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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第一章
28/65

28 ガーゴイル

まさか、エレナ? と身構えたその時。

 見慣れた、青い瞳が姿を現した。


 ***


 縄を切ってもらいながら、筆談で簡潔に、ひとしきり状況を説明したところ、3人とも……スパナ君まで激怒して、エレナ達を捕まえに行こうとしたけど、止めた。


 どう考えても、もう緑の球は提出されてる。


 コテツ達は、残り1個の緑の球を探しに来ていた。


 だから、ここにはもう緑の球はないこと、私たちは赤い球を狙いに行くから、他の遺跡に行った方が良いと言ったんだけど…。

 はやく、そこに行こうぜ。

 コテツがそんなジェスチャーをした。

 あ、そうか。


 赤い球は、緑の玉、三つ分。


 私とソラの分で、さらにお釣りが来る。


 他の球の場所が不明な以上、コテツ達にとっても、あのガーゴイルの赤い球を手に入れることは、十分現実的な選択肢……。


 とは言え、リスクは未知数。


 でも、他の遺跡に一つくらい緑の球、あるかもよ?

 私がそんなジェスチャーをする。


 きょとんとしたコテツは「それじゃ足りないだろ」とジェスチャーした。

 

 私たちの分を集める必要なんて、自分のことだけなら、関係ないのに。

 そうだよね、コテツはそういう奴。  


 甘いんだから。 

 そんなんじゃ、いつか、悪い奴に騙されるんだから。

  


 トンっと、コテツの胸を小突くと、私はくるりと振り返り、赤い球に向かう扉の方に走った。


 時間無いから、急ごう、とみんなにジェスチャーして。


 ***


 こりゃ、やべーな。


 今まで見てきた石像と全然違う。


 ハンドサインを5人で確認する。幸い、キリンとソラも同じことをやっていたみたいで、サインも同じだった。

 

 スパナ様々だ。真面目に授業のノートをとるって大事なんだな。


 部屋をよく見渡すと、三方向の壁に、ドレイクの木刀位の長さと太さのある、巨大な黒い鍵のような物が掛かっている。


 そして、ガーゴイルの胸の辺りには鍵穴のような穴が開いている。


 どう考えても、そこに刺しこめってことだろう。


 俺と、ドレイクと、キリンが、鍵担当。

 スパナとソラは陽動担当。

 

 時間は後45分程度。円盤の目盛りは残り2つ、そのうち片方は光を失いつつある。

 

 これが全部消えたら、試験終了。

  

 作戦開始の合図のために、4人が合わせた手の上に、何でか最後に俺が手を置くことになった。 

 全員に目配せして、俺は手を押し込んだ。

 

 5人がバラバラに走り出す。

 

 俺が巨大な鍵に手をかけるか否か、その瞬間。

 石が擦れる大きな音がして、ガーゴイルが、生き物のように滑らかに動き出した。

 

 ソラとスパナが、ガーゴイルの前を横切り、2体の注意を引きつける。残った一体が、俺の方に向かってくる。翼はあるが、さすがに飛んでは来ない。だが、速い。

 

 壁から黒い鍵を取った俺に、即座に間合いを詰めて、鉤爪を振り下ろして来る。俺は黒い鍵を両手で持って盾の様に使って受け流す。

 

 甲高い音が響く。

 

 このガーゴイル、ただの石像じゃない。何かひどく堅い金属が練りこまれている。

 

 他の石像みたいに破壊は無理だ。

 何とか隙を見つけて、鍵を差し込まないと…。

 俺はガーゴイルが再び振り下ろしてきた右の鍵爪をかわすと、その腕を、黒い鍵を剣の様に使い、跳ね上げる。


 がら空きになった胸元に鍵を突き刺す…が、ガーゴイルはぴょんぴょんと後ろに跳ねて難なくそれを逃れる。


 こりゃ、厄介だぞ……動きも速い。


 壁の鍵を取ったドレイクとキリンが、ソラとスパナが引きつけているガーゴイルに向かうが、同じ様な状態だ。


 時間が、削られていく。

 目盛りが一つ、完全に光を失った。

 残り30分。


 動きを止めないと……。


 俺はスパナに目配せをした。

 

 試験用に、スパナは、これまで実験してきた小道具のうち、実戦で使えそうな物を厳選して持ってきている。


 走りながら、スパナが懐から液体の入った瓶を取り出し、俺が最初に対峙したガーゴイルの方に投げる。


 割れた瓶から飛び散った液体がガーゴイルの足下に広がり、ガーゴイルは滑って姿勢を崩す。


 ソラとドレイクが捕縄用の警邏官紐を輪っかにしてガーゴイルの羽に掛け、両方から引っ張る。


 今だ!



 俺は身動きがとれなくなったガーゴイルの胸元の鍵穴に巨大な鍵を両手で差し込み、鍵穴を開けるように右に捻った。


 ガーゴイルが甲高い金属音の叫び声を上げた。その瞬間、部屋の中央の赤い球の周りの水晶の囲いが一つ開いて、床の方に沈んでいった。三枚重ねの内の一つが無くなった。あと二つ。


 数的有利になったと思った、その時。


 俺が鍵穴に差し込んだガーゴイルの両耳から、勢いよく、何かの液体が飛び出し、羽を縄で引っ張っていたドレイクとソラに直撃した。


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