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第11話『初手激突』

 いよいよ始まったケイスケとゲイルの戦いであるが、周囲にはやや重い空気が漂っていた。

 二人の戦いを見守るゲイルの仲間たちも、そしてケイスケの友人だという政府の関係者を名乗る男も、二人の戦いを静かに、真剣に見守っている。


 そして、互いに山札の枚数を確認し、真剣勝負が始まった。


「山札は互いに50枚。パートナーカードも裏向きでセットされている」

「あぁ」

「後は先行後攻を決めて戦うだけだが……どう決めるか」

「普段と同じ様にサイコロで大きな目が出た方から始めても良いが……」

「まぁ、そうだな。どうせならここから始めるか。ゲイル」

「なんだ」

「6面のサイコロを2個用意した。キープか変更か選び、3回まで振りなおせる。より大きな数字を出した方が先行か後攻か選べる様にしよう」

「良いだろう」


 ケイスケはそう言うと、カードゲームの為にケイスケと同じ人間の姿をしたゲイルに2個のサイコロを渡し、自分も同じ様に別のサイコロを握る。


「どっちから振る?」

「では私からいこう」

「良いぜ。振れよ。ゲイル」


 ゲイルは慎重にサイコロをテーブルの上に落とし、コロコロと転がるサイコロを見つめた。

 出た目は『7』ゲイルは振りなおすか、ここで終わりか選ぶ事が出来る。

 だが、ゲイルの判断は早かった。


「無論振りなおしだ。7では足りん」

「そうかい。じゃあ俺も振るぜ」


 続いてケイスケが転がしたサイコロの出目は『4』

 ケイスケは当然の様に振りなおしを宣言。


 ゴクリと誰かが唾を飲み込んだ音が聞こえた

 しかし、彼らは止まらない。


「じゃあ次は俺から振るぜ」

「あぁ」


 ケイスケは先ほどよりもやや緊張しながらサイコロを投げ、『10』という数字を出した。

 ここで、これほど大きな数字が出た事に周囲から僅かにざわめく声が聞こえたが、ケイスケは何も気にせず呟いた。


「振りなおしだな」

「っ! 正気か!」

「あぁ。当然だ。10では足りない。まだゲイルが2回サイコロを振る以上、ここで止まる事はあり得ない」

「……そうか」


 ゲイルは緊張した様子で、サイコロを転がした。

 しかし、出た数字は『5』そして、すぐに振りなおし、『9』を出す。

 先ほどの数値で止めていればケイスケの勝ちであったが、ケイスケは何ら落胆する事なくサイコロを振り、『12』という数字を出した。


「決まりだな。俺が先行だ」


 何もブレず、揺れず、変わらない。

 ケイスケは日常の中の一コマだとでも言うように、サイコロを横によけ、ゲイルに言い放った。


 その姿に、ゲイルやその仲間たちは、かつてケイスケがこの場所に来た時の事を思い出していた。

 いつ自分が殺されてもおかしくない場所へ単独で現れ、賭けをしよう。

 等と言い放っていたその姿を。


 そして、また誰かがゴクリと唾を飲む。


「よし。では始めようか。よろしく頼むぜ」

「あぁ、よろしく頼む」

「ん。じゃあまずは山札からカードを7枚手札に加えるよっと。そして、その中から要らないカードを選んで山札の下に置く……。俺は3枚だ」

「私は2枚だな」

「オーケー。そして置いた分だけ山札からカードを引き、山札を再び混ぜる」


 ケイスケは何をするか口に出しながら淡々とゲームをを進め、いよいよゲームが始められる状態になった。


「ではパートナーカードを表にしてから、ゲーム開始だ。良いな」

「あぁ」

「じゃあ、ゲーム開始――!」


 ケイスケとゲイルはそれぞれのパートナーカードを表にし、ゲーム開始時の効果を使用してゆく。


「俺はまず、パートナーカード『ルーク』のゲーム開始時効果により、山札からカードを2枚引く。そして……手札に装備カードがある場合、コストを3軽減して装備させることが出来る」

