野球部にはまともな部員は来ない様です
「たのも―」
「やっぱり、ローズはポンタースね」
「何を言っているのかしら? ローズといえばロビンスよ」
「鈴木! あんたはどっちだと思うの?」
「鈴木君? もちろんロビンスの方よね?」
「いやぁ」
「って人が来たんやからなんか反応せんかい」
俺たちは、部室のドアに目をやると百五十センチほどの身長にそれに見合った細身の体型、それに高さのかさましのつもりなのか、高めに結んだツインテールが特徴の女子生徒がいた。
「確か、三組三十四番の坂田虎々さん?」
「クラスと出席番号を呼ぶな! 気にしとんねん」
そう怒鳴りつける阪田さんは、その場で地団太を踏み、怒りを体で表した。
「まぁ、いいわ早く部室に入って」
「ってちょいちょい」
「何か飲み物でも出すわよ? さすがにブルーハワイはないけどね」
「そんな気使わんでええで、さすがにブルーハワイがこんなとこにあるとは思ってへんから」
「よっこらせ」と口に出して近くにある椅子に座り込む。
そして千葉さんが入れたお茶を阪田さんの前に出すと、お茶をお淑やかにすすり、一服を入れた。
「でも、嬉しいわ、貴方がこの部活に入ってくれるなんて」
「そうそう、うちがこの部活にって、なんでやねん!」
関西人らしくかは、解らないが見事なノリ突っ込みで千葉さんの発言に突っ込みつつも、バット立ち上がった。
「あら違うの?」
「違うわ! うちが来た理由は、この部活を終わらせに来たんや」
「どうして! しっかりと申請はしたし、受理もしたわ」
「当たり前やろ? 活動内容は不透明、部員も三人しかおらへんし、この部室も正式に借りたのかも分からへんしな」
阪田さんの意見はごもっともだった。
俺も、最初はなんだその部活はとも、思った。それは誰に聞いても同じだろう?
「っていうか、私この部活の部員じゃないわよ?」
部員が三人と聞き、すかさず折原はそう答えた。
「じゃあ、尚更あかんやないかいな」
ショックを受けた顔をしながら、千葉さんは折原に語り掛ける?
「折原さんって部員じゃないの?」
「それはそうよ! だって私、入部届書いてないもん」
言われてみればそうだった、折原は、部室には来ているが、正式に入ったとは言っていなかった。
だが、俺がもっと気になったのは、阪田さんの態度だった。
「ただの生徒が何故そんな事を決めるんだ」疑問に思っていた事を、ぶつけると阪田さんは笑いながら、こういった。
「なんや、うちの事、知らんのかいな?」
質問を質問で返した阪田さんは、カバンから腕章を取り出した。
その腕章には、風紀委員の文字が刻まれていた。
その時俺は、目の前にいる低身長の女子が、風紀委員の阪田虎々だと知る事になる。
「それにしても、この部室、私物だらけやんかいな? カンフーバットもそうやし、なんやこの段ボールは? ってDVDがぎょうさん入ってんな?」
「それに、壁にかかったユニフォームも、えっと? オリオンズ、オリオンズときて、おぉ、なんやチーターズのユニフォームもあるやんか? しかも、2001年からの奴やんかいな! 中々渋いの、飾っとるやん? しかも背番号22番その頃言うたらやっぱりな~」
「今、帰ってくれるのならそのユニフォームあげるわよ」
千葉さんの甘言に一瞬揺らぐ事もなく即答で「ええんか?」と目を輝かせて、完全にもらうつもりでいた。
「まぁ、今日の所はこれくらいにしといたるわ、でも明日は容赦せえへんからな」
そういうと、ユニフォームをカバンに押し込み、荷物をまとめ部室を後にしたのだった。
その後は、皆野球の話で盛り上がるほどテンションは高くなかったためすぐに解散となった。




