まな板の上の鯉
大村先生支店で話が進みます。
コーヒーの香りが漂う職員室にノックし入室の許可を得る生徒。それは、一日に何十回も起こるただの日常であった。
「あの、大村先生、頼まれたプリントを持ってきました」
「あ、ありがとうございます、鈴木……くん」
そう、単なる日常、今日もその1日に過ぎないと思っていたわたし、大村は謎の場面に直面していた。
わたしの前には、四人の生徒がたっていた、一人は数時間前に、プリントを持って来るように、頼んだ鈴木くん、私も鈴木くんだけなら、驚きはしないだろう。
そして、複数人で来るなら、鈴木くんと仲が良さそうな杉谷くんだと思っていたが、まさかの事態に驚いていた。
鈴木くんの後ろには三人の女生徒がおり、右から隣のクラスの折原葵さんと生徒会長の千葉麻美さんそして、風紀委員の阪田虎々さん達だ。
鈴木くんと折原さんは良いとしても、生徒会長と風紀委員と言う、そうそうたるメンバーに戸惑いを隠しきれなかった。
もしかして、生徒にプリントを持ってこさせたのが悪かったの、もしかして私、体罰しちゃったの? 考えれば考えるほど、マイナスな方面の可能性を見い出してしまい、私は同じ教職員の前、基い生徒の前で目に涙を浮かべ始める。
「あ、あの? 私何かしました?」
それは、私の口から咄嗟に出た言葉であった。
目の前の鈴木くんは私の言葉を受け辺りを見渡し笑みをこぼした。
しかし、今のわたしにはその笑みすら不気味で今後の不安を加速させる。
「あぁ、いえ先生そうじゃなくて……」
鈴木くんが何かわたしに話そうとしてくれたがそれは千葉さんの言葉に遮られてしまう。
「大村先生、私たちの事は気にしないでください、鈴木くんの件とは別に用事があるんです」
千葉さんは笑みを浮かべながら、そう述べる。
「うちは、千葉さんに大村先生について話があって」
「私はアイっじゃなくて千葉さんと同じ用事で来ました」
三人の情報で、わたしの頭は更にこんがらがってしまい
悪い方向に思考が加速してしまう。
それに連なってわたしは、長い黒髪をフルフルと振るわせて、眼鏡越しに浮かぶ涙を生徒の前で見せてしまった。
「ちょっと、千葉さん?」
阪田さんは、涙を浮かべ固まる大村先生を他所に、千葉さんに耳打ちをする。
それに折原さんも加わろうと耳を近ずける、折原さんは鈴木くんを手招きし、ヒソヒソ話は始めた。
「実はな? 言い忘れとったけど大村先生はゴッサムズファンやんな」
「それは……ダメかもしれないわね?」
「ゴッサムズは、他球団ファンから目の敵にされてるからね?」
「まぁ、関西でゴッサムズは恥って言う人も少なくないし、まぁうちもそうなんやけどな?」
「そんな、嫌わなくても! 俺も好きでは無いですけど」
どういう事かわたしは事態が読めないでいた。
鈴木くん以外の三人から発せられる情報は怖いものばかりで、事の顛末が見えない。
もしかして、わたしの体! わたしの体は少々だらしなく特に胸に肉が多く着いており、見た目も地味だ。昔からわたしはわたしの体が好きではないのだ。
昔から体の事で損をしてきた人生だったが最近は古文の教師として軌道に乗り安定してきたと思ったけれど、またしてもこの体に邪魔をされてしまった。
「……ダメかもしれないわね?」
「……嫌われているからね?」
「……恥っていう人も」
そんな言葉がわたしを襲う。
もしかして、わたし嫌われているの? もしかしてこれが俗に言うモンスターペアレントなの! でもわたし何か嫌われるような事をしたのかしら?
解らないわ何が何だか解らない〜