「……まさか!」

「俺は手札にある『勇者の剣』を黄色コスト3軽減し、手札からカードを2枚捨てる事で装備!」

「いきなり黄色5コストの装備カードをパートナーカードに……!」


 ケイスケは流れる様に『ルーク』へ『勇者の剣』を装備させ、ゲイルへと視線を移した。


「俺のゲーム開始時効果は終了だ。ゲイル」

「あ、あぁ……。私も『英雄ゲイル』の効果により山札の上のカードを公開する。その後、そのカードを場にコストを支払わずに置くか、手札に加える事が出来る。私が公開したカードは『シェリ』。場には出さず手札に加える事を選択する」

「あぁ」

「これで、私の処理は終了だ」

「分かった。では、俺の手番……! 始めるぜ」


 ケイスケは宣言した通りに、自分の手番を始め、まずは手札にカードを追加した。

 そして、パートナーカードをレベルアップさせた後、自分の手札とゲイルの手札を見比べて、思考を巡らせる。

 が、それほど時間を待たずに場へと手を伸ばすのだった。


「俺は、パートナーカード『ルーク』でお前のパートナーカードに攻撃」

「いきなりか……!」

「今はこれが最適解だと思ったんでね。それで? どうする?」

「……何もしない。このままダメージを受けよう」

「ならば12から2を引き。超過ダメージ10点だ」

「ぐっ……」


 ゲイルは山札の上からカードを10枚待機所へ置き、一枚ずつ軽く確認しながら考える。

 そして〝喜び〟を表に出さない様に気を付けながら苦しそうな顔でケイスケを見据えるのだった。


「これで手番は終わりか?」

「いや? どうやら厄介なカードが何枚か見えたからな。まだ動こうか。俺は手札から『夢咲陽菜』のカードと別のカードを1枚待機所へ置き、山札の上から2枚のカードを引く」

「……」

「そして、待機所の『夢咲陽菜』の効果。このカードと待機所のカードを1枚選んで除外する事で、好きな色のコストを3発生させる。俺は手札のサバクゴムラトカゲを前列に登場する」

「このターンは1度しかアタックが出来ず、更に3コストのサバクゴムラトカゲはまだアタックが出来ないはずだ」

「分かっているさ。だからこれは次のターンの布石。そして待機所の青のカードを1枚除外し、青1コスト。『本屋の娘 タマキ』を出し、待機所のカードを1枚までランダムに選び、山札の下に置く。今は1枚しか無いから最初に置いたカードを山札の下に置く。これで俺の手番は終了だ」


 最小限の動きで先行1回目の手番を終わらせたケイスケはまだ多い手札を裏にしたままテーブルの上に置き、小さく息を吐く。

 場には装備カードが付いた事で、攻撃力が12まで上がっているルークと、青のコストを支払う事で成長してゆくサバクゴムラトカゲ。

 そして、戦闘で敗北し待機所へ送られた時山札からカードを引く事が出来るタマキなど。何かが起きた時の対策としては十分な場が広がっている。


 圧倒的。という訳では無いが、酷く堅実な盤面かつ、手札を多く残したプレイにゲイルはゴクリと唾を飲み込むのだった。

 そして、いよいよゲイルの手番が始まろうとしている。


「では、私の手番だな」

「あぁ」

「では行くぞ! まずは山札からカードを2枚手札に加え! 『英雄ゲイル』のレベルを1つ上げる」

「……」

「『英雄ゲイル』のレベルアップ時の効果により、山札の上のカードを公開し、そのカードをコストを支払わずに場に置くか、手札に加える事が出来る……!」


 ゲイルは緊張した様子で山札の上に手を置くと、大きく息を吐いた。

 そして、気合と共に山札の上のカードを公開し、目を見開く。


「私が公開したカードは! 『銀河連合の管理官 ガーラ』!」

「緑5コストのカードか……!」

「私はこのカードを後列に配置する」


 ゲイルの置いたカードは、手札の緑のカードを捨てる事で、そのコスト以下のカードの効果を無効にする事が出来るカードだ。

 違いの手番に1回ずつしか使えないとはいえ、強力なカードを配置された事で、先ほどまで優勢に見えたケイスケの未来に僅かな陰りが出来る。


 ゲイルは、強力なカードが出た事に喜びながら次なるプレイを続けるのだった。

 二人の戦いはまだ始まったばかりである。

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