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アレステリア国物語  作者: 鳩峰浦
第一章
19/64

18 測れるもの測れないもの

 コテツの「ノード測定」の結果。出力が0。

 測定不能。

 いくら何でも、ゼロって。 


 「……コテツ君?」

 

 「ああ」

 

 「ハル君と、一緒ってことを言いたいのかな」

 

 「だが、ハルは、重くする力があまりにも強すぎて、測定不能だったんだろ? 目盛りを増設して、何とか部分的に測定した。だが、コテツの場合は……そういうわけでもないし」

 

 血液検査は間違いないし、アレステリア人で全く反応しないなんてこと、あるんだろうか。

 

 確かに、この4年間、あいつは共同行使でもほとんど「ノード」が使えなかった。

 原因不明。

 

 「ハル君の事例も読んで思ったんだけど……」

 

 ララが、中空を眺めながらぼんやりと言った。


 「秤は、測れるものしか測れない」

 「なんだそりゃ?」

 

 「そもそもね、秤って、それで測れるものを測るものなのよね。私たちも一緒。生徒の成績とか付けるけど、それって私たちが測れる範囲でしか測れてないのよね」

 

 「……。測れる範囲を、越えているってことか?」

 

 「それか、そもそも測り方を間違えているとかね。分からないけど、これで何もかもを測れるわけではないと思うの。だから、1の試験は3つあるんだろうし」

 

 それは、そうかも知れないな。

 

 もしそうだとしたら、コテツがどんな力を持っているのか、そもそも持っていないのか、興味深いが。

 

 「しかし、3回目、試しに俺の力も渡して、共同行使してみようと思ったけど、やっぱり駄目だったな。そんなことってあるのか?」

 

 「……なくは、なくて……」

 

 「古い文献?」

 

 「うん……あるとしたら、専属契約がなされている場合、それしか思い浮かばない」

 

 「専属契約?」

 

 「共同行使先が、特定のアレステリア人に固定されている場合なの。でも、それって、特殊な宝石と、儀式が必要で……実際、そんな宝石が実在するかも不明だし」

 

 「どんなものなの?」

 

 「その儀式用の宝石を持った状態で、血を交換する。そうすると、そのアレステリア人のペアのみでしか、共同行使が発生しなくなる、らしいの」

 

 「それ、何かメリットあるの?」


 「能力の、指数関数的増幅」

 

 「どういうこと?」

 

 「めっちゃくちゃ、増幅される。能力の爆発。そんな表現だけ、記述されてたわ」

 

 爆発、ね。

 

 キリンの力は、まるでそんな感じだった。

 

 キリン。


 ぷっ。ぐはは。


 「何笑ってるの?」

 「いや……さ……」

 

 キリンは、面白かったな。

 

 「あ、さっき押しかけてきたキリンちゃんのこと? 思い出し笑いしてんでしょ? 性格悪い!」


  ララがむっとした顔で睨む。


 「いや、だってさ……ぶははは!」

 我慢してた分、腹が痛ぇ。

 

 「あんな剣幕で「装置壊れてるんじゃないですか!? 再試験して!!!」とか、あの普段大人しい奴が、一人で乗り込んで来て叫ぶか普通? あのパターンは初めてだぜ、俺。何か恥ずかしくなっちまったよ。自分の結果に不満があって文句言う奴は山ほどいたけどよ。生徒とはいえ、他人の、なんなら試験の競争相手にさ」


 「女の子の本気を笑うとか! 敵認定するわよ! スザク!」 


 部屋中がびりびりし始める。

 

 おお、これは、やべぇ。

 

 ララの本気の電撃を食らったら炭になっちまう。

 いくら、「雷神」の能力が失われているからといえ、危険なものは危険だ。


 俺は瞬時に教官室から消えた。

 

 「逃げるなー!!!!」

 

 教官室の窓から、電撃がほとばしるのを、俺は木の上から眺める。

 

 あれで、本来の力の何十分の1なんだろ。

 いや、まぁ、さすがに、本気で放電はしてないか。教師仲間だもんな。

 

 屋上の方に視線を送る。

 小さな人影が、2つ。

 双眼鏡を取り出して様子を見る。



 あ、コテツがキリンに殴られた。 

 

 激しい応援だな。全く。 


 まぁ。

 

 普段大人しいキリンがあそこまで言うんだ。

 

 何かあるんだろ、あいつ。

 コテツには。

読んでいただいてありがとうございます!

もしよければ評価・ブクマ、感想等いただけたらとっても嬉しいです!

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