39 暴く力
「ちょっと……」
正直、驚いた。
コテツのことを信じてはいるけど……。
根拠が、分からない。
そりゃ、無鉄砲なところもあるけど、考えなしに行動する人じゃない。
でも……。
コテツに近づこうとして、日陰の、ぬかるんだ落ち葉と地面に足を取られた。
バランスを崩した私の左手を、コテツの右手が掴んで支えた。
その瞬間。
私は、理解した。
このフォーチュナムは、食べても大丈夫。
揺るぎない、事実。
コテツの力が、フォーチュナムの嘘を暴いた。
私は、コテツの右手を通じて理解した。
これは、能力の共同行使。
コテツのノードを、使わせてもらったかたちだ。
私は、ひょいとコテツの左手のフォーチュナムをつまんだ。
「……うまっ!」
口の中で、ナシのような甘い汁が弾け、熟れたイチゴのような香りが鼻孔を抜けていった。
何これ、美味しい。
お腹空いてるのもあるけど、それを差し引いても、今まで食べたどんな果物やお菓子より美味しいなんて。
ほんとにキノコなの、これ?
空腹が満たされただけじゃない。
さっきまで、力の入らなかった足下が、明らかにしっかりしてきた。
長距離でも、走れそう。
モドキの方は、死ぬほど苦くて、食べた瞬間、舌先から一気にしびれ始めると、本に書いてあった。
だから、これは間違いなく、当たりだ。
「これが、コテツの「ノード」なのね」
部分的にだけど、なんとなく分かった。
コテツに現れた「ノード」。
見分け、暴くことができるんだ。
嘘や、ごまかし、偽りを。
「俺の……?」
「そうよ、きっと。それがコテツの力なの!」
私は、少し興奮してそう言った。
その一方……コテツは広げた両手に目を落とすと、がっくりと肩を落として深いため息をついた。
「⋯⋯稀なノード⋯⋯いわゆる、ハズレじゃねーか」
「そんなこと⋯⋯」
確かに、主要な6類型に当てはまらないノードは、力が弱いものが多く、「ハズレ」と言われる場合もあると聞いたことはある。
「……強いのか? それ……俺、もっと戦闘に使えるような力が欲しかったんだけど……速く動けるとか、雷落とせるとか……」
まぁ、確かに6つの力のどれでもなかったけど…。
でも、どうなんだろう。
見た目で見分けることは不可能なはずの、フォーチュナムモドキを見分け、竜の弱点を見抜いて倒して……。
何より、私に襲いかかってきた、あの、影を追い払った。
あれが何だったのか、コテツに腕を掴まれた瞬間、私の過去の本当の記憶が見えたのが、何故だったのか。分からないことだらけだ。でも、それが全て、コテツの力だとしたら……。
使い方次第じゃすごい力なんじゃないの?
「俺は、「重くする力」が欲しかったんだ」
「お兄さん……ハルと同じだから?」
「まぁ、兄貴にその才能があったんだから、俺にもあればな、と思ってただけだ」
「発現したんだから、良いじゃない。後は使い方でしょ。少なくとも、今、その力のおかげで助かってる。それは、きっと大事なことよ。」
コテツが、青い瞳で私を見た。
「ま、それもそうだな。「持てうる力を使い尽くせ。」アレスターの心、第2条、だったっけ」
そう、コテツは、力を得た。
私は、まだ「ノード」を得ていない。
気が付くと、辺りを夜の帳が包み始めていた
「!!」
耳障りな、コウモリと興奮した猫が同時に耳元で叫んだような鳴き声が、空の方から響いた。
「来る!!」
コテツが叫んだ。
森の木々をなぎ倒しながら、それは私たちの前に突如降り立った。
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次回で、ようやくキリン覚醒で、主人公達全員が覚醒しますが、、このまま当分、忙しい展開が続きます。。




