18 測れるもの測れないもの
コテツの「ノード測定」の結果。出力が0。
測定不能。
いくら何でも、ゼロって。
「……コテツ君?」
「ああ」
「ハル君と、一緒ってことを言いたいのかな」
「だが、ハルは、重くする力があまりにも強すぎて、測定不能だったんだろ? 目盛りを増設して、何とか部分的に測定した。だが、コテツの場合は……そういうわけでもないし」
血液検査は間違いないし、アレステリア人で全く反応しないなんてこと、あるんだろうか。
確かに、この4年間、あいつは共同行使でもほとんど「ノード」が使えなかった。
原因不明。
「ハル君の事例も読んで思ったんだけど……」
ララが、中空を眺めながらぼんやりと言った。
「秤は、測れるものしか測れない」
「なんだそりゃ?」
「そもそもね、秤って、それで測れるものを測るものなのよね。私たちも一緒。生徒の成績とか付けるけど、それって私たちが測れる範囲でしか測れてないのよね」
「……。測れる範囲を、越えているってことか?」
「それか、そもそも測り方を間違えているとかね。分からないけど、これで何もかもを測れるわけではないと思うの。だから、1の試験は3つあるんだろうし」
それは、そうかも知れないな。
もしそうだとしたら、コテツがどんな力を持っているのか、そもそも持っていないのか、興味深いが。
「しかし、3回目、試しに俺の力も渡して、共同行使してみようと思ったけど、やっぱり駄目だったな。そんなことってあるのか?」
「……なくは、なくて……」
「古い文献?」
「うん……あるとしたら、専属契約がなされている場合、それしか思い浮かばない」
「専属契約?」
「共同行使先が、特定のアレステリア人に固定されている場合なの。でも、それって、特殊な宝石と、儀式が必要で……実際、そんな宝石が実在するかも不明だし」
「どんなものなの?」
「その儀式用の宝石を持った状態で、血を交換する。そうすると、そのアレステリア人のペアのみでしか、共同行使が発生しなくなる、らしいの」
「それ、何かメリットあるの?」
「能力の、指数関数的増幅」
「どういうこと?」
「めっちゃくちゃ、増幅される。能力の爆発。そんな表現だけ、記述されてたわ」
爆発、ね。
キリンの力は、まるでそんな感じだった。
キリン。
ぷっ。ぐはは。
「何笑ってるの?」
「いや……さ……」
キリンは、面白かったな。
「あ、さっき押しかけてきたキリンちゃんのこと? 思い出し笑いしてんでしょ? 性格悪い!」
ララがむっとした顔で睨む。
「いや、だってさ……ぶははは!」
我慢してた分、腹が痛ぇ。
「あんな剣幕で「装置壊れてるんじゃないですか!? 再試験して!!!」とか、あの普段大人しい奴が、一人で乗り込んで来て叫ぶか普通? あのパターンは初めてだぜ、俺。何か恥ずかしくなっちまったよ。自分の結果に不満があって文句言う奴は山ほどいたけどよ。生徒とはいえ、他人の、なんなら試験の競争相手にさ」
「女の子の本気を笑うとか! 敵認定するわよ! スザク!」
部屋中がびりびりし始める。
おお、これは、やべぇ。
ララの本気の電撃を食らったら炭になっちまう。
いくら、「雷神」の能力が失われているからといえ、危険なものは危険だ。
俺は瞬時に教官室から消えた。
「逃げるなー!!!!」
教官室の窓から、電撃がほとばしるのを、俺は木の上から眺める。
あれで、本来の力の何十分の1なんだろ。
いや、まぁ、さすがに、本気で放電はしてないか。教師仲間だもんな。
屋上の方に視線を送る。
小さな人影が、2つ。
双眼鏡を取り出して様子を見る。
あ、コテツがキリンに殴られた。
激しい応援だな。全く。
まぁ。
普段大人しいキリンがあそこまで言うんだ。
何かあるんだろ、あいつ。
コテツには。
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