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あなたの推し球団は?

風紀委員室にたどり着いた俺は、教室のドアをコンコンと叩き、入室の許可を貰った。

「どうぞ」

風紀委員室には、風紀委員長の三次さんそれに、昨日の取り巻き二人が椅子に腰をかけていた。

「意外と、早かったわね?」

「えっ?」

「まぁ、いいわ、それで返事の方は考えて貰えたという事でいいのよね?」

「……はい」

俺が三次さんとの、約束を呑もうとした、その瞬間、風紀委員室のドアが勢い良く、開かれた。

覚悟を決めた俺には、その音さえも驚きでしか無かったが、俺はドアの方を見て、もっと驚く事になる。

なぜならドアの前には、息を切らした阪田さんと折原それにもう一人、息を切らさずこちらを見つめる千葉さんまでもがいる事だ。

「鈴木くんと私の不始末あまりにも釣り合わないトレードじゃないかしら? まるで、この前のポンタースと産日ドラゴンフライズみたいに」

「あら、侵害ね? このトレードはお互い大いにメリットがある、素晴らしい物だと思うのだけれど? それにこの移籍の問題は鈴木君が決める事であり、千葉さん? あなたが口出しは出来ないんじゃないかしら?」

不敵な笑みを浮かべながら言う三次さんに対し千葉さんは俯き1つ息を吐くと再び顔を上げる。

「確かに、そうね? でも鈴木くんに部長から一言、言いたいことがあるの、今回の問題は部活全体……いいえ、私の問題よ、だから鈴木くんあなたが一人で背負わなくもいいのよ?」

「鈴木! あんた何勝手に一人でどっか行こうとしてるのよ! それだと、あたしがあの部に入った意味ないじゃない!」

「それに、こんなやり方、うちもそうやけど、折原さんも千葉さんも望んでへんと思うで!」

折原は目を潤ませ、阪田さんは俺を何とか説得しようと前のめりになりながら俺に言葉をなげかける。

これは俺の独りよがりだったのかも知れない、俺は皆の意志を考えず、自己犠牲の精神で部活を救おうと、一人で背負い込み、逆に迷惑をかけていた。

それに俺が、部活からこの様に必要とされていた事を初めて知り、今までの行動に誤りがあったのでは無いかと思い始める。

もう一度、皆の表情を見ると、俺はその誤りが正しいと確信した。

折原は身体をプルプルと震わせて、阪田さんは必死の形相で俺を引き止め、千葉さんは俺をここまで追い詰めさせた事に対してかは分からないが、後悔の顔をしていた。

そんな、顔を見てしまうと俺はこの部に必要で、この問題を俺一人でどうにかしようとしていたのが、バカバカしくなっていた。

「……三次さん、すいません」

俺は三次さんに頭を一つ下げる。

「いいお話を頂きましたが、やっぱり俺は野球部を辞める事は出来ません、だから今回の件お断りさせて頂きます」

頭を上げた俺の前には、悔しそうな顔の三次さんそれに俺が振り返ると、俺の行動に折原達は喜んだ様子を見せた。

「わかったわ、ならば今回の部活の件を更に追求をさせてもらいます」

これで話は終わりと、思われたがここで千葉さんが一言波乱を呼ぶであろう提案を風紀委員に持ちかけた。

「三次さん、このまま私達が話し合ったとしても、決着はそう簡単につかないと思うの、だからこそ勝負をしない?」

その提案に軽く鼻で笑う三次さんは

「その、勝負を私達が受けるとでも?」

「やっぱり、三次さん達風紀委員は逃げるのね? 戦う顔をしていないから」

そう千葉さんが安い挑発をかける。

そんな、安い挑発には乗らないだろうこの場にいる全員が思ったが、「あら、ここ数十年リーグ優勝を、していないチームを応援している人が何を言っているのかしら?」

「ふふっ、負け犬は良く吠えると言うけれど、さすがオリオンズ相手に、日本球界最多失点を記録したチームのファンは違うわね?」

俺と折原は三次さんが初めて野球ファンである事を知り、お互いの推し球団のディスりあいに、驚いていると、周りの田中さんや菊池さんそれに、阪田さんはやれやれと頭を抱える。

「あなた今、私が応援している東島ブロケーズの悪口を言ったわね?」

「えぇ、そうよ!」

続いて野球ファンだった新事実に次いで、三次さんが

ブロケーズファンだという、事実に折原と俺はそうだったのかと驚いていた。

「いいわ! その勝負乗ってあげる? それでなんの勝負にするのかしら?」

「それはもちろん、この事件の元でもある野球部に因んで野球対決よ」

「了解したわ、日時と細かいルールは、また後日決めましょう」

「えぇ、私達が勝ったら、部活の存続とこれまでの事を不問としてもらうわ?」

「えぇ、その代わり私達が勝ったのであれば野球部の廃部とその他の問題を生徒会に責任を取ってもらうわ? 後鈴木くんとの交渉権もね?」

「決まりね?」

「えぇ」

二人の後ろには本来何も無いはずなのに、鯛と鴎がいる様に見えた。


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