日常は過ぎても暗転する
途中から阪田虎々視点に変わります。
俺は学生の本分であるその日の勉強を終え、いつもと変わらず部室へと向かった。
部室には既に、先客がおり、それは昨日三次さんの圧に唯一呑まれなかった、千葉さんだった。
「あら、鈴木君今日は元気が無さそうね?」
昨日の事があってもいつも通りに、ケロッとしている千葉さんは、部室にて、お茶を片手に新聞を読んでいた。
「やっぱり、関西だとチーターズやポンタースの記事ばっかりね?」
俺は押し黙り、いつものようなテンションで話す事は出来なかった。
その空気を汲んでか千葉さんはボソッと呟く。
「鈴木くん、もうこの部活は無くなってしまうかもしれないのね?」
俺は少し驚いた、いつも弱音を吐くことのなかった、千葉さんが絞り出すような声で、そんな事を言ったからだ。
「大丈夫ですよ、何とかなりますって……」
すかさずフォローを入れたが、千葉さんには届いていないようで、俺は千葉さんのこの部に対する思いが、俺の考えているよりも、もっと深く大切な物だと感じた。
だからこそ、というか、千葉さんの思いを尊重するのであれば俺はこの部を辞めて、風紀委員へと入り、要求を呑まないといけないんじゃないかと思わされる。
また鈴木がその考えを抱いていた時、別の教室でも事が動いていた……
「三次さん丸さんから聞きました、鈴木くんが風紀委員に入れば、あの部の事を見逃すってどういう事ですか?」
「どうも、こうもその意味の通りよ? 私が鈴木君を欲しくなった……ただそれだけ」
風紀委員長の椅子に座りただ淡々と語る三次さんにうちは肩を震わせ目の前に立っていた。
「そんな、人身売買見たいなやり方うちは納得出来ません!」
うちは風紀委員長の前にある机を勢いよく叩き抗議するがそれも意味をなさない。
「納得できようとも、出来まいとも、そう私が決めたのよ!」
そう、飄々と話す三次さんの態度にうちは、感情が収まり切らず、風紀委員室のドアを勢いよく開けると、廊下へと出て足早に風紀委員室を後にした。
「絶対、要求を呑ませたらあかん! 絶対にや」




