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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第一章
25/65

24 2の試験 

 2の試験に残った生徒全員が講堂に集められていた。

 これまでと雰囲気が全く違うのは、スザク先生も、ララ先生もいないこと。

 会ったことのない、王都から派遣された試験官が、3人。講堂の真ん中に、水晶のドクロを背にして立っていた。

 「今日から始まる2の試験、そして次の3の試験は、我々王都の試験官が管理する。試験官長のアリスアトリスだ、よろしく」

 長めの髪を真ん中で分け、後ろ髪を縛っている。鋭い切れ長の一重の瞳、すらりとした細身の長身の男性だった。

 少し離れたところに立っていたキリンが、試験管長のアリスアトリスを見て、驚いたように目を丸くしていた。

 何だ? 知り合い? そんなことある?

 

 *** 


 アリスアトリス。

 ミリアムの施設で、ワイバーンから私たちを助けてくれた、警邏官。王都に異動してたんだ。それに、試験官長っていうことは……やっぱり、かなり上位の警邏官なんだ。

「2の試験は、少し特殊な試験だ。全員、2人のペアか、3人のグループを作れ。誰と組むかは自由だ。30分後、作ったペアかグループで、ここに登録しに来ること」


 生徒達がざわついた。ここで、急に誰かと組めと言われるとは。分かっていれば準備もできただろうに。

 さて、どうしよう。

 頭に浮かぶのは、もちろん、いつものメンバーだけど……。


 「キリンちゃん」

 振り向くと、ソラが立っていた。

 「……ペア……私じゃ駄目かな?」

 「え?! もちろん良いに決まってるじゃない。こっちから誘いに行くところだったわ」

 「良かった! 頑張ろうね!」

 ソラは、お世辞抜きで頭が良い。試験勉強も、何度助けられたことか……。

 あ、コテツ達はどうしたかな。

 きょろきょろと見渡すと、コテツとスパナが目に入った。

 「ま、休みに家に帰らない同盟、だな」とコテツが言った。

 ん、何かどこかから視線を感じるような……。

 あ、ドレイク君だ。

 「コテツ、スパナ。別に、良いんだぞ。協力して欲しいなら」

 「面倒くさいから、早く来いよ、ドレイク」

 「これに書いて下さい。もう、自分たちは書いてますから」

 「……」

 あ、黙って登録用紙受け取った。

 ま、じゃあ、いつものメンバーということね。

 「キリンさん、よろしいですか? 僕がそちらに入って、お手伝いをさせていただくというのも……」

 なぜか、コテツがドレイク君の襟を引っ張る。

 「いいから、とりあえずお前はこっち」

 私はちらりとコテツを見た。

 ……何考えてんのかな?


 「多分、これチーム同士で連携する場面があるんじゃないかなと思うんです? だから、取りあえずこれで二手に分かれて、行き詰ったら合流して情報交換しませんか?」

 ソラが、また試験の先を読んだような話をしていた。

 「そうしよう。2ー3だけど、まぁ同じチームということで」

 コテツがソラの発言を受けて、まとめていた。


 ***


 「よし、これで全部だな。」

 生徒達が提出した登録用紙を長めながら、試験官長のアリスアトリスが言った。


 「これから、試験会場に移動する。この移動の時点から、試験は開始だ。これから、一言も言葉を発してはいけない。それから、後ろを振り向いてもいけない。絶対にだ。破った者は、即失格だ。では試験開始。全員付いて来なさい」


 そう言うと、アリスアトリスは講堂の出口に向けてスタスタと歩き出した。


 先頭の生徒が歩きだし、全員がぞろぞろと学園の西の森の方へ歩いていく。


 「ちょっと! え?! 俺、振り向いてないって!」

 

 誰かが引きずられ、連れて行かれる音。

 

 まじかよ……。失格して連れて行かれた?


 アリスアトリスは一言もしゃべらず黙々と歩き続ける。


 小一時間くらいは歩いたんじゃないだろうか。 森の中で、不意に開けた広場のような場所に出た。


 かなり広いその場所には、いくつもの石の扉のような物がそびえ立っていた。


 こんな場所が学校の付近にあったなんて、知らなかった。


 「今からは、後ろを振り向いたり、周りを見たりしても良い。ただし、しゃべったら失格だ」

 しゃべったら失格。


 とは言え、周りを見れるようになるのは有り難い。

 俺は、右斜め後ろに視線を向けると、キリンと目が合った。

 キリンは首を傾げ、両方の掌を開いて「何なんだろうね?」というような仕草をする。

 俺は首を振って「分かんねーな。」という仕草をする。

 コミュニケーションは取れそうだが……。


 「ここに、4つの扉がある。どこを選んでも良い。2人もしくは3人のチーム単位で、扉を選んで入れ。中に入ったら、これを探して持って来ること」

 アリスアトリスは、王都の試験官が着るゆったりとしたローブの袖口から、緑色の球を取り出す。

 「これを人数分集めて持ってきたチームは、その時点で合格だ」

 球探し……か。何か宝探しの遊びみたいな試験だな……。

 「それから、これ。この赤い球は一つで緑の球3つ分だ。だから、赤い球を一つ持ってくれば、そのチームは全員合格だ。どっちでも良い。手段も問わない。会話だけはしないこと。とにかく、球を持ってこい。制限時間は6時間だ」


 アリスアトリスが円盤のような物を取り出す。

 ぐるりと、12個の宝石のようなものが円形に配置され、埋め込まれている。


 「チームごとに、これを一つ渡す。30分で1目盛りずつ消える。全部消えたら6時間だ。それから……」


 アリスアトリスが何やら嫌な笑顔を浮かべる。

 「1目盛り消えるごとに、入手されなかった緑の球は4つずつ、消えていく。つまり、最初は48個あるが、30分後には44個、1時間後には40個、6時間後には0個だ。だから、急げよ。赤い球は最後まで消えないけどな。あと、会話したら、これが全部真っ赤になるから、その時点で失格な。」

 げ、まじかよ。

 生徒が今…52人。

 開始後30分まではほとんど全員に合格の可能性がある。でも、そっから先は、どんどん減っていくってことか。

 いや、赤い球があるから、必ずしもそうとも限らないが……。

 「じゃ、始め。俺はここで待ってるぜ。」

読んでいただいてありがとうございます!

週末に更新しています、もしよければ評価・ブクマいただけたらとっても嬉しいです!

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