップそれに、カットボールを使い分け、先頭の田中さんを一塁正面のゴロに討ち取ると二番の菊池さんをボテボテの三塁ゴロに討ち取った後、
三番丸さんには初球インコースのフォーシームを見逃しストライクの後外角低めのカットボールを逆方向に打たせファウル、これでツーストライクと追い込んだ後、低めのチェンジアップを見逃されボール、これでカウントをワンツーとし四球目内角のストレートを見逃させ、三振に切ってとった。
偶然かもしれないがインコースビタビタの球にテンションが上がったのか、審判の先生は逆万時ポーズをして見せた。
折原は初めてのピッチングで抑えた事が嬉しかったのか、マウンドを軽く飛びながら、後にした。
「折原! ナイスピッチング」
「当たり前よ」
結果と俺からの評価が良かったことで、当然の様な口調で、言っていたが折原の口元は緩み、笑顔がこぼれていた。
「折原さん、お疲れ様」
俺と折原が、話していると、後ろから千葉さんが、そう折原を労った。
「それはどうも、それで次は誰で行くの?」
この言葉の意味を俺も理解していた、これは前々から決まっていた事であったが、今回の勝負はオープナーで行こうと話し合っていた。
千葉さん曰く、「素人の多い、私たちの野球は、大量得点で勝つタイプじゃないわ、どちらかと言えば、一点を守り抜く野球の方が合っていると思うの?」
「それは、うちの同感や! 大きいの狙うより、しぶとくやった方が勝機がありそうやしな?」
「だからこそ、一つ提案なのだけれど? 今回はオープナーを使おうと思うのよ?」
その提案に野球を知っている、野球部員や杉谷はなるほどと反応を示すが、演劇部の人達は置いていかれていた。
「おいおい、そのオープナーってぇのは何なんだよ?」
武田さんの質問に頷く、演劇部のメンバーにその説明をした。
「オープナーというのはね? 一人に一イニングだけ投げて貰って、それを繋いで行くやり方の事よ」
「だから、今回は一人一人が全力で一回を抑えて、勝ちへと繋ぐって事っすよね?」
「えぇ、私たちは、どちらかと言うと体力は無い方よ、だからこそ、自身の出せる最高のクオリティを維持するのは難しいからこそ、一イニングずつ繋いだ方が失点を少なくできると考えたわけよ」
それが俺たち、野球部の秘策の一つであった。
フォーシーム ストレートの別称
カットボール 小さくスライス回転する変化球
チェンジアップ 遅く沈む変化球




