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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第一章
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25 ゴーレムとハンドサイン

試験官から会話を禁止されてるので喋れない面々です

 時間がないなら迷ってる暇はない。

 俺はドレイクとスパナに目配せして、一番近い正面の石扉に向かう……が、ドレイクは右の、スパナは左に向かって走ろうとするので、急いで二人の背中をひっぱたく。


 ドレイクは俺を睨みつけ、スパナは不思議そうな目で俺を見ている。

 ……これ、相当難しいぞ……。


 俺は正面の扉と、円形の時計を指さす。

 俺達が止まっている間に、他のチームがどたばたと扉を開けて中に入っていく。

 ああもう、とにかく行かなきゃ。


 俺は二人の手を引っ張り、石扉の中に入っていく。


 扉の中は、地下に向かって階段が延びていた。何かの遺跡のようだ。壁がうっすらと光っているようで、地下に向かっているにも関わらず、視界に問題はない。


 しばらく降りると、開けた円形の広間のような場所に出た。壁に金属製の扉が4つある。先に入ったチームは、もうどれかの扉を開けて中に入ったのだろう。


 俺はスパナとドレイクを振り返る。どの扉にするか。俺は迷ったら左派だが、ドレイクは一番右の扉を、スパナは右から二番目の扉を指さす。


 沈黙。


 無言で、俺達は右手を振り出す。こういうときは、当然、「三竦みの遊技」で決めるもんだ。

 勢いよく振り出した手は、俺とドレイクが鳥、スパナが石。


 スパナの勝ちだ……ドレイクは悔しそうにしているが、とにかく時間が惜しい。急いで右から二番目の扉を開けて飛び込む。


 すると、中はまた広い円形の空間になっていて、その真ん中に何やら俺達と同じ位の大きさのカニのような形の石像がぽつんと置かれている


 そのカニの背に台座があり、あの緑色の丸い石がはめ込まれている。

 俺とドレイクは顔を見合わせ、スパナの肩を叩いた。

 スパナの勘が大当たりだ。


 じゃあ、後はあれをぶん取るだけだ。

 考える間もなく、ドレイクがカニに向かって走り出す。

 いや、お前ちょっと待てよ……。


 ドレイクの手が緑の球に触れそうになった瞬間。

 カニの目が赤く光り、石像が本物のカニのように動き出し、ドレイクから遠ざかる。そして、遠ざかりながらその背中にボコボコと穴が開き、中から槍のような物が何本も飛び出し、ドレイクに襲いかかる。


 「!!」

 ドレイクは身をよじり、床を転がりながら槍の様なものかわし、こっちに戻ってくる。

 俺とスパナの冷たい視線に、気まずそうな顔をするドレイク。

 

 聞いたことはあるけど、実物を見たのは初めてだ。


 ゴーレム。生き物の様に動く石像。魔法の国「マゲイアティア」の技術が応用されたもので、各国の重要施設の護衛用や宝物の守護用などに設置されていると聞いた。ゴーレム作成に使える石材が極めて希少で、なかなか作れないらしいが……。

 

 カニは、部屋の中をしゃかしゃかと動き続けている。近づいて、動きを止めて、あの緑の球を取る必要がある。


 作戦を立てないと。

 だが、どうやって。


 スパナが、俺とドレイクの肩を叩いた。

 スパナが、いつも几帳面に書いている図面と同じ様な詳細さで、何かが書かれた表を広げる。

 これは……ハンドサイン。


 15種類くらいの手の形が、どんな意味かを示したものだ。

 そういや、こんなの授業でやったような気がするな……。ノート取ってたのか、こんな綺麗に。

 だが、改めて見るとこれはシンプルで良い。右へ、左へ、走る、飛ぶ、攻撃を仕掛ける……。


 カニはしゃかしゃか動き回ってるが、近づかない限り、向こうから攻めてくることは無いようだった。俺達は、10分ほど、じっくりとハンドサインを見つめながら、それを覚え、そしてカニに襲いかかる作戦を練った。


 そして、視線を送り合い、三人同時にうなずくと、一斉に三方に散り、ドレイクは左、俺は真ん中、スパナは右から、ジグザグに走りながらカニとの間合いを詰める。


 それに気付いたカニが、俺達めがけて小型の槍を射出するが、これがチャンス。


 これはさっき見た時、穴が向いた方に真っ直ぐ飛んでくるので、避けやすい。おまけに、射出するまで数秒、カニは動かなくなる。


 パラパラと打ち出された槍を三人それぞれにかわすと、スパナがカニの左足の継ぎ目を狙って作業用のハンマーを振り下ろす。それを避けるようにカニが動いた所に、待ちかまえていたドレイクが、勢いよく刀を振り下ろす。

 鈍い音がして、カニの足が二本折れる。


 体勢が崩れたカニの台座に俺が手を伸ばす。


 その瞬間、カニの顔にいくつもの穴がぱかりと開き、槍が飛び出す。

 それを横に飛んでかわした俺の視界に、緑の球に手を伸ばしたドレイクが映った。

 取ったと思った瞬間。


 台座が緑の球を締め付け、球は急激に砂のように崩れ落ちた。

 同時に、カニも動きを停止した。

 …まさか…。


 俺は時計を取り出す。

 光が一つ消えている。30分経過。


 消えた4つの内の一つ。それがこれだった。


 数秒足りなかった……

 ドレイクが、扉に向かって走り出す。


 ハンドサインは「突撃」だ。


 飛び込むのも早けりゃ、切り替えも早い奴。

 だが、確かに、そうと分かれば迷ってる暇はない。

 早く次の球を見つけなければ。


 俺とスパナは、ドレイクの後を追った。

読んでいただいてありがとうございます!

週末に更新してます、もしよければ評価・ブクマいただけたらとっても嬉しいです!

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